★しろうと作家のオリジナル小説★

三文作家を夢見る田舎者です。
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彗星の時(83)

2012年11月20日 | 短編小説「彗星の時」
 ジュンサイは目をつぶり、手に持った杖の動きを激しくし銀の輪の音を大きく響かせ、
不思議な調べの呪文を呟き始めた。
 すると、その波のような響きに呼応し、そのそれまでゆっくり回っていたシャインの霊魂が、渦に吸い込まれるように円を小さくしながらジュンサイの頭部に吸い込まれていく。
 やがて、霊魂の全てがジュンサイに収まった、と同時にジュンサイの呪文も銀の輪の動きも止まり、カッと目を見開いた。
 眼が血走っている。
 その口は苦しみにゆがみ、唸るような嗚咽を漏らし始めた。
 次の瞬間、全て収まったはずのシャインの魂が、沸騰した蒸気のように頭から抜け出て廊下の天上を回り始めた。
 ジュンサイは血の気の失せた白い顔をし、腰を落とした。
「だ、だめじゃ。こ、この者は人間ではない。魂を取り入れることができぬ、まさに超古代の文明で造られた異型のもの、我々とは根本的に違うものじゃ・・」
 荒い息遣いで天井付近を回っているシャインの魂を見ながら呟いた。


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