昭和少年漂流記

破壊、建設、発展と、大きく揺れ動いた昭和という時代。大きな波の中を漂流した少年たちの、いくつかの物語。

第一章:親父への旅   東京へ、日常へ。②

2010年09月24日 | 日記
朝の光の中、機上から見る日本海は煌めいていた。頭の中に、帰郷の時のような茫洋とした眠気もない。 一泊二日で目にした断片、耳にしたかけらの一つひとつが鮮明に蘇ってきた。しかし、親父のイメージは実体を持って蘇ってこない。浮かんでくるのは、診察室で目にした透明な横顔の輪郭だけだ。 僕の帰省は結局、親父への旅にはならなかったんだ、と思う。いや、始まったばかりなんだろうな、とも思う。いずれにしろ、宿敵癌細胞 . . . 本文を読む