昭和少年漂流記

破壊、建設、発展と、大きく揺れ動いた昭和という時代。大きな波の中を漂流した少年たちの、いくつかの物語。

第二章“とっちゃんの宵山”(短期集中再掲載)  11.とっちゃんの転職

2012年09月30日 | 日記
とっちゃんの転職 とっちゃんを連れて相談カウンターへ。係員の目が量るようにとっちゃんに鋭く注がれ、すぐに緩む。緊張に引き締まったとっちゃんの横顔は、常識をわきまえた男に見えなくもない。 申し込み書類に書き込むよう誘い、耳元に小声で指示を出す。 「なに?ここでええの?ここか?」 とっちゃんの大きな確認の声が僕の気遣いをかき消す。係員が皮肉な笑みを向けてくる。睨み返したい気持ちを抑え、なんとか . . . 本文を読む