グレイドン・パリッシュ
原題はわからないが、モデルはモデルらしい。要するに、若い頃は突出した美人だったのである。
これはそういう偽物の美人が年をとってきて、美人でいるためにあらゆるあがきをした一例である。
盗んだ顔が消えていき、本当の自分が染み出てきている。それをなんとか押しとどめるため、
表情を少なくする。髪を大きくし、貧相になってきたことをごまかす。化粧をきつめにして、老醜をごまかす。
そういうテクニックでもって、美人ではなくなった自分をごまかそうとすると、女はよくこういう感じになる。
誰も言わないが、はっきり言って気持ちが悪い。年をとってきてもまだ欲しいものがあるのかと、人々に冷たく見られているが、本人は気づいてはいない。
本当の美人は、こうはならない。美しい顔のとおりによく生きれば、年をとってくれば若さよりももっと豊かな美しさが備わってくるものだ。
だが、たいていの本物は、そういう豊かな老後の美しさを人に見せる前に、死んでしまうのである。