中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

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第1,125話 抽象的か、具体的か

2022年07月20日 | 研修

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

弊社が行う短時間の研修やセミナーの終了後に、受講者から「もっと具体的な話を聞きたかった」という感想をいただくことがあります。

研修やセミナーの中で説明をする際には、どういうテーマであっても、まずは抽象的な話からはじめて、続いて具体的な話をすることが多くなります。1日以上の研修であれば、どちらの話もじっくりすることができるのですが、短時間の研修やセミナーの場合はどうしても時間に制約があるため、具体的な事例を挙げたり、それに沿って演習をしていただいたりすることにはおのずと限りがあるのです。そうすると、終了後のアンケート等で冒頭のような感想をいただくことになるのです。

この「抽象的」と「具体的」については、どのくらいのバランスで話をするとよいのか、その割合がとても難しいと感じています。具体的な話は、たしかにわかりやすいと感じる人が多いのでしょうが、一方で前提となる抽象的な話を先にして、はじめて次のステップとして「具体的にお話しすると・・・」と続けることができるのです。

先日、弊社が営業セミナーを担当させていただいた際にも、短時間のセミナーだったということもあり、具体的な話がやや少ないと感じた受講者がいらっしゃったようでした。その結果、セミナー終了後に「考え方はとても理解できたけれど、具体的に明日から何をどうすればよいのかをもっと知りたい」という声をいただきました。

ここで改めて、抽象的と具体的という言葉の意味を広辞苑で調べてみると、「抽象的とは、抽象して事物の一般性をとらえるさま。現実から離れて具体性を欠いているさま」とあります。一方の具体的は、「形をそなえ、存在が感知できる様。一般的という意味での抽象的に対し、実態的・個別的なさま」とあります。

このように、本来の意味合いを確認してみると「抽象的」と「具体的」はそれぞれに必要なとらえ方であり、どちらか一方が優位というようなものではないわけです。しかし、現在は具体的なわかりやすい話のほうが優位といった傾向があるように思えますし、私の経験から言っても抽象的な話しから具体的な話に変わった途端に、俄然興味を示すような表情になる人が多いのも事実です。

しかし、抽象的なものだけ、具体的なものだけというように、どちらか一方だけを根拠にしてものごとを理解し判断するようなことになると、結果として少々偏った考え方になってしまいかねないことが懸念されます。そのように考えると、また抽象的と具体的はお互いに補完しあう関係とも考えられることから、物事をそれぞれの視点から意識的にとらえて考えること、そしてそのバランスが大切なのだと思います。

自身は物事を抽象的にとらえる傾向が強いのか、あるいは具体的にとらえる傾向が強いのか、まずはその点を改めて確認したうえで、バランスを考えながら双方の視点で物事をとらえることを意識してみることから始めてみてはいかがでしょうか?

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