曇り、小雨
夫に供う雛のあられの色淡く 正子
むらさきをたっぷり鉢のすみれ咲く 正子
山茱萸に一日かけて雨がふる 正子
●「世界は死からはじまる」
マーゴ・ヤンソン
彼はしずかに落ち着いた
動かなくなってから、
彼はしずかに落ち着いた
動かなくなってから、
言葉が動き出した
動き回る言葉を
抑えつけていなくてよくなった
抑えつけていなくてよくなった
とも言える
なにも知らない人が、
なにも知らない人が、
当を得た言葉で真実を
言い当てはじめた
●線香が折れたので、細かく削って粉にし、花の形に切った和紙に糊で二枚合わせに貼る。椿の匂いする小さい栞になった。本に挟んだとき、はらりと落ちるとき、どんな感じか。
●フルーツケーキが届いた。コーヒーと。雨の日ながら、いいことがある。
●終日小雨。ヴァイオリンソナタ「雨の歌」を聞く。シェリングとルビンシュタイン。夜はフルトベングラーでマーラー「巨人」と、ヴォルフの歌曲「夏の子守り歌」など。