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世界で一番危険な動物

2015年11月22日 | コンサルティング

世界で一番危険な動物はなんでしょう?ニューヨークにあるブロンクス動物園(Bronx Zoo)の類人猿舎にその答えがあるそうです。そこには、The Most Dangerous Animal in the World、という文字が書かれた檻があります。恐る恐るのぞいてみると、向こう側に鏡が置いてあります。鏡に映った自分=人間こそ「世界で一番危険な動物」というわけです※。

これは有名な話なのですが、残念ながら作り話のようです。山崎豊子の「沈まぬ太陽」や石森章太郎の「ファンタジーワールド ジュン」(1968年頃のCOM)にも出てくる話なので、昔は本当にあったのかもしれません。しかし、Yahoo.comなどでアメリカのサイトを探したのですが、関連する情報は見つかりませんでした。

私たちは「見たいものしか見ないし、信じたいものしか信じない」という話を以前書きました。そうした例は私たちの周りにたくさんあります。

たとえば、「三丁目の夕日」の頃の昭和時代よりも、現在は殺人を含む凶悪な犯罪は増えている、というのは犯罪白書を読めば間違いであることがわかります。

「ゆとり教育のせいで、小学校では徒競走のときに全員が手をつないでゴールする」という話も、ごく少数の例外があった可能性はありますが、実際はほとんど行われていません。円周率=3と教える、というのも同様です。

このように書くと、「いや、私は見た」とか「事実だ」という声が返ってくることがあります。しかし、それを裏付ける画像は一切存在していません(わずかに幼稚園の運動会の画像で、それらしきものがありますが)。

たぶん「信じたいものを信じる」という人間の心の性質が、あらゆる宗教の土台になっているのでしょう。

それはそれで(実害がなければ)構わないのですが、研修講師やコンサルタントのような立場の人が「信じたいから」といって裏を取らずに発言をすることは最低な行為だと思います。

「アメリカの有名な心理学者がこう言っています」と口にする限りは、少なくともその心理学者の原著論文や書籍くらいは目を通しておかなければなりません。

そうでなければ、知ったかぶりを通り越して無知というべきですし、知っていて言うならば嘘つきということになります。

もちろん、自戒を込めて。

(人材育成社)

※世界で最も危険な動物ランキング・ベスト(ワースト)25です。1位はお馴染みのあれです。

The 25 Most Dangerous Animals In The World