日本庭園こぼれ話

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横須賀美術館+谷内六郎展・・・神奈川県横須賀市(改編)

2021-11-11 | 美術館

近年、美術鑑賞以外にも、お洒落なレストランなどを併設して、多目的なコンセプトで楽しむ美術館が増えていますね。

この「横須賀美術館」も、その一つ。三浦半島の中程、東京湾に面した観音崎公園の一画にあります。

(上: 横須賀美術館正面の景 )

 2007年にオープンしたこの美術館は、三方を観音崎公園の豊かな照葉樹林に囲まれ、眼前に海景が広がるという、絶好のロケーション。

直方体を組み合わせたシンプルな建物は、体積の半分程が地中に埋められ、外壁全体がガラスでコーティングされているようなデザインです。そのため軽快な印象で、外観の水平線と透明感が、前面の海の景色に調和しています。

(上: 水平感と透明感のある建物が周囲の風景に溶け込んでいる)

この建物を覆ったガラスは、視覚的な効果だけでなく、潮風から建物や美術品を守る、バリアの役割も果たしているそうです。

 

(上: 美術館の中庭)

室内は吹き抜け構造をブリッジで繋ぐなど、広々と開放的な造りで、天井や壁に、船の窓を連想させる大小の丸窓が開けられ、自然光が差し込む明るい展示場になっています。常設作品は、国内の近現代美術作品で、他に年数回の企画展が予定されています。

 

 

(上: 建物をつなぐ通路)

また別館は、『週間新潮』の表紙絵でお馴染みの谷内六郎館になっています。横須賀にアトリエを構えていた縁で、展示館が誕生しました。表紙絵1300点余りを中心に、絵に添えられた「表紙の言葉」や生原稿などが順次展示されています。

(上:谷内六郎館 下:壁面に風船の絵)

ただ現在、谷内六郎館は、修繕工事のため、12月17日まで休館となっています。その代わり、本館において、「生誕100年 谷内六郎展」が開催されています。(12月12日まで)

作品からは、ほのぼのとした温かみが伝わってくると同時に、古き良き時代の郷愁が広がることでしょう。

この美術館は、お洒落なレストランが海に面してあり、食事をするだけの人も多く立ち寄っています。

(上: 海に面したレストラン)

自由に出入りできる屋上は、東京湾が一望できる展望台。観音崎公園へと続く森の散歩道とつながっています。晴れていれば、海の向こうに房総半島が見えるはず。

(上: 海景の広がる屋上)

浦賀水道という有数の海上交通の要衝だけに、一日に1000隻余りの船舶が航行するとのこと。ヨットから大型貨物船まで、様々な船がひっきりなしに行き交い、見飽きることがありません。さながら動く点景物。低く響く汽笛の音もまた、情緒豊か。

この海を見渡す屋上の正面に、「恋人の聖地」と書かれた金属プレートが置かれていました。これは一体何?と調べてみたら・・・。

(上: 「恋人の聖地」のプレート)

 すなわち、NPO地域活性化支援センターが、活動の一環として、全国からデートスポットにふさわしい場所を選定したもので、例えば、東京・六本木ヒルズ展望台や、神奈川県ならば、箱根彫刻の森美術館など、自然に囲まれた場所、夜景のきれいな場所などが選ばれています。

(上: 照葉樹林の森に直結している屋上)

美術館の背後に迫る観音崎公園は、照葉樹林の中に様々な施設が点在し、森と海の魅力を兼ね備えた県立自然公園です。ここは、江戸時代には、江戸湾警護のための船見番所、台場が設置された所で、明治2年(1869)には、日本最初の洋式灯台「観音埼灯台」が建てられました。

ゆったりした空間が魅力の美術館です。

 

*アクセスや企画展など詳しくは公式HPをご参照ください。

 

 

 


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