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坂本龍馬

2011年05月20日 | Weblog
とりあえず、「英傑の日本史-坂本龍馬編」を読みきったので、四国紀の〆に一筆啓上申し上げます。

この本の著者でもある井沢元彦さんがライフワークとしている(?)「逆説の日本史」も、あれからコツコツと読み始め、今や13巻の鎖国編まで読み切ったため、かなりこの人の論調に慣れてきました。日本の歴史を黎明期から全て当時の宗教的側面や風俗、諸外国の動きなどから洗い直し、定説や権威に媚びない独自の日本史観を描いており、それこそ一部は掲載後10年経って今の定説に変わっている部分もあるほど、斬新な切り口で日本史を語っています。まあ、それでもかなり強引な論理展開もあり、丸々信じ込んでいるわけではありませんが、今やかなり「井沢式歴史観」に毒されてきているのも事実ですね(笑)そんな彼が、今度は人物に焦点を当てて書いたのが、この「英傑の日本史」シリーズのようです。

つーか、自分はコイツを読み始めるまではほとんど教科書かマンガの伝記ぐらいでしか読んでいないので、それこそ「龍馬伝」やら「竜馬がゆく」など、フィクションとしての龍馬を知らず、ただ薩長同盟を果たし、後に海援隊を作ったくらいの知識しかありませんでした。しかし、井沢さんによれば、今我々が抱いている「龍馬像」は、全て司馬遼太郎が「竜馬がゆく」を書いたことで出来上がった、と言っても過言でなく、我々はかなりフィクションが混ざった理解をしているそうです。第一、今でこそ「幕末の有名な人物と言えば?」と問われれば龍馬は間違いなく3指か5指には数えられるわけですが、実は、この小説が書かれる前はほとんど誰も知らない人物だったらしいですし、彼の功績や逸話となっていることが実は別の人物のものだったり、逆に彼の功績である可能性が高いのに史実として残っていないものもあったりしているそうです。

なぜそういうことが起きるかと言うと、龍馬が武士の中でも「郷士」という身分だったからなのですが、そもそも、この言葉は聞いたことがあっても、その意味まで知っている人がどれだけいるのでしょうか。幕末だけを好きな人は、「そういう身分があって…」と続きを語るわけですが、そもそもこの身分の成立が関が原の戦いまで遡り、その当時の「うさ」が、260年後に幕末を引き起こしたということまでは、おそらく教科書に載っていません。なぜなら、今の教科書は「幕末」を書く人(専門家)と、「戦国時代」を書く人が別の人で、それぞれが当時の資料から推量して「こうだった」と書いているに過ぎないからです。しかし、「なぜ開国したか」を語るには当然「そもそもなぜ鎖国したか」を考えなければ意味がないわけで、こう考えると、井沢さんのような人が2600年の歴史をもつ日本の歴史を一人で洗い直している意味も分かりますね。週刊ポストの連載もようやく幕末編に入ったようで、そろそろ本編でも坂本龍馬が登場しそうですが、一体いつの時代まで書くつもりなのか中々興味深いですね。一般的な歴史の本も、資料が多く残っている近い年代ほど長くなりますから・・・

話が逸れましたが、「郷士」とは、簡単に言えば元々土佐の国(長宗我部氏/豊臣方)にいた武士のことです。関が原の戦いで勝った家康は、財産全て捧げて奉公した山内一豊に、褒美としてこの国を与えたのですが、元々いた長宗我部氏の浪人達が反乱を起こしたため、仕方なく武士の身分を認めたと言う経緯があります。本来は山内氏が制圧するなりしないといけなかったわけですが、これによって、幕府方の土佐藩の中に反幕府の因子をもつ身分の者が紛れたということです。しかも、その経緯から相当な身分差別があり、かなり虐げられてきたそうです。具体的に、郷士は上士が通る際には土下座を強いられますし、さらに帯刀は許されても俸禄(給料)がなく、仕方なく商売(当時は卑しいこと)をするしか生計を立てる道がなかったようで、皮肉にもその結果、どんどんお金持ちになったとか(笑)つまり龍馬は身分が低いのでその活躍の記録はほとんど残っていませんが、お金持ちだったために武芸や様々な才能を身につけられる環境にあったというわけです。

中でも商才、文才がすばらしく、今で言うグローバルな視点を早くからもてたのも、そういった環境によるものでしょう。坂本龍馬記念館には、龍馬の書いた手紙が大量に保存されており、一つの目玉となっていましたが、その時はその面白さや歴史的価値を知らなかったことと、文書の保存のためか余りにも湿度が高く蒸し暑かったために、一瞥しただけで通り過ぎてしまいました(笑)やはり、「少しのことにも、先達はあらまほしき事なり。」ですな。ちょっと歴史に詳しくなったので、、もう一度ゆっくり見て回りたくなりました。高知は良いところです。

太平洋の向こうに何を見る・・・まさか、津波!?