★しろうと作家のオリジナル小説★

三文作家を夢見る田舎者です。
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彗星の時(46)

2012年02月07日 | 短編小説「彗星の時」
「・・え、っと」
「私は、この『操りの間』の案内人でございます。先程の走査線、、扉の放った光でございますが、、での最終サーチにより、ケイン様がマスターの条件を満たしていると判定いたしました。ここから先は私がご案内いたします」
「なぜ僕の名前を知っているの」
「この塔、、ケイン様達が王宮と呼んでいるこの施設は、『操りの間』のメインAI[イオノスⅣ]で一括管理されており、大まかな出来事・情報は全て把握されております。もちろんケイン様が795年ぶりにマスターの条件を満たす可能性が高い男子としてお産まれになったこともデータとして残っております」
「え、、じゃあ君は僕より随分年上ってこと?そんな風には見えないけど。それにマスターって何?」
女は、ふっと微笑んだような表情になり語りかけた。
「私は、[イオノスⅣ]が作った案内用ホログラムです。実体はありません。この先様々な疑問がわいてくるかと思いますが、とりあえず私の指示に従ってくださいませ。後ほど[イオノスⅣ]との高レイヤ接続があります。その時点で全ての疑問が解決されるはずですので。では、こちらへお進みください」
 女がそう言うと、目の前に立ちはだかっていた銀色の扉が音もなく左右に開き、新たな空間への道が伸びていった。

「おお、なんだあの女性は、どこから出てきたのだ」
 ガラス窓から一部始終が見えるジュンサイは、年甲斐もなく興奮していた。
「何かをしゃべっているようだが何も聞こえない。なんだろう。。おぉ、扉が、開いた」
ヤーコンもまた興奮している。
 だが、ガラス越しに見ているだけの二人にとっては、何もできない。
「ああ、ケイン様が扉の中に入っていかれる・・」
ケインが次の部屋に入ると、再び銀色の扉は音もなく閉まった。