はりさんの旅日記

気分は芭蕉か司馬遼太郎。時々、宮本常一。まあぼちぼちいこか。
     

剱岳 点から線へ

2020-09-13 13:51:39 | 本の話
昨日、梅田に行く用事がありました。少し時間があったので、紀伊国屋書店で本を物色していて目にとまった本が『劔岳 線の記』です。

剱岳に関する本は、新田次郎の小説『劍岳<点の記>』がよく知られています。2008年には映画化もされ、もちろん映画も観に行きました。
私が剱岳にリベンジの登頂を果たしたのが2007年でしたが、ちょうど撮影が行われていたような(撮影が終わったあとかも)そんな記憶があります。



新田次郎の『劍岳<点の記>』は小説ですが、もちろん史実に基づいて書かれています。剱岳は日露戦争の直後、1907年(明治40年)に陸軍参謀本部陸地測量部の柴崎芳太郎らによって初登頂されました。
小説では、日本山岳会と初登頂争いをしていたように小説らしくおもしろく描かれています。それが事実だったのかはわかりませんが、登頂に苦労したことは事実だったと思います。今でも「カニのタテバイ」や「ヨコバイ」など難所が多い山です。
そうして苦難の末に初登頂したはずの山頂には、なんと古い時代(奈良時代から平安初期)の錫杖頭(修験者の持つ杖の頭)が残されていたのです。柴崎さんたちはショックだったでしょう。
私もその錫杖頭には興味があったので、立山博物館で見学したことがあります。

「劔岳にそんな昔に登った人がいたのか。錫杖頭が残されているということは、きっと修験者だろうな。」と、凡人の私が思うのはそこまででした。
ところが、この本の筆者の高橋大輔氏(どこかで聞いた名前ですが。)は、劔岳ファーストクライマーを「いつ」「誰が」「どのように」「どの(ルートから)」「どこに」「なぜ」を求めて迫りました。



「考えられるあらゆる可能性を検証するため現地に何度も足を運び、当時使われたであろうルートから登頂して導き出した、その答えとは・・・・・?」(帯のキャッチコピーから)

興味のある方は書店で求めてください。ちなみにお値段は1,700円です。

山にも行けない日々ですが、山の本を読んで、山に登ったつもりになるのもいいものです(笑)