太陽光発電シニア

太陽光発電一筋、40年をはるかに過ぎたが何時までも興味のつきない厄介なものに関わってしまった。

食料自給力

2020-12-13 08:46:36 | 日記
 昨日は市民講座の最終回だった。80名の聴講生のうち79名が皆勤賞だった。今年はコロナでカリキュラムが変更され約半年の講義だったが同年輩の人の元気さというか行く所がなく集まったというか驚異的出席率である。最終回の昨日は今年のカリキュラムの中ではNo.1の講義で大変勉強になった。「自由貿易と日本の農業・食料政策」というタイトルで講師は現役大学教授、農水省勤務の経験もありTPP交渉にも参加していた。全体的に資料スライドも要点をついてストーリー立ても良く大変理解し易いものだった。有名大学の教授やマスコミの寵児も講師として度々登場するが彼らは一様に手抜き講義が目立つ。熱心な中堅は聴いていても熱量が伝わってくる。有名だからというのは市民講座では通用しない。
 昨日は長年疑問に思っていた食料自給率に関してである。良く耳にするが日本の食糧自給率(カロリーベース総合自給率=1人1日当たり国産供給熱量÷1人1日当たり供給熱量)は令和元年で38%である。この30数%を持って自給率が低すぎると危機感を煽られる。しかしエネルギー自給率とは根本的に違うだろうと思っていた。どちらも必要な量に対して国産のものがどれだけあるかという指標だがエネルギー自給率は17年度で9.6%と殆ど輸入に頼っている。資源の乏しい日本では仕方がない面もある。しかし、食料については目一杯生産したらどれくらいになるか長年疑問に思っていた。そこに登場したのが「食料自給力」である。食料自給力とは、「我が国農林水産業が有する食料の潜在生産能力」を表すものだ。簡単に言うと日本の農地や農業労働力等の生産要素をフル活用して得られる食料の供給可能熱量である。太陽光発電で言えば設置可能なスペース(土地や設置可能な未利用空間)に敷き詰めた場合得られる発電量のようなもの。もっと簡単に言えば経済性を度外視して物理的に得られる量とも言える。可能性の数字ではあるが「自給率」が限界を表す数字ではないことを表す。当然資源小国の日本が輸入に頼らざるを得ないエネルギー自給と食料の違いは大いにある。
 食料「自給力」で言えば成人男子の1日必要摂取カロリーを2,169キロカロリーとすると、もしイモ類中心の作付けを行えば2,523キロカロリー、米・麦中心なら1,691キロカロリー(2020年)賄うことができる(イモは米よりカロリーは高い)。「自給率」が38%というのはある意味危機感を煽る政治的プロパガンダとも言える。講師の専門は農業貿易だが多国間での自由化のWTOと参加国間の自由化FTAのメリットデメリットも明解で日米FTA、TPP11、RCEP、日欧EPAなども図解で分かり易い相互関係が示された。勿論これらは関税を中心とした政治的思惑が絡み裏話に事欠くことはない。農業だけでも巷間伝わるニュースはほんの1面を捉えて政治目的に使われており真実ではなく一部の事実であることが良く理解できた。来年のカリキュラム(予定)が発表されたが異常だった今年に比べ面白そうなテーマがめじろ押しである。元気ならもう1年通ってみるか。B級読書と同じで偶に大変面白いものに出くわすから止められない。