★しろうと作家のオリジナル小説★

三文作家を夢見る田舎者です。
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彗星の時(72)

2012年06月12日 | 短編小説「彗星の時」
椅子に座って画面を見ていたガーゼル王は、かすかな衝撃音を感じてジーザ王子を呼んだ。
「王子よ、今わずかだが響くような音が聞こえたが、なにか無かったか?」
「響くような音?ですか」
王子は怪訝に思いながら、学者に調べるように指示を出した。
すると、様々な映像が映っている画面の一部に、黒ずくめの男の姿が映しだされた。
「これは・・誰だ」
盤を操作しながら学者が答えた。
「どうやら侵入者のようです。側面のハッチが破壊されています。そこから入り込んだようです」
「なにっ。この『動く砦』に侵入者とは、、何者だ、こやつ」
画面を見ていたガーゼル王には思い当たる節があった。
「もしや、あの戦鉄牛を一撃で倒したという謎の男か、そういえば『ヤミ』の結果を聞いておらぬ・・」
ジーザ王子は、学者に言った。
「こやつを排除する何か良い手はないのか」
指示を受けた学者は、書物をめくり調べながら答えた。
「自己防衛機能というのがありますが」
「なんだ?それは」
「まさしく、内部に敵が侵入した際に発動させ、その敵を攻撃する仕組のようです」
「よし、早速やってみよ」
「はい」
指示を受けた学者は、盤を操作し始めた。


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