昭和少年漂流記

破壊、建設、発展と、大きく揺れ動いた昭和という時代。大きな波の中を漂流した少年たちの、いくつかの物語。

第一章:親父への旅

2010年09月05日 | 日記
プロローグ 1996(平成8)年初秋、僕は自由が丘で生母に再会した。息子47歳。母親67歳。44年ぶりの再会だった。遠くから僕を認めた母親は、「まあ、大きくなったわねえ」と満面の笑みで近づいてきた。「大きくなった、て言うか……」と苦笑しながら、僕も距離を縮めていった。彼女の傍らには、夫と叔母(母親の妹)が寄り添っていた。 近くの和食屋に三人を誘い、僕はともかく酒を飲んだ。面映ゆく、何を話せばいい . . . 本文を読む