昭和少年漂流記

破壊、建設、発展と、大きく揺れ動いた昭和という時代。大きな波の中を漂流した少年たちの、いくつかの物語。

第二章“とっちゃんの宵山”(短期集中再掲載)  9.“おっさん”達の、意外な実体

2012年09月28日 | 日記
意欲のなさを横顔に露わにしながら、怠惰な動きで“おっさん”は作業を続けていた。屋台を完成する頃には、沈み始めている陽は落ちてしまい、とっぷりと暗くなってしまうのではないかと思わせるほどだった。道路脇の提灯が集蛾灯のように人を引き寄せ、辺りはこれから混雑を極めていく予感に満ち満ちていた。 「もう、帰ろう」。人混みと暗さに“おっさん”の姿も見えにくくな . . . 本文を読む