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フィンランドの教育

2011年05月22日 | Weblog
市民会館でフィンランドの講演を聞いてきました。

フィンランドと言えば、キシリトール…ではなく、学力(PISA調査)世界一で有名な国です。この調査は単純な記憶力でなく、応用力を問う問題です。最新の2009年の調査では、上海・香港・韓国が「応用力対策」を実施し上位を占めましたが、フィンランドもまだ上位を堅持しています。この国のすごいところは、そういった受験大国に肩を並べているくせに、子ども達が休みの日に勉強をしない・テストや受験がないにも関わらず高順位であるところにあります。

旧ソ連が崩壊した90年代に、フィンランドは相当な経済危機に陥りました。このままではいけないと、考え出されたのが、「未来への投資」つまり教育政策に力を入れ始めたのです。教員の専門性を高めるとともに高給を出し、なり手を増やして1学級25人の少人数学級を実現。小学校6年間受け持ち、カリキュラムはほとんど教員に任されているとか。日本で言う学習指導要領に当たるものが、フィンランドにはたった110ページ(日本だと、小学校の算数科だけで220ページ以上)あるだけで、「後は教育のプロであるお前に任せた」という方針だそうです。もちろん、そうした教材を準備する時間も十分に与えられていますし、学力が低位の子には補習の教員加配がついてバリバリ教えるらしいです。高校入試もなく、内心点で学校が決まりますが、助成金や優秀な教員は、点数の低い困難校から配備されるシステムだそうです。徹底したボトムアップシステムと、質の高い教育による全体的な「学ぶ意欲」の高さが、フィンランドを世界一にたらしめている理由なのだと思いました。

もう一つ忘れてはいけないのは、子ども達には相当な「ゆとり」があるということです。授業もほぼ午前中に終わり、午後からはクラブ活動のような地域の教室に通うのだとか。そこでも専門的なコーチに教えてもらえるので、自分の好きなことをして興味を広げたり得意を伸ばしたりできるわけですね。また夏休みは2ヶ月あり宿題もないため、家族と普段できないような体験を積むことができるそうです。まさに、「ゆとり」の中で「生きる力」を身につける、日本の理想としていた教育そのものを実現しているわけです。

では、日本の「ゆとり教育」は何故フィンランドのようにならなかったのか。その原因は家庭あると思います。日本でも土日が休みになった時、これで家庭の教育力が高まり、成績が上がるはずだったのですが、残念ながら家庭がそれを放棄して塾に押し込むなどしたために、本来の意味の「ゆとり」が完全になくなってしまったのです。フィンランドは、確かに教師もすばらしいのでしょうけど、それ以前に、「わが国は教育しかない」という社会的な風潮や、地域や家庭の使命感が感じられました。日本は残念ながらそこまで熱心でないばかりか、勉強だけでなくしつけや友達作りまで学校の仕事にしてしまっているきらいがあります。地域の人が「子どもが挨拶しない」と、学校に文句を言う時代ですからね。丸投げするまえに、まずその子の親に言うとか、さらに地域で問題視し挨拶隊などを始めるとか、使命感をもって子どものために動こうとしない限り、日本のゆとり教育はフィンランドのようには大成しないでしょう。

中国や韓国のような発展途上国と同じように「詰め込み式」に戻すよりも、もっと家庭や地域にがんばってもらわないといけませんね。あと、給料を減らさないで(笑)