俳句日記/高橋正子

俳句雑誌「花冠」代表

3月1日(金)

2024-02-29 10:30:10 | 日記
雨のち晴れ

三椏の開きし花の真あたらし     正子
きらめいて節分草の密に咲く     正子
影が飛びすぐにもすぐにも笹鳴きす  正子
枯草を目覚めさせては犬ふぐり    正子
仏の座あかむらさきが野のいのち   正子
初音してすぐにも声は谷渡り     正子
桜芽木途切れてすぐに杉匂う     正子
林間にサッカー場見え春の坂     正子
鶯の鳴いてくれたり雨の後      正子
翡翠も水浴びすなり春の池      正子  

●今朝、5時44分、弱い地震で目が覚めた。すぐに玄関のドアを開け、外を見た。雨だった。家で過ごすことにして、ルーティーンの仕事やクリムトの画集を見ながら、モーツルアルトのピアノ協奏曲を1番から10番まで聞いた。聞き終わるころ外を見ると青空が見えた。

●人に会わないことは、平気だが、それはよくないのではと思い、きのう行った徳生公園へ今日も鴨を見に行こうと昼前でかけた。今日は、おにぎりと砂糖を入れた紅茶を持って電車に乗った。降りるのは北山田駅。電車に乗ったとたん、四季の森の方がいいのではと思い始めた。電車が北山田駅に停まったとき、降りようという気にもなったが、1分の停車を我慢して、そのまま乗っていた。電車が動きだしたので、四季の森へ行くしかなくなった。

今日は、プロムナードは通らないで、丘のバスの通る道を取って、途中で下の道へ下りた。大木に紅梅がいい匂いをさせていた。梅畑の白梅も清らかな咲き具合。仏の座、おおいぬのふぐりが捨て畑に。四季の森に入ると、里山花壇の節分草の咲くあたりへ真っすぐ行く。節分草の立札のあたりには一花もなかったが、それからずれて、たくさんの節分草が咲いていた。ありすぎるほどたくさんの花に嬉しくなる。林縁に沿って歩くと、蓮池の岸に猫柳、山側に山茱萸、万作。池の翡翠は、魚を捕るのではなく、水に軽く頭を突っ込んで羽ばたき、そばの石に止まる。それを2回ほど繰り返した。水浴びのようだった。そばにいる白鷺が魚を捕まえて、くちばしに光らせている。

奥へ行くとまた、万作、山茱萸、川のそばに三椏の花が咲いている。万作は花びらがまつ毛を開くようにひと花も枯れずに開き、山茱萸の開いた花は水が澄んだような真実の黄色。三椏の蕾は銀鼠色、開いた花はビロードのような黄色の内側を見せて、三分は開いて、まだ、まん丸ではない。これから咲こうとする三椏の花のみずみずしい幸福感に、見れば見るほど涙が滲んできた。信之先生の写真をもってきて、見せてあげればよかったと思った。スマホに写真が残っているのを思い出して、スマホを取り出した。去年の3月27日の桜の花を金蔵寺に見に行った時の写真。ちょっと三椏とは視線があっていないが、よかろうと。

葦原の縁を奥へ歩くと、林の奥を見ているカメラを提げた二人の男性に遭った。小鳥を撮影しているのかと、そっと歩くと、そうではない。すると、笹薮から笹鳴が聞こえた。男性に、「笹鳴きですよね。」と言って、相づちをもとめたつもりでだったが、「ここには鶯はおらん。」とそっけない。そう言い終わるか終わらないうちに「ホーホケキョ」と鳴く声。きれいに「ホーホケキョ」。また奥へ歩く、ここにも鶯の声。縄張りがあるのに、二羽いる。早くも谷渡りをする声。山裾のピクニック広場に行き着いたので、丸木でできた階段を山頂へと上った。途中管理人に出会ったので、鶯のことを聞くと、今日が初鳴きだそうだ。

山頂に着くと、実は山頂ではなく、そこは広場で、光りが丘団地が広がっていた。四季の森公園西口の看板。幸い地図があったのでたしかめ、右手に行く大きい道路を取った。ひかりが丘小学校があるが、廃校になっているのかと思われる。桜の並木が続き、それが終わると杉林があり、鋭いほどの森の匂い。大きい椎などは道路にせり出す枝が切られている。大きい道を誰も通らない。下り坂となっている。とにかく歩く。左下に木々の間から、かなり広いサッカー場が見えて、周囲がトラックになっている。看板から神奈川大学のものとわかった。どこへ行くのか、頭の中の地図を歩いている。今度は野球場があり、高校生がトンボで整地している。アンツーカーなのに整地がいるのか。

ようやく民家やマンションが見え始めた。しかし坂はまだ続く。「台村」とある。聞いたことがない。反対側にバス停があるが、相鉄バスか、市営バスのようだ。森の台小学校があった。まだ、坂を下る。坂をのぼってくる人たち。主婦らしい人もいるが、鞄を提げコートをきた営業マンらしい人も通る。
小ざっぱりした小さい農家がある。ふかふかと耕された何も植えていない畑は、傾斜してゆるやかにうねり、その景色に添えるように紅梅が咲き誇り、紅梅から小鳥が勢いよく飛び立った。

信号を渡ってくる女子高生に遭った。道を聞くと教えてくれた。そんなに難しい経路ではない。しかし、行けど行けど駅に着かない。この辺りではと、通行人に聞くと、自分も駅に行くという。その人の後を付いてゆくが、私はここで、とどこかへ消えた。道は平たんになった。駅はすぐなんだろうと思って歩くと、駅前のロータリーに来た。

おにぎりをもって出かけたが、食べるチャンスもなく、ずっと歩いてきた。歩数計を見ると三キロ近く歩いている。信之先生と来たときは、帰りにいつも駅前のパン屋でパンを買って帰っていたので、今日も買った。信之先生にあんぱん、自分にクイニーアマンの二つ。三時間ほど出かけていたことになる。暖冬のお陰で、早春の花が咲き揃っている。幸福な日だった。
コメント
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