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帝国の慰安婦読破

2017年01月29日 | Weblog
というわけで、話題の「帝国の慰安婦」を読破しました。(ネタバレアリ)

韓国人の筆者ですが、内容はどちらかというと中立に近く、日本人であれば左翼右翼関係なく普通に読めると思います。特に慰安婦が戦場でどんな様子だったかを聞き取りにより詳しく描写してあったのは、当時の空気感とともに何故慰安婦という存在が生まれたのかを考えさせられ、大変勉強になりました。この内容は韓国にいる人でないと書けないでしょう。その時代のことを何も調べずに、単に「韓国にひどいことをしたのだから謝れ」または「ただの売春婦だろう」などと想像や妄信で言い争うことは不毛を通り越してひどく滑稽なことのように思います。筆者は「ネトウヨ」ではなく(笑)日本が認めていない「日本軍の関与」については「あったことは疑う余地がない」と断じていますし、逆に韓国が世界各国で言いふらしている「20万人の性奴隷」は「完全な誤り」だとしており、少女像についても「慰安婦の像ではない」と言い切っています。その根拠も繰り返し述べてあるので、一時の感情に支配されず読み進めれば筆者の考えにまあまあ共感できる仕上がりになっていました。ただ、韓国の立場として彼女は極右になってしまうのでしょうけど、日本の言論界でこの主張が右か左かと問われればやや左なので(笑)どちらかというと朝日新聞や毎日新聞の論調に近いのかもしれません。これら2紙の社説を「日本国民の認識」として取り上げている箇所がありましたし、逆に読売新聞の論調には反対する感じで、産経は引用すらありませんでしたからね(笑)本が朝日新聞社から出ているのも察し・・・という感じですな。

筆者が述べ、裁判でも問題となった「慰安婦は同志だった」という見方は、個人的にはストーンと腑に落ちました。確かに戦地で過酷な非日常を過ごしたことは間違いないでしょうけど、問題を際立たせるためか、周辺の多くの登場人物とその境遇が完全にカットされてしまっているのですよね。慰安婦を斡旋し管理していたという業者の存在もそうですけど、そもそも日本兵自体も赤紙により「軍に強制連行」され、誰よりも過酷な非日常を過ごした人たちなのです。そんな中で慰安婦の存在は、ただの性欲処理ではなく「慰安」という言葉の通り心の支えになっていたことでしょう。そういうエピソードもたくさん紹介されており、慰安婦という存在が現在の価値観では悪だとしても、少なくとも戦争当時は必要悪だったと思いました。「謝罪」と「賠償」ばかりが全てになってしまっている現状ですけど、日本としては同志であった彼女らに、まず「感謝」と「慰労」を伝えなければならないのではないでしょうか。これが自分の読後一番強く思ったことです。

時系列で言うと、この本は2014年にあった朝日新聞の吉田発言捏造問題の後に発売されています。最初の方にそのことについて少し触れていたので、現代の章でしっかりそのことも分析してあるのかと思っていましたが、どうやら韓国版を出したのが2013年で、日本版はそれに少し修正を加え日本語訳で出したものなので、残念ながら間に合わなかった模様です。本の最後も「慰安婦問題」はまだ解決していない前提でまとめられていますが、実際は2015年に「完全かつ不可逆的に解決」されています。筆者がここ最近の流れや日韓合意をどう捉えているか、是非知りたいですね。

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