月と歩いた。

月の満ち欠けのように、毎日ぼちぼちと歩く私。
明日はもう少し、先へ。

ブログを書く意味

2019-06-28 | 想い
カンボジアから帰ってきた。
こまかな旅の話は追々するとして、やはり旅はいいなと思わされたということだけを書いておきたい。

「1つ旅をすると、1つ物語が生まれる」
と、20代の頃にずっと言っていた。
それを久しぶりに思い出した感覚だった。

やはり、「その地に生きる人」と接することは大事だなと思う。
自分の生活とは全く違う価値観の中を生きている人たち。
そういう人と出会うと、物語が生まれる気がする。
そこにはきっとイマジネーションが働くからだ。

帰国して、すぐに仕事に追われる日常に戻ったけれど、胸の中の熱いものは消えない。

今日は、私が関わる日本酒の雑誌の新しいライターさんと一緒に精米所へ見学に行った。
辺鄙な場所にあるので、私が推薦したライターAさんに車を出してもらった。
彼女と会うのはまだ5回目くらいだけど、会うたびに好きになる。

夫と同じ匂いがする。
何でもプラスに楽しくとらえられる人。
「わー、楽しいですね」とか「わー、おもしろそう」と何度も言う。
人に合わせるわけでなく、「私、こういうの好きなんですよね、楽しい~」とニコッと笑う。
特別美しいという人ではないけれど、その笑顔を見ると、心から「可愛い人だな」と思う。心がほろっと崩れる感じ。
そして、いろんな能力があるけれど、向上心があってとても努力する人。そこも夫と似ている。
私はこういう人に弱い。

終わったら早く帰って原稿書こうと思っていたが、「道の駅が近くにあるので、ランチしません?」とふわっと言われると、「あ、いいですね!」と答えている自分がいて。
いい意味で彼女のペース。
ランチの後、「高速代だけでも払わせてください」と言うと、「いくらかわからないので、じゃあ、ここのランチごちそうになっていいですか?」と聞いてくれる。
そんなスマートなやりとりも、ほーーーっとなって。
「いいです、いいです、そんなの!」みたいな人より、ずっとスマート。美しい。
こういうところも、彼女を信頼できる要素だ。

私はこの数年、なぜか新しく出会った人に「ふわっとした人」みたいに言われる。
「優しい」「穏やか」みたいなことを言われて、びっくりする。
本当にそういう人に見えているのか?
今日も「かおりさんは穏やかだから」と言われて、えーっ?と心の中で叫んだ。
だいぶん、猫を被ることが上手になったようだ。
それとも私も丸くなったということなのかな。そう思うと、嬉しいような、寂しいような。
とんがっている自分はいつも憎くて、だけどたぶん好きだったから。

いろんなことに対して、いろんな思いはある。
だけど、それを言葉にすることがなかなかできなくなった。
逆に、世界の人々が簡単に言葉にするようになったからかもしれない。
ツイッター、インスタグラム・・・
ポロっとこぼす言葉を発信し、シェアし合う。
言葉って、そんなものだったのかなと思う。
むしろ、「インスタ映え」写真を必死に撮ってアップしているほうが、見ていて安心する。
目的がはっきりしているから。

私はもう時代遅れの人間だからだろう。
大勢の人に言葉を発信する仕事を20年以上やってきて、「文字」にすることの重大さと恐ろしさを知ってきた。
だから、私は怖い。
情報を発信することも、情報をシェアすることも、鵜呑みにすることも怖い。

文字制限のないこんなブログでさえ、昔はいろんな人に誤解されたものだ。
それで慎重になった。
書いて書いて書いて、アップしなかった記事が一体どれだけあるか。
私の記事一覧は、今も「下書き」だらけだ。

昔はそれを平気でアップしていたけれど、今は書いて満足してアップしないことが増えた。
誰かに発信したいからではないからだろう。
ただ、書きたいだけだから。
でも、日記じゃダメなんだ。誰かに見てもらうという緊張感のようなものがないと、それはまた違う。
それで、最近は本気でアップするつもりで書いて、下書きにしてアップしないことが増えた。
アップするか悩むこともあるけれど。それくらいじゃないと、ここに書く意味もない。

今はSNSで情報を得られる時代。
100文字程度で情報を発信して、情報を受ける。
それでいいんだよな。合理的だ。経済効果も抜群。

20代、30代はむしろ、周りの友達よりは、いろんなものを取り入れるのが早かった。
パソコン、携帯電話、デジカメ、ブログ、スマホなど。自分のホームページも20代から持っていた。
でも、今はもう追いつけなくなった。
そんな見せる素敵な写真もないし、昔あった承認欲求もなくなった。笑

これが「老い」なのか・・・!
うん、まあでも、時代遅れの人間でいいかなとも思う。

7月、8月は例年ヒマだけど、今すでにいくつか案件が来ているので、そこそこ忙しくなりそうだ。
でも、合間に何か書ければいいな。