月のかえる⑨

すると三番目の天使はまた言いました。
「真珠を盗まなくても、あなたが鳴けばいいのですよ。やさしい心で鳴けば、みなとてもいい声で鳴けますから」
かえるは、言われたとおりにしてみました。すると、自分も、神さまの真珠のように、おもしろい声で鳴けるということに気付きました。

月のかえる⑧

「悪いことをするから、そうなるんですよ。直してあげましょう」
三番目の天使が言いました。そして呪文を唱えました。
すると大きな辛子の木はたちまち消えてなくなり、代わりにきれいな林檎の木が生えて、花がたくさん咲きました。
するとかえるの皮膚はたちまち直りました。かえるは泣きながら、言いました。
「ごめんなさい、ごめんなさい、もうしません」

月のかえる⑦

「ひとのものを盗んでは、いけませんよ」
二番目の天使が言いました。
そしてからい水にあわててあばれているかえるの手から真珠をとりあげました。
かえるはからくてからくてたまらなくて、何もできません。
あんまり水がからいので、青い皮膚が赤くなって、ひりひりしてきました。
やけどをしたように、からだじゅうが熱くなってきました。

月のかえる⑥

そのとき、天使の声が、聞こえてきました。
「いけませんよ、それは盗んだものでしょう」
かえるがびっくりして振り向くと、大きな天使が、怒った顔をしていました。
「悪い子はこらしめねばなりません」
そういうと天使は、呪文を唱えました。
すると池の周りに大きなトウガラシの木が生えて、池の水がとても辛くなってしまいました。
かえるは叫びました。
「こ、これは、たまらない」

月のかえる⑤

「ああ、きれいな声だな。まるで静かな水の音のようだ。こんな歌をずっと聞いていたい」
かえるは盗んだ真珠の歌を聞きながら、うっとりしています。
真珠は、静かに歌います。

ころころ水の　清い音
神のこころをうたいます
耳を澄ましてごらんなさい
わたしが生まれた幸せが
すこおしずうつみえてくる

月のかえる④

月のかえるは、月の池に住んでいます。
青くて、とても大きなかえるです。
でも、時々、神さまの蔵に忍び込んで、真珠を盗んでしまうのです。
なんでって、神さまの真珠が、とてもきれいな声で歌うからです。

月のかえる③

そこで三人の天使は早速、月のかえるのところに行きました。

月のかえる②

神さまのところにいくと、神さまはおっしゃいました。
「わたしの蔵の真珠を一つ、月のかえるが盗んでいった。取り戻してくるように」

月のかえる①

三人の天使が、神さまに会いに行きます。
神さまに呼ばれたからです。

月のかえる・中扉

こういうページも大事です。
無駄だなんて言ってはいけません。
こんなところを見ると、お話のワクワク感が高まりますね。
大事にしていきましょう。
明日からお話が始まります。