世界はキラキラおもちゃ箱・第3館

スピカが主な管理人です。時々留守にしているときは、ほかのものが管理します。コメントは月の裏側をご利用ください。

貝は

2024-07-22 03:35:38 | 詩集・こどもたちへ

貝は
一粒の真珠を作るために
どれだけの痛みに耐えるだろう
木は
強い幹を作るために
どれだけの嵐に耐えるだろう

こどもたちよ
試練から逃げてはいけない
神様は
君たちを強い子にするために
苦い薬を飲ませるのだ

強い子にならなければ
君たちは自分に嘘ばかりつく
いやな子になって
みんなにきらわれる
そんなことになるのは
いやだろう

だからこどもたちよ
痛みに耐えなさい
孤独に耐えなさい
そうすれば
魂の骨が強くなって
君たちは本当に
いい子になれる

悲しみも苦しみも
深くかみしめて
真珠のように
自分の心を育てなさい
そうすれば君たちは
とてもやさしい
美しい子になれる





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2024-07-21 03:16:00 | 詩集・こどもたちへ

ダイヤの太陽を追いかけて
墨のような闇の中を
二匹の銀の魚が
泳いでいる

透明な嘘でできた
ガラスの鎖で
互いをしばりつけながら
どこまでも暗い
水の中を泳いでいる

ダイヤの太陽を
捕まえれば
自ら光る神の卵に
なることができると
思い込んでいるのだろうか

愛していると
嘘を言った日から
めしいのきぬに
覆われた世界を
二匹の魚が
どこまでも泳いでいく




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強さ

2024-07-19 03:09:50 | 詩集・こどもたちへ

針を含んだ風の中を
傷だらけになりながら
歩いていた

嘲りを含んだ視線を
雨のように浴びながら
君は笑っていた

神様からもらった
小さな希望の風船を
胸の中に守りながら
君はあらゆることに
耐えていた

もう自分しかいないからと

嫉妬と憎悪の泥を
投げつけられながら
君はただ一粒の
美しい真珠を吐いた
ただそれだけで
世界中の空の色が
変わった

力を使い果たして
倒れた君の傍らに
たたずみながら
わたしは涙で
いうことしかできない

ありがとう
君の強さに
感謝する




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にわとり

2024-07-18 03:32:49 | 詩集・こどもたちへ

汚れた血を
世間に振りまきながら
ゆっくりと萎えていく
にわとりがいる

夜の訪れのために鳴き
水田に流す水を止めるために
いそいそと石を運びながら
おれが稲を救うのだと
堂々と嘘をつく

星空を映した水田は
にわとりの血を浴びて
鋼鉄の案山子を
呼ぶだろう

にわとりは
病血を見破られ
泡立つ水田の星に
阿呆と言われるだろう




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猫女・3

2024-07-16 03:21:08 | 詩集・こどもたちへ

寂しさのうつろを
腹の中に抱いたまま
幸せのふりをするのも
疲れてきました

ああ
なぜあんなことを言ったのか
愛なんて
いらないと

厳しい真実の玉を
飲まされるよりは
嘘で作った幸せの中に
逃げているほうがいいのだと

愛を
ことわったら
わたしの周りの
すべてが無意味になった

薄い紙でできた
かたちだけの幸せの家に
住みながら
わたしは
真実のいない
黒々としたうつろに
頭をむしばまれていくのです




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ゴミ

2024-07-15 03:25:29 | 詩集・こどもたちへ

金と暇にあかして
好きなだけ女を食おうと
馬鹿ばかりをやってきたら
すべてがだめになった

女なんて馬鹿だから
愛することなんてやめて
肉のように食いまくって
満足すれば捨てればいい
そういう生き方をしてきたら
人生がゴミになった

愛が何もない
糞の闇を泳ぎながら
かつて人間だったおれの
愚かななれの果てを
見る

逃げることはできない
罪の山にひきずられながら
後悔すらもできずに
呆然と
まだ馬鹿にすがりついている
おれをおれが深く軽蔑する

金さえあれば
夢のような男の人生が
送れるはずだったのに

世間のガキどもよ
見るがいい
これが
女を馬鹿にした男の
行きつく地獄だ




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2024-07-13 03:32:48 | 詩集・こどもたちへ

青薔薇で染め上げた空を
猿の行列が歩いている
虹色の幻を灯した
鉛の松明を持ちながら
どこまでも青い
闇の中を歩いている

馬鹿こそが
偉い神なのだと言って
天と地を逆さまにした
あの日から
ずっと空の中を歩いている

遠い昔
曲がった嘘で塗りつぶした
正義の太陽が
はるか下で
光の翼を広げようと
動き始める音が
聞こえる

消えていく松明を
呆然と見上げながら
頭から真っ逆さまに
落ちてゆく予感に
猿は
身動きもできない





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人生

2024-07-11 02:47:02 | 詩集・こどもたちへ

何をしてもうまくいかない
生きていてもつまらない
そう言って
人生を馬鹿にしては
いけません

もう少し勉強しなさい
下げたくない頭も下げて
自分のプライドを
柔らかくしなさい

そうすれば
心の背丈が伸びて
新しい世界が見えてくる
幸せになれなかったのは
自分が間違っていたからだと
わかる

人間の幸せは
お金やものや
恋人の数では
ないのです

自分が持っている
その人生を
愛のために投げうつとき
人は最も幸せなのです




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人間の光

2024-07-09 02:58:53 | 詩集・こどもたちへ

嘘を抱いて
生まれてきた
こどもたちよ

天使の爪を盗み
おかしな魔法の鍋に入れて
ぐつぐつと
自分の幸せを煮込んでいる
馬鹿者よ

もうやめなさい
君たちの見ている夢は
幻のカーテンに描かれた
下手な芝居の書割なのだ

泥の仮面をかぶり
ふざけた踊りを踊りながら
愛を馬鹿にする
汚いエゴの祭りなのだ

そのまま
何も変わらないでいれば
君たちは
虚無が支配する
あほうの国に
落ちてしまうだろう

人間の境の岩を崩し
二度とは戻れない
あやかしの森に
迷い込んでしまうだろう

さあもうやめなさい
逃げることはできない
本当の自分に戻り
人間の
まことの光を
取り戻すのだ




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2024-07-04 03:39:45 | 詩集・こどもたちへ

魚の舌で作った
銀の造花を踏みながら
果てしない海の上を
歩いていく馬鹿がいる

逃げることはできない自分を
妖怪のように背負い
重い足取りで次々と
海に浮かぶ造花を
踏んでいく

一つでも踏みそこなえば
深い海の奈落に落ち
そこで真実の巨魚に
飲み込まれてしまうだろう

何億の魚の舌を抜き
愛に似せて作った
銀の造花を踏みながら
馬鹿が歩いていく
永遠の海の上を
歩いていく

こんなことは
二度とするものかと
うめきながら
絶望の日々を
数えていく




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