日本軍という巨大組織の失敗の本質。 同じ日本軍とは言っても、陸軍と海軍では体制も考え方も全く違っており、それは武器や戦術にも現れていました。中国やアメリカと戦いながらも、お互いがライバルであって競争意識もあり、例えば海軍が空母を作ると、陸軍も同じように空母や潜水艦を作るほどだったようです。当然のことながら、両者が造る兵器は独自のものとなり、海軍のものは陸軍で使えない。逆も同じという有様です。双方が歩み寄って基準を決める「標準化」という考え方もなく、多種多様な兵器を作ることになり、それが現場での使いにくさに繋がってしまいました。
日本軍の戦略的な失敗は、多くの専門家が研究し、本も出ていますが、この本では主に「兵器開発思想」の観点から日本軍を分析しています。最近、失敗学の研究が盛んに行われていますが、日本軍研究は現代に生かせる教訓として格好の題材だと思います。
かつてビデオやDVDの「標準化」を争って、世界の流れに取り残された日本の家電業界を見ていると、教訓はあまり活かされていないような気もします。
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