「昼前に、風が東に変わりそうですね」
「波が出ますかね」
「風の強さは5くらいの予報です。雨が降り出さなければ良いけどね…」
天気の崩れを警戒しながら、船を出した。
ポイントに入ると、北の風が吹いている。
潮色は、昨日よりも良く感じるけれど、潮行きは、下り潮。
ベイト反応が、イマイチ良い感じではない。
条件は、日々変化している。
「何か来ました」
船首で、竿を出している松原さんの声がした。
「イサキです」
既に海面に浮いている。
最近は、イサキの釣果が出たり出なかったりしている。
最初の釣果が、イサキなのは嬉しい。
萬徳さんにも、アタリが来た。
上がってきたのは、良型の真鰺。
真鰺の釣果が有ると、嬉しくなる。
「ベイトの中に、こんな良型の鰺がいれば、青物も期待できますね」
松原さんにも、鰺のアタリが来ている。
しかし、ベイトが直ぐに移動してしまうのが、気になる。
ベイト反応を確認して、船を流す。
次に、船を戻した時点で、ベイト反応が消えているか、反応が小さくなっている。
「何かに追われているのかな」
自分勝手に、そう思ってしまう。
船首の松原さんに、強いアタリが来た。
「どんな感じですか」
「ブリかな、と思います」
ドラグ音が鳴って、ラインが引き出される。
大きなタモを持って、待機する。
やがて、獲物の姿が見えてきた。
「カンパチです」
2キロクラスの、カンパチが上がってきた。
「ブリかなと思っていましたが、カンパチは嬉しいですね」
松原さんの笑顔が、輝く。
簑原さんにも、アタリが来た。
「そんなに引かないです」
ゆっくりと、巻き上げていく。
良型の真鰺が、上がってきた。
海上は、この頃になると、風が東に回り始めてきた。
「雲の流れに、注意して置かなくては」
東からの雨雲に注意する。
雷が来ると、嫌だからだ。
松原さんが、合わせを入れたように見えた。
「瀬掛かり…いや、魚だ」
ゆっくりと、やり取りが始まる。
竿先を叩くアタリが、来ている。
姿を見せたのは、真鯛。
良型の綺麗な真鯛が、姿を見せた。
「真鯛が上がると、華やかな感じになる」
松原さんも「真鯛が食べたかった」と、嬉しそうだ。
直後に、食べ頃サイズの真鯛もヒットしてきた。
簑原さんに、走り回るアタリが来た。
海面近くを走る獲物を上から見ていると「ハガツオ?」に見えたが…。
姿を見せたのは、大きな鯖。
久し振りに、丸々と太った鯖をみる。
直ぐに、首折りする。
一方で、雨雲が出てきたのが、気になって居る。
南には、雨が降っている。
東でも、大きな雨雲が広がって、雨が降っているのが確認できる。
海上、風が東に回って、波が立ち始めている。
仲間に連絡すると「帰った方が、良いかもね」と、返事が帰ってきた。
予報通り、昼前に天気か崩れ始めてきた。
「雨が来る前に、引き上げます」
安全第一を考えて、納竿とした。