★しろうと作家のオリジナル小説★

三文作家を夢見る田舎者です。
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彗星の時(50)

2012年02月17日 | 短編小説「彗星の時」
ケインは、空を飛んでいた。眼下には海や山が見えた。白い雲も見える。
『これが我々の星、「天の国」はここ、「地の国」はここ。今君はここにいる』
[イオノスⅣ]の思考が交差する度、景色が変わる。
『私は、この星「イオ362」を統治する機関、『イオノスセンター』のメインAIです。今からこの星の成り立ちと、統治する各機関、および現状の説明を行います』
 ケインの頭の中に「データ」という思考が直接流れ込んできた。
『この星は、銀河連邦の端に位置し362番目に発見された『イオ』型惑星。銀河連邦とは・・・』
 まるで聞いたことのない大量の思考が、直接脳に流れ込んできたケインは、意識が飛びそうになりながらも、なんとか持ちこたえ知識として蓄積していった。その知識とは、遠大な歴史から既に失われた科学技術など、普通に学習していたら一生かかっても習得できないような膨大な量だったが、直接脳に書き込まれるような不思議な感じで、まるで乾いた砂が水を吸い込むように記憶していった。
 やがて、嵐のような思考の流入は落ち着いていった。時間にすればほんの数十分位だったのかもしれないが、『イオノスⅣ』との繋がりはケインを大きく変えたようだった。