★しろうと作家のオリジナル小説★

三文作家を夢見る田舎者です。
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彗星の時(51)

2012年02月19日 | 短編小説「彗星の時」
今ケインに見えているのは、『天の国』の王都に迫る9頭の戦鉄牛だった。戦鉄牛は、剣や槍で立ち向かう天の国の兵士達をまるで虫でもつぶすかのように蹴散らしながら進んでいく。
「あ、シャインさんだ」
戦鉄牛の一頭に切りかかっていくシャインの姿が見えた。
「そうか、シャインさんは『半有機サイボーグPX2008型SPタイプ』なんだ。どうりで強いはずだ」
 戦鉄牛に飛びかかったシャインは、戦鉄牛の頭部に取り付き、手にした刀で装甲に切りつけていたが、歯が立たないようだった。
「高周波ナイフもエネルギー切れなんですね。ではこちらから撃ちましょう。シャインさんはどいてください」

 シャインは、戦鉄牛の頭部に取り付いて、とりあえず装甲の弱そうな部分を「天の国」軍から借りた刀で切りつけていたが、全く効果はなかった。
「やはり無理か。この刀では硬度が低すぎて、RX23タイプ万能型機甲歩兵の装甲には傷ひとつ付かない・・・ん?」
シャインは何かに呼ばれたように空を見上げ、いきなり叫びながら戦鉄牛から飛び降りた。
「離れろー、戦鉄牛から離れるんだー、まきこまれるぞー」