嫁・姑話
2018-04-03 | 日記
結婚した時、義母は自分の夫を亡くしてそれほど経っていなくて、まだ強い悲しみと孤独から立ち直れていなかった。
冗談でも、死んでサバサバみたいな様子は、微塵も言わないし想像もできない人である。
今も毎朝、毎夜欠かさず、仏壇にお供え物をして手を合わせている。
そして当然、そうなったら生きる支えは残された息子になる。
特に「可愛くてたまらない次男」は宝物のような存在で、そこに長男をさしおいて嫁がくるとなると、人波乱あるのは目に見えていた。
夫が結婚の意思を伝えると、義母はみるみる顔を曇らせてワッと泣き出した。
「お母さん!なんで泣くの?結婚したら僕が遠くに行ってしまうとか思ってしまうの?」
黙って頷く義母。
冗談でも、死んでサバサバみたいな様子は、微塵も言わないし想像もできない人である。
今も毎朝、毎夜欠かさず、仏壇にお供え物をして手を合わせている。
そして当然、そうなったら生きる支えは残された息子になる。
特に「可愛くてたまらない次男」は宝物のような存在で、そこに長男をさしおいて嫁がくるとなると、人波乱あるのは目に見えていた。
夫が結婚の意思を伝えると、義母はみるみる顔を曇らせてワッと泣き出した。
「お母さん!なんで泣くの?結婚したら僕が遠くに行ってしまうとか思ってしまうの?」
黙って頷く義母。
私も黙って聞くしかなかった。
義母はおしとやかで女らしい性格だった。
キツイことを言われるより逆にこうなると何も言い返せなかった。
そしてそれから数年間くらいだろうか。
新婚住まいに、日に多い時は30回ほど電話が入った。
まだ携帯がない時代だったので、留守にしていると留守番電話が常に点滅していた。
「母親というのは、こんなにも息子が愛おしいと思う生き物である」
私はただひたすら、一生分くらいのそれを叩き込まれた。
(はい、確か野村沙知代さんも仰っていたように、貴女が息子を思う愛情は文字通り海より深いでしょう)
やがて長男も結婚した。
長男の嫁もこんな体験するのかなあと思ったら、事態は意外な展開に進んだ。
いわゆる授かり婚だった義姉は可愛らしい初孫を産んで、それからも次々と子どもが増えた。
4人の孫に囲まれて大忙しになった義母は、それどころではなくなった。
(後に私が送らばせながらようやく一人産んで、計5人になった時は、義母はもう疲れ切っていた(笑))
女って常に何か激しく愛する対象が必要なんだろうか…?
義母からは料理とか作法より、私はこれを学んだ気がする。