昭和少年漂流記

破壊、建設、発展と、大きく揺れ動いた昭和という時代。大きな波の中を漂流した少年たちの、いくつかの物語。

第一章:親父への旅 (集中再掲載 )  9.雨の術後

2012年09月11日 | 日記
雨の術後。   ベンチに戻り腰を下ろすと、恥ずかしさは自分に対する怒りへと変わっていった。ベンチと膝を交互に拳で殴る。次に、「そうだ!」と小さく口に出し、3階の踊り場からホテルに電話。事情を説明すると、快くキャンセルを承諾してもらう。 手術室の前で、親父が出てくるのを待つ。ベッドの動く音が聞こえ、次いで扉が開く電気音。足から出てきた親父の表情を見て取ることはできない。 「部屋に行 . . . 本文を読む