5月29日(日) 晴れ
天気予報では曇りのち雨だったが、熱中症を心配するほどのいいお天気となった。
本日は鳥居本か、調子が良ければ高宮まで歩きたいものだ。
昨日案内してくれたいっちゃんはお仕事なので今日はろくさんとふたりである。
ホテルで無料サービスの朝食をすませ、大垣発7時35分の東海道線で昨日歩いた柏原まで乗る。
長良川の鵜飼いを見るために岐阜に近い大垣に宿を取ったが、柏原から高宮への街道筋は殆ど宿泊するところがないのでこれは大正解であった。
8時少し前に柏原に到着、歩き始める。
現在も営業するモグサの伊吹堂亀屋の前を通りかかると、土地のおじさんが自転車を押してやってくる。
挨拶をすると柔らかい近江弁で街の今昔について詳しく話してくださる。
東海道歩きのときも感じたけれど、この琵琶湖周辺滋賀県、近江の人々の物腰は本当に穏やかでやんわりと吸い込まれそうになる。
さすがに近江商人発祥の地なのである。
伊吹屋の店内には元祖巨大福助人形が置いてあるらしいが、まだ営業時間前なので外を通っただけ。
長い宿場を出るとあたりは、なだらかな山々に囲まれた気持ちの良い田園風景が広がる。
一里塚跡。
だんだん陽射しが強くなってきた。
まもなくするとこのような標識があるので右を行く。左はアスファルトの国道21、右は木立の中の土の道である。
ところがすぐにこんな金網バリケードが・・@
もしかしたら通れないのだろうか、と少し戻りちょうど花を摘みに来ていた民家のおばさんに
「通れますか?」と聞いたら「ネジをちょっと回せば開けられますよ~、」とニコニコ顔で教えてくれたのでその通りにしたら無事開いた。
この道が続いたのはわずか700メートルくらいだろうか。
ところどころ、水たまりや水の流れがあって鬱蒼としているので、もしや、山ヒルでも出るかしら?と緊張し、飛ぶように歩く。
でもひんやりして気持ちいい。
昔はみんなこういう道だったろうし、車も信号もないからわらじを履き替えていれば、現在よりかなり楽に歩けたのかもしれない。
旧道が国道と合流するあたりに、カラフルなアブちゃんをかけた石地蔵のお堂。
そして梓河内の集落。
上高地を流れる梓川もそうだけれど、この「あずさ」という字と響きは神がその土地にくださった何か独特な清々しさを感じさせる。
美しい川の流れに沿う集落の道には、草刈り作業なのか一斉に人が繰り出している。
いつもは殆ど人と会わない街道歩きなのだが、この日はどこを歩いても草刈り作業をしている人が多く、新鮮な感じ。
やがて名神高速の下にいったん出て少し上り一里塚を過ぎ
坂を下りると、醒井(さめがい)の宿。
宿場の入り口にすぐ湧水点。
ここは素晴らしい景観であった。
地蔵川の水の美しさ、その水の中に揺らめくバイカモの花、花のあふれるゆったりとした街並み、
町並み保存に力を入れているのはもちろんとしても、山の奥深くでもなく、生活の中にこのような清水がコンコンと湧き、流れているのだ。
両岸にはユキノシタが咲き乱れていた。
↓ バイカモ
流れの前の小さな茶屋さんで水まんじゅうを発見!
これは大垣と垂井で食べるチャンスを逸していたのでさらに嬉しかった。
冷たい流水の中で冷やされた水まんじゅう。
心も体もリフレッシュして次の番場宿を目指す。これが10時半頃。
陽射しはいよいよ強く、日除け対策が大変!タオルとネッカチーフで必死に顔を隠す。
日陰がないのは辛いなあ。
番場宿に入る。
「瞼の母」のおなじみの、ご存じ番場忠太郎所縁の地。
ここからは摺針峠に向かうので道が少しづつ上りになってくる。
やがて田畑の続く一本道。
日陰は無し!(+;)
ずっとずっと前が見えている。
前が見えるということはまだあんなに続くのだ~という脱力感と、曲がり道を曲がった時に出くわす風景の新鮮味もないわけでちょっとうんざり。
実は今回の道程で一番疲れたのはこの一本道のぼりであった。
そんなに急勾配ではないのにだらだらだらだらとのぼる日向の道。
真綿で首を絞められるような感じとはこの事か(ちょっとちがうかな~^)
やれやれと登りきったら、名神道路の登坂車線地点と合流。
ここから分かれ道に入って小さな集落を通ると
神明宮の階段があり、ここが摺針峠の最高地点。
さあ、あとは鳥居本まで一気に下るだけだ!!
非常に楽になって木立の道を降りてゆく。
けっこう下りは長くもしかすると京都側から街道歩きをするとここはつらいかも。
もうお昼なので空腹をおぼえてくる。
鳥居本まで下りればなにか食べる所があるだろうとタカをくくっていたのが大間違い。
国道に出てもお店と名のつくものはひとつもない。
水分とお菓子や飴でしのぐ。
やがてこのような、造ったばかりの石碑があり、鳥居本が近いことがわかる。
着いた!鳥居本の宿。
合羽問屋、赤玉神教丸、などの大きな商家の並ぶ鳥居本は宿場情緒満点。
近江鉄道の鳥居本の駅舎は歴史的建造物で風情がある。
ここらでかなりエネルギー消耗。ろくさんもわたしも足の裏に豆ができたらしい。
ここで米原に行って帰ろうかと提案するが、もう少しがんばろう!ということになり次宿の高宮まで約5㎞さらに歩く。
街道筋の道なのだが、車が多く歩きにくい。
小野小町ゆかりの小野塚の碑を過ぎ
てくてくてくてくと日向の道を歩く。このあたりもう無言の苦行修行者。
芹川を渡り、石清水神社の公園でベンチにへたりこむ。
歩かずに静かに座っていれば、気温はそんなに高くないこともわかり、吹いてくる風が心地良い。
さあ、商店街が多くなってきた。
目指す高宮の街並みに入ってきた。しかし相変わらず食事処はない。
もう空腹も限界を超えたので、あまり感じなくなり、こうなったら米原まで行ってお昼にしようということになる。
高宮の駅。
駅舎は新しくてとてもきれいだが、ホームは古く木の柱、多賀大社に向かうホームが是から乗る近江鉄道のホームと面白い位置関係にある。
14時34分発の米原行きに乗りこむ。
なんとこの電車、最近増えてきた自転車乗りこみフリーのサイクルトレインであった。
米原に着いて駅近くのレストランでカレーを食べる。すでに15時半!
ビールが恐ろしく美味しかった!!!
16時56分発の「ひかり」で東京へ。
本日の歩行距離:約20km(・・にしては疲れた。たぶん陽射しのせいだと思われる)
京都まであと約56km。
あと少しで京都ですね。頑張ってください。
街中を流れるあの水の美しさ、バイカモの揺らぎは実際に見てみないとわからないですね。
京都までもうすぐですが、こう暑くなるとなかなか歩けないですね~;;