珈琲一杯分の話

2018年2月26日スタートのただのボヤキカフェです。
毒とユーモアを楽しんで頂ければ幸いでございます。

成長

2018-04-29 | 娘と夫の話
子どもが、親より友達といる方が楽しいという年頃になってきた。
おお!!どんどん自分の世界を作っていってくれ。

私は、娘がはじめて相当に心を痛めたことについて知っている。
通り魔事件など、あんな低次元な出来事ではない。
あんなことで彼女は傷つかないし、しょうもない影響なんか受けないのである。
(心理学の専門家がついてカウンセリングに躍起になる中、実はかったるいなあと思っていた母子)

おとなしくてほとんどしゃべらなかった幼稚園では全く友達ができず、小学校でもそれが続いたある年に、彼女が初めて「親友」と呼んだ友達ができた。
娘にとっては生まれて初めての、心を掴れた相手のようだった。
本当はもっと小さいうちに経験するんだろうけど、無口で主張しない性格から、思春期の一歩手前くらいにやっとできた仲良しに、彼女は夢中になった。
頭の中はその仲良しに、朝から晩まで占領されているかのようだった。
自分とはまるでタイプの違う、積極的で主張するタイプのその子は、話すことも刺激的で退屈しないと、いつも嬉しそうに友達の話をした。

だけど学年が変わって女の子がややこしくなっていく過程で、例に漏れずややこしくなり…その仲良しとは、離れてしまうことになった。
まあ私が見たところ、失恋と同じである。
フラれたのは娘の方。
活発な友達は、もっとクラスで目立つ人気グループに誘われる方が楽しいという感じだった。

娘の中では、これがなかなか納得がいかないようだった。
私はイジワルなんかしていない。約束も破ったことがない。「言わないで」と言われたことは絶対言わなかったけど、××は何でもすぐしゃべった。
でも私はそれも許したし、あれもこれも譲ってきたのに…

おそらく、その何でも譲るという娘の性格が、友達にはつまらなかったのだと思う。
娘の大事に思う価値観より、その子にはもっと優先したいものがあったんだろう。
難しいもんである。

娘は不満を人前で口に出さないタイプで、学校ではニコニコしているが、私の前にくると不満を爆発させた。
かと思うとじっと考え込んでいる時もあった。
私が見ている限り、明らかにこの一件は、娘の成長のどの過程より彼女に影響を与えた。

女の子のたわいないことと言えばそれまでだけど、大人でも同じことである。
ロスト感というものは、対象が人であれ何であれ、人によっては泣いたりわめいたり延々愚痴ったりするもんである。
大人は過ぎてしまえば、まるでなかったことにするだけの話。

痛みはいつか忘れる。
娘は「私は長いよ」とクール言った。(怖いわ!!)

親としては、子どもが辛い思いをしているのを見ているのは愉快ではないが、この子がもっと厚顔で図太くて「私、何も堪えないから」としれっと言う人間になったらいいかというと、それもまた違う。
それで笑顔を見せてくれるからいい、とも言えないのである。

これがいいとかわるいとか、教科書に書いてあるように単純でないのがおもしろいのである。
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