世界はキラキラおもちゃ箱・第3館

スピカが主な管理人です。時々留守にしているときは、ほかのものが管理します。コメントは月の裏側をご利用ください。

燕の子⑤

2019-06-30 04:42:33 | 夢幻詩語



それから数日後、千秋はまた例の夢を見た。

灰色の部屋の真ん中で、千秋が積み木を積んでいると、背後から声がする。

振り向くと、またあの黒い人影がいた。

また言うんだな、と千秋は思った。約束を守る、ってこと……。

だが、そのとき人影が言ったのは、別の言葉だった。

「インターバル……」

インターバル? 千秋が聞き返すと、突然黒い人影が絹子の顔になった。

「おまえはね、インターバルで、悪いことをしたんだよ……」

なんのことよ、それ、と聞き返すと、絹子の顔は消え、また元の黒い人影になった。

「約束だよ」

人影は言った。

「おまえは、俺と約束をした。でももうだめだ。どうしてもいやなことになる……」

目を覚ますと、雨の音が聞こえた。

しばらくの間、千秋は身動きができなかった。全身がしびれたように冷たくなっている。何かの病気だろうか? いやそれとも、変な夢にあてられたのだろうか。

千秋はとなりで寝ている真夏を見た。いつものように、とんでもない寝相で、腹を出して眠っている。千秋はゆっくりと身を起こすと、また真夏のパジャマをなおし、腹にふとんをかけてやった。

寝床からそっと出て立ち上がると、少しめまいがした。頭の中がもやもやしている。インターバル…インターバル…、夢で聞いた絹子の声が、頭の中で繰り返された。

ばかばかしい、あんなのでたらめよ。おかあさんに一度注意してやらなくちゃ。変な宗教にはまって、大変なことにならないように。

ふすまをそっとあけて、隣の部屋に入ると、外から聞こえる雨の音が一層強くなった。ああ、今日は外で遊べないって、真夏が残念がるだろうな。千秋がそう思いながら、窓によると、ふと、背筋を冷気が上った。

「インターバル・・・・・・」

聞こえないはずの、声が聞こえた。振り向いてはいけない、と思うのに、千秋は振り向いた。するとそこに、あの黒い人影がいた。

悲鳴をあげたような気がした。だがそれは夢だったようだ。目を開けると、千秋はまだ寝床の中にいた。二度寝してしまったのだ。

目覚ましを見ると、千秋は小さな声をあげ、あわてて寝床から起き上がった。





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燕の子④

2019-06-29 04:35:25 | 夢幻詩語


幼稚園は歩いて十五分ほどのところにある。真夏は、行きは夫の車に乗って送ってもらえるが、帰りは千秋と一緒に歩いて幼稚園から帰ることになっていた。街を歩きながら、千秋はどこかで燕の子が鳴き騒ぐのを聞いた。ふと目をあげると、曲がり角にある米屋の軒下に、小さな燕の巣がある。

親燕らしい鳥が、忙しそうに空をよこぎっていく。巣の中では、もうだいぶ大きくなったヒナが、巣から胸を乗り出しているのが見えた。そんな燕の様子が、自分の家庭のことも思わせて、千秋は知らず幸福な気分になった。ふくふくと太っている燕の子の胸が、真夏のまるいほっぺを思わせた。

米屋の角を曲がって、まっすぐにしばらく歩くと、幼稚園につく。幼稚園の門前までいくと、千秋は先生に呼び止められた。何でも、真夏が雲梯から落ちてころげて、ひざにけがをしたという。
「ほんの少しすりむいただけなんですが」
先生が心配そうに言うのをしり目に、真夏は元気に言った。
「さんだんとばし、やってみたの!」
「まあ、真夏ったら」
千秋は真夏のけがを確かめながら、あきれたように言った。きれいに絆創膏がはってあった。ちょっとすりむいただけだ。心配はない。

「でもできなかったの、さんだんめって遠いんだよ。どうしてもとどかないの」
「まだ無理よ。大きいみさこちゃんだって、できないんでしょ?」
「大きくなったらできる?」
「大きくなってからにしなさいね」
千秋は先生にお礼を言ってから、真夏をつれて家路についた。

「ねえねえ、大きくなったらできる?」
家に帰る途中、真夏は何度も聞いた。
「できるようになるわよ。でも大きくなるには、ちゃんとご飯を食べないとね」
「ごはん食べる! みさこちゃんてね、足も真夏より大きいんだよ」
「真夏はみさこちゃんが好きね」
「うん、好き!」

真夏はまぶしいくらい素直な笑顔で言った。千秋はこういう真夏の明るさが好きだった。時々、自分の子とは思えないとさえ思った。千秋の子供の頃は、どちらかと言えば陰気で暗い子供だった。いじめなんかはなかったが、隅っこで本ばかり読んでいる、目立たない子供だった。そんな自分に、どうして真夏のような明るい活発な子ができたんだろう?

雲梯から落ちてけがをするなんてことも、真夏の美しさがあふれ出ているような気がして、かえって千秋はうれしく思った。自分から生まれた、美しい子供。千秋の子供。真夏。真夏に生まれた真夏。千秋は真夏の手を引きながら、言った。

「もうすぐ真夏の誕生日ねエ」
「うん、真夏、七月に生まれたんだよね」
「ケーキ買ってお祝いしようね」
「うん、ピンクのバラがついたやつにしてね!」

真夏は元気に言った。ふと、千秋の目の前を、燕が横切った。千秋は微笑んだ。また燕の子が騒ぐ声が聞こえる。千秋は米屋の軒を指さしながら、真夏に教えた。

「ほら真夏、つばめよ」
「どこ?」
「あそこ」
「ほんとだ! いる!」
「かわいいわねえ」

真夏はうれしそうに燕の子の数を数え、よんひきもいる!と歌うように言った。なんてかわいい子なんだろう。千秋は胸に情愛が満ちてきて、かきむしるように真夏を抱きしめたいと思った。でも、できずに、ただいっしょに燕の子を見上げていた。燕の子は幸せそうに巣の中で身をよせあっている。

親燕も幸せだろう。あんなにかわいい子供がいて。ふたりはまた歩き出した。千秋は真夏の手をにぎりしめながら、幸せでたまらなかった。

きっと、ずっとこんな日が続いていくに違いない。家への明るい道を歩きながら、千秋はそう思っていた。





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燕の子③

2019-06-28 04:41:25 | 夢幻詩語



電話が鳴ったのは、千秋が部屋に掃除機をかけ終わり、朝の家事のルーチンをほぼ終えたころのことだった。

「はい、高下です」
「ああ、千秋?」
電話に出ると、聞き覚えのある甲高い声が聞こえた。千秋は、まずいな、と思った。声の主は実家の母の絹子だった。

「そろそろ休み時間だと思ってかけたの。あんたはだいたい時間通りにものごとをやるたちだからね」
絹子は言った。千秋は別にそれに反論はしなかった。千秋には、何かにつけ決まりをつくってそれを律義に守っていくような性質があった。
「まあね、一休みしようと思ってたところだけど……なんか用? おかあさん」

「いやね、こんどSの講演会に行くんだけど、あんたもいっしょに行ってくれないかと思って」

またか、と千秋は思った。Sというのは、今絹子が凝っている霊能者の名前なのだ。
「おかあさんてば、変な宗教にはまってるんじゃないの?」
千秋がいうと、絹子はちがうちがう、と否定した。
「別にそんなんじゃないわよ。勧誘みたいなことしてるわけじゃないから。たださ、なんとなく、あんたのことが心配だからよ」
「何よ、心配って」
「ほら、子供のころから変な夢ばかり見るっていうじゃない」
ああ、それか、と千秋は舌を打った。例の黒い人影の夢のことは、何度か母に相談したことがあったのだ。

「昔から神経質な子だったからね、心配してるんだよ。霊的に問題があるんじゃないかって」
「霊的って」
「もしかしたら前世に問題あるんじゃないかって、Sに相談してみたのよ」
「おかあさんたら、そんなこと勝手に……」
「そうしたらね、あんたの前世を教えてくれたの」
「あたしの前世って何よ」
半ば興味を持ちながら、千秋は聞いてみた。すると絹子は当たり前のことのように、言った。
「あんたは前世、ドイツあたりで商人の娘だったって話よ」
とたんに千秋は、話を聞く気力を失った。うんうんといい加減に返事をしながら、絹子が話すのを耳元で聞き流していた。

「それでね、インターバルのときに……」
「インターバル?」
「インターバルっていうのは、前世とこの人生の間に、霊界にいる時のことよ。人間、死んでる間は、あの世にいるからね、そのときに……」
「ああ、もうこんな時間よ、おかあさん、あたしそろそろ買い物に行かないと」
「ああ、そうね。でもね、あなたにはインターバルに問題があって、なんとかしなきゃいけないそうなのよ。それをほっておくと、嫌なことが起こるかもしれないって、Sが……」
「あまり本気にしないほうがいいわよ、おかあさん、そんなこと言って、変なお札とか買ったんじゃないでしょうね」
「あらやだ、ちがうわよ。Sはそんなことしないのよ。ただ……」
「またね、おかあさん」
このままではまた話が長くなると思い、千秋は半ば強引に電話を切った。

買い物を終え、簡単な昼食をとると、もう真夏を幼稚園に迎えにいく時刻になった。千秋は上着をひっかけて、いそいそとマンションの玄関を出た。外に出て見上げると、空は初夏の光に満ちていた。





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燕の子②

2019-06-27 04:39:49 | 夢幻詩語


「おはよう、ママ!」と真夏は大きな声で言う。千秋は笑いながら、「おはよう、真夏」と答える。夫は挨拶もせずに、さっそくテーブルについて、朝ご飯のみそ汁をすする。

「今日は幼稚園で、みさこちゃんと遊ぶんだ」と真夏もテーブルにつきながら言った。千秋は、へえ、そう、と言いながら、真夏の小さなお茶碗にご飯をついだ。真夏はうれしそうにご飯をぱくついた。

「みさこちゃん、うんていが上手なんだよ、二段とばし、できるんだよ」
真夏はおしゃべりだ。こっちが何も聞かないのに、ひとりでしゃべっている。夫も千秋もどちらかといえば物静かな方なので、家の中では、真夏だけがにぎやかにしゃべっているという感じだった。

「ほら、ごはんつぶ落としてるわよ」
千秋が注意すると、真夏はこぼしたご飯粒をつまんで口に運びながら、おもしろそうに笑って言った。
「みさこちゃんとうんていで遊ぶんだ。でもうんていやってると、いつもしゅん君が邪魔しにくるんだよ。それでけんかするの」
五歳児とは思えないようなしゃべり方で、真夏はしゅん君とみさこちゃんのけんかを説明し始めた。千秋は困ったように笑いながら、先に食べてから話しなさい、と言った。

食事が終わり、洗顔と歯磨きを終えると、真夏はタンスの前に行って、自分で服を引きずり出し、それを着始めた。何でも自分でやるのが好きな子なのだ。しかし勝手にやらせておくと、いつも自分の好きな服ばかり着るので、千秋が口を出す。

「そっちの緑のにしなさい。そのピンクのはもう暑いでしょ。半袖がいいわ」
「でも、みさこちゃんもピンク着るんだよ」
「みさこちゃんは関係ないでしょ。ほら、袖にフリルがついててかわいいわよ」
真夏は不満そうだったが、結局は千秋のいうことを聞いた。あまり強情は張らない子なのだ。きりのいいところで、親の言うことを素直に聞いてくれる。そこがまたかわいかった。フリル付きのモスグリーンのワンピースを着て、カバンをかけ、帽子をかぶると、真夏は嬉しそうに玄関に走っていった。

「みさこちゃんと遊ぶんだ!」真夏は玄関で足踏みしながら、父を待っていた。

真夏を幼稚園まで送っていくのは、夫の役目だった。
「いってきまーす、ママ!」
「いってらっしゃい。気をつけてね」
千秋は夫と真夏を送り出すと、ふうとため息をつき、台所に行ってテーブルを片付け始めた。





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燕の子①

2019-06-26 04:25:54 | 夢幻詩語



そこは、狭い灰色の部屋の中だった。

千秋は、畳の上に座って、赤い積み木を積んでいた。もう二十八にもなるのに、なんでこんなことをしているんだろう、と考えていると、ふと背後から呼ぶ声がして、千秋は振り向いた。見ると部屋の隅に、黒い布を頭からすっぽりとかぶった人間がいる。

千秋は肝のあたりをひやりと何かに触られるような気がした。しかし、怖い、という感じはしなかった。なんとなく、その人間を知っているような気がするからだ。

「約束は守るよ」

その黒い人影は不思議な声で言った。千秋は何のことやらわからないまま、だまってうなずいた。すると急に、下腹がきゅっと痛くなった。

いやだよ、と言おうとして、目が覚めた。

白いものが見える、と思ったら、それは小さな子供の足だった。千秋は寝床から半身を起こし、となりのふとんで寝ている娘の真夏の寝相を見た。五歳の真夏は、頭と足を反対にし、枕の上に膝を載せて眠っていた。ピンクのパジャマを胸までたくしあげ、おなかがまるだしになっている。やれやれ、とため息をつきつつ、半ば嬉しそうに、千秋はそっと真夏のパジャマを直し、ふとんをかけてやった。

そしてしばしの間、かわいい真夏の寝顔に見とれたあと、夫と娘を起こさないように寝床から出て、千秋は朝の支度に入った。

着替えようとタンスから黒いTシャツを出した時、ふと夢のことがよみがえった。部屋の隅にいる黒い人影。千秋は子供のころからよくそういう夢を見た。なんだか懐かしいような不思議な声で、その人影はいつも言うのだ。

約束は守るよ。

いや、約束を守るんだよ、だったかな。とにかくそういう感じのことを、人影は千秋に言うのだ。思い返すと、何やらいつも下腹がしめつけられるような不安を感じる。約束? 約束とはなんだろう? 

考えようとするが、思考が壁に阻まれたようにその先に進まない。千秋は考えるのをやめて、Tシャツを頭からかぶった。ジーパンも黒いのをはいた。千秋は黒が好きなのだ。地味で、目立たないようなものが好きだ。そんなことが、夢に影響しているのかもしれないと思った。

朝食の支度が終わるころ、真夏と夫が寝室から起きだしてきた。





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いやなやつ

2019-06-21 04:27:55 | 言霊ノート


馬鹿は他人と自分を比べてしまうんだ。それでどうしても自分の方がつらいと思い込んでしまうんだよ。その時点で、自分をあきらめてしまう。ほとんど努力しなくなるんだ。それで、努力して成長していく他人を妬んで妨害する活動ばかりやるようになるんだよ。人のものを盗んで自分をよくすることが平気になってくる。それが当たり前になってしまう。そうなったら、たまらない馬鹿になるんだ。いやなやつ、というものに自分がなってしまう。それがつらくて、馬鹿はまるごとすべてを嘘にしてしまうんだよ。

アンタレス





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年老いても

2019-06-15 04:37:08 | 詩集・絹の鎖

年老いても美しくいたいのなら
妙な薬や技術に頼るよりも
霊魂を美しくしなさい

若いころはまじめに勉強をし
年をとってきたらまじめに働き
社会のために 人々のために
美しいことをしていくのです

うそをつかず
ずるいことをせず
清らかに生きなさい

つらいことがある時は
酒やたばこなどに頼らないで
心を神に浸し
まじめに生きる自分を
神に見せましょう
そうすれば神がいいことをしてくださる

なにもかも
人の美の元は若さだけではありません
深く美しいことをしてきた
年老いたことの美しさもあるのです

まじめに生きる自分を
大切にしなさい
自分というものを愛し
そこからすべてをやっていきましょう

人を大切にし
たとえ裏切られても
恨んだりなどしてはいけません
恨みや憎しみなどの感情は
霊魂をひどくゆがませるからです

心を神に浸し
なにもかもを神におまかせし
自分は清い道を生きていきましょう

そのように
美しく生きることによって
自分の霊魂を美しくするのです
そうすれば
年老いても
人は美しくいることができるのです





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助けて

2019-06-14 04:35:37 | 詩集・絹の鎖

帰りたい 帰りたい
何もしてなかったころのわたしに
帰りたい

嫉妬して人を殺したなんて
そんなことをした自分と
別れたい

いやらしいことをしたんじゃない
全部向こうが悪いのよ
あんなにきれいだったら
わたしがつらくなるじゃない

わたしが悪いんじゃない
向こうが悪いのよ
あんなにきれいだったら
殺してくれっていってるようなものなのよ

嫉妬した自分がいやなの
あんな美人に嫉妬した
自分がいやなの
かき落としてしまいたい

全身がむずがゆくて
ぎりぎりピアノ線でしめつけてしまいたい
切り落としてしまいたい
こんな自分 こんな自分
全部ひきちぎってしまいたい

なんで嫉妬したの
だってわたしは
あんな美人じゃないから
醜いから 汚いから
いやらしいことするから

助けて だれか
全部 わたしを
否定して





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きれいなものが

2019-06-13 04:34:51 | 詩集・絹の鎖

きれいなものが
きたなくなった

天使にボロをきせといて
自分はきれいにしていたら
きれいなものが
きたなくなった

天使の顔を手に入れて
きれいな服を着てみたら
きれいなものが
きたなくなった

自分ばかりをうつくしく
きれいなもので飾ったら
きれいなものが
きたなくなった

馬鹿なおんなはもうにどと
きれいなもので飾れません
きれいなものは
きたなくなった

きれいにすればするほどに
自分ばかりをかんがえる
きたないものに
なるのです





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迷い

2019-06-12 04:35:00 | 詩集・絹の鎖

自分でも自分を
馬鹿だと思うのです

いやなことした自分を
隠すために
馬鹿なことばかりやってる
いやなことを忘れるために
苦いことばかりしている

そんな自分がいやで
いやでたまらなくて
ばらばらにしてしまいたいほど
憎くて

こんな自分なんて
反吐が出るほどきらい
でも消すこともできなくて
いつまでも
いやなことばかり
苦いことばかり
している

どうしたらこんなことをやめられるのか
いやなことした自分を認めて
みんなに謝って償うの
それしかないってことは
知ってるの
でも

汚いことした自分を認めるのが
嫌なんです
無理にでも自分の方がきれいだって
そういうことにしたい
そういう自分を
否定できなくて

まだ迷ってる
まだ迷ってる
嘘と本当を入れ替えることができたら
わたしは助かるかしら
でも
そんなことをすればもう終わりだと
神様に言われるのです





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