昭和少年漂流記

破壊、建設、発展と、大きく揺れ動いた昭和という時代。大きな波の中を漂流した少年たちの、いくつかの物語。

第二章“とっちゃんの宵山”(短期集中再掲載)  1.京都新聞北山橋東詰販売所……とっちゃんとの出会い

2012年09月21日 | 日記
玄関ガラス扉を開けて正面、2階へと続く階段の下から3段目に、とっちゃんは大股開きで座っていた。タバコを挟んだ人差し指と中指を鼻の穴に突っ込み、入り口に向かってVサインをしているように見えた。 「ごめんくださ~い」。ちょっとひるんだ僕は、ぺこりと頭を下げ、小声で挨拶をした。 するととっちゃんは、フィルター部分まですっぽり口の中に納まっていたタバコを引き抜いた。ジュポンと音がしたような気がした。 . . . 本文を読む