ジローのヨーロッパ考

デンマークやドイツの農家に長期(?)滞在、体験したり感じたことを綴ります。

二つの巨星から学ぶ

2015-02-01 21:44:39 | 日記
2015年2月1日、朝から衝撃的なニュースが流れていました。一つは人質になっていた後藤さんが殺害されたらしいとの報道、さらにはドイツの元大統領のワイツゼッカー氏(94歳)が亡くなったとの報道です。

後藤さんに関しては、関係各国や様々な人々が解放への努力をされていたと思いますが、残念な結果になってしまいました。心よりご冥福をお祈り申し上げます。また、こうした事態への対処が容易でないことも再認識した次第です。

さて、もう一つのニュースであるワイツゼッカー氏に関してですが、「過去に目を閉ざすものは、現在に対しても盲目になる・・・」との有名な言葉を残している方でもあります。ナチス・ヒットラーの行いを、ドイツ国民一人一人が真正面から見据え、二度と繰り返さないと戒めている言葉でもありましょう。


ヨーロッパ大陸の数々の民族や国家隆盛衰退等の歴史を知ったり、昨今のEUの苦悩の数々に触れると氏の言葉は現代にも生き続けている言葉だと思います。

「目には目を、歯には歯を」の報復の連鎖を呼ぶような考えを続ける限りは真の平和は期待できないかも知れません。ナチスの行動の、原因の一端にもそうした作用があったのではないでしょうか。そこに過度の民族的な思い入れが加わって、一人ではストップがかけられない状態に入り込んでいった面も否定できないでしょう。

そして後藤さんの件です。私的な怨念で語るのであれば報復の連鎖につながりかねません。しかし、精神性の非常に高かった後藤さんはそれを望むでしょうか。きっと望んでいないと思います。

一方、現政府が唱えている積極的平和主義なる言葉がありますが、これも武力による外交に重きを置こうとしているように聞こえます。今の時代、まだまだ民主的国家ばかりとはとても言えないので、自衛のための一定の備えは必要なのでしょうが・・・。

しかし、まるでUSAに追随するかのような協調路線は、第3国から見ればUSA的と見えているのではないでしょうか。また、人道的支援と口には出していますが、お金だけで支援しているかのような日本の姿は、諸外国からはどのように見えていると思いますか? 私見ではありますが、経済大国で・身勝手な・特殊な国として目に映っているように感じます。

だからと言って、自衛隊の海外派遣(平和維持)を推すものではありません。ジャイカのように国際活動・支援等をしている人たちもありますので、そうした面では益々貢献することを期待したいと思います。加えて、先の大戦で多くの犠牲者を出し、敗戦を味わっている日本はどのような路線を進むべきでしょうか。

ワイツゼッカーが明言しているではありませんか。現行政府が推し進める積極的平和主義とは彼の忠告に反していると感じます。敗戦国日本であるからこそ選ぶことができる道があるのではないでしょうか。それは、例えばUSA等と同じような行動を採ることではなく、もう一段先を行く考えを採択することではないでしょうか。今のままでは、いくつかの過去の事実を見ないようにして、前車の轍を踏もうとしているように見えます。仮に「違います」と言っても既に信用できないのです。

ワイツゼッカーの言葉をもう一度噛みしめましょう。精神的な指針を示すべきではないでしょうか。それは単に「テロには屈しない」だけでは表現できていないと思います。他の友好国に追随するのではなく、協調はするものの一歩先進的な考えを示してリードすべきではないでしょうか。

エコノミックアニマル・ジャパンではなく、お金を出すだけの日本でなく、精神的な支えになり得る国家として世界をリードすべきと思います。過去を正面から見据え、日本だからこそ言える・リードできる考えを示すことはできるでしょう。これが日本の貢献するメインの柱であって欲しいものです。

であれば、後藤さんもワイツゼッカーもきっと応援してくれるに違いありません。

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