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日々の覚書

MFCオーナーのブログ

虹をつかもう

2011年07月03日 01時05分01秒 | 本と雑誌

Rainbow

前回の記事にも書いたが、レコードコレクターズ6月号の特集はレインボーだった。初代ボーカリストのロニー・ジェイムス・ディオの一周忌を迎えたこと(しかし、キャンディーズのスーちゃんもだけど、亡くなってしまったミュージシャンやアイドルがあまりにも多いのに、今さらながら驚いている)、そして近頃レインボーの2ndアルバム『虹を翔ける覇者』のデラックス・エディションが出たこと、などが特集を組むきっかけになっているのだろう、とは思うけど、でもやっぱりレココレでレインボーの特集なんて意外である(しつこい)。

それにしても、この『虹を翔ける覇者』のジャケットは素晴らしい。古典的で格調高く、アートの域に達していると言ってもいい。後年の様式HR系のバンドたちの仰々しいジャケットの先駆、と言えなくもないが(笑)、その音楽性と共に、レインボーが様式HRに与えた影響は大きいと思う。

このレインボーいや、ブラックモアズ・レインボーの『虹を翔ける覇者』は衝撃的だった。時は1976年初夏(僕はずっと、このアルバムが出たのは1976年の秋と記憶していたが、実は初夏だったらしい)、ミュージック・ライフ誌の広告で芸術的なジャケットを見て衝撃を受け、FMで「タロット・ウーマン」を聴いて、さらに衝撃を受けた。今でこそ、『虹を翔ける覇者』といえば、「スターゲイザー」か「ア・ライト・イン・ザ・ブラック」という事になるのだろうが、あの当時ラジオでよくかかっていたのは、なんといっても冒頭を飾る「タロット・ウーマン」だったのである。今にして思えば、B面の2曲はラジオでかけるには長過ぎたのだろうけど(笑)、とにかく「タロット・ウーマン」カッコ良かった。深く潜行するイントロのシンセ、そこに鋭く切り込んでくるギターのリフ、それだけでもゾクゾクするのに、加えてドラムのフィルがなだれ込んできたらもうたまらん、中学生だった僕はその場で昇天してしまったのである(笑) ロニーの迫力ある歌いっぷりも良かったな。僕だけでなく、日本中のハードロック少年たちの心を一気に鷲掴みにした一曲と言ってよかろう。ま、とにかく、『虹を翔ける覇者』は衝撃的だったのである。

ブラックモアズ・レインボーといえば、『虹を翔ける覇者』も名盤だけど、個人的には1stの『銀嶺の覇者』も非常に好きである(というか、実は『バビロンの城門』以降のアルバムは、どうも好きではない)。ご存知の通り、パープルを辞めたリッチー・ブラックモアがロニー・ジェイムス・ディオらとレインボーを結成しての第一作な訳だが、基本的にはパープル系統のハードロックだけど、割とバラエティに富んだ内容で、飽きることなく聴けるアルバムである。いかにもリッチーみたいなタイトル曲、初めてロニーと共作したという「16世紀のグリーンスリーブズ」、美しいメロディの「虹をつかもう」、といった有名曲はもちろん、パープル時代にレコーディングを提案するも却下されたという「黒い羊」、珍しく3拍子の「自画像」、アコースティックな「王様の宮殿」(狐年のある日、という歌詞がミョーに耳に残る)、といった曲も実に素晴らしい。ヤードバーズのカバーだという「スティル・アイム・サッド」も好きだ。2ndの『虹を翔ける覇者』は、とことんソリッドなハードロックを追求したアルバムだが、『銀嶺の覇者』は多様な音楽性で楽しめる。パープル脱退後のリッチーが志向していたのは、一体どちらの路線だったのだろう?

リッチーは第3期パープルの2作目『嵐の使者』を最後に、パープルを脱退する。そこに至るまでの経緯は諸説あるが、要するに、ファンキーな音楽性を持ち込もうとしたデビッド・カバーデイルやグレン・ヒューズと、ハードロックをやりたいリッチーとは、嗜好が合わなかったとする説が一般的である。レココレのレインボー特集にも、そんな事が書いてある。けど、以前、リッチーのインタビューで、「リフ→歌→ソロ、というワンパターンな展開ばかりでイヤになった」「凄く良いメロディを書いたんで、これはスローな感じにしよう、と言ったのに、結局今までと似たような曲に仕上げられてしまった」等の発言を見た事があり、これだと、ハードロックから脱却したかったのはリッチーなのに、周囲がそれを許さなかった、という風に受け取れる。実際の所、どうなのか。レココレの記事でも、リッチーは『嵐の使者』収録曲で、「聖人」「ホールド・オン」といった、自身が作曲に加わってない曲には嫌悪感を示していた、とあるが、その割にはこの2曲を聴くと、確かに今までのパープルにはなかった曲調だけど、リッチー自身も結構良いソロを弾いてたりして、本当に嫌いだったのだろうか、なんて疑問も湧いてくる。まぁ、プロなんだから、イヤでもきちんと仕事をした、と言えばそれまでなんだけどね(笑) この『嵐の使者』の場合、タイトル曲やヒットした「嵐の女」といった、いかにもパープルなハードロックも良い出来だが、前述の「聖人」「ホールド・オン」の他、リッチーがアッと驚くバッキングを聴かせる「ユー・キャント・トゥー・イット・ライト」、静かな「幸運な兵士」といった曲たちとのバランスが非常に良く、ハードロック一辺倒でないパープルの新しい側面がクローズアップされた名盤である、と僕は思っている。そして、このアルバムと『銀嶺の覇者』には、相通じるものを感じてしまうのである。リッチーは本当に『嵐の使者』が嫌いなんだろうか?(笑)

ま、真相はともかく、リッチーはパープルを脱退し、その後釜としてトミー・ボーリンが加入する。そして、またしてもパープルは名盤をものにするのだ。

Purple06

『カム・テイスト・ザ・バンド』1975年発表。最近、35周年アニバーサリー・エディションが出た。このアルバム、出た当時の日本盤の帯に書かれていたコピーが印象的だ。

“聴け!沈黙を破ったパープルのリッチーに対する解答はこれだ!”

う~む、今みても凄い(笑) 昔のレコード会社の人って、アイデアマンが多かったような気がする。しかし、確かにその通りなのだ。世間ではパープル=リッチーって事になってるけど、リッチー以外にも優秀なギタリストはいるし、そういうギタリストと組めばこれだけのアルバムが作れるのさ、って所だろうか。ギタリストはお前だけじゃないよ、なんてね(笑)

その新加入のトミー・ボーリンだが、全9曲中7曲の曲作りに加わり、すっかり実権を握ってしまった。確かに才能豊かな人だし、パープル以前にジョー・ウォルシュの後釜としてジェイムズ・ギャングに加入した時も、すぐにメインライターとなっていた。個性的な大物の後に入るのはイヤなものだと思うが、このトミー・ボーリンという人、2度もそれを経験し、しかもすかさず自分の個性を打ち出し、かつてとはイメージは変わるものの、クオリティの高い作品を作ってしまった、という点だけを見ても、やはり凄い人である。

この『カム・テイスト・ザ・バンド』、リズムが実に多彩である。色々なタイプの曲をやってる、というだけの意味ではなく、何重にもダビングされたギターが絡み合って、バッキングが様々な表情を見せているのである。リッチーとの大きな違いは、ここにあると思う。もちろん、ソロも弾いてるし、速弾きも披露してるけど、メロディというより瞬間的に閃いたフレーズを気の向くままに繰り出してくる、という感じ。ここいらもリッチーとは違う。あと、スライドを多用するところとか。

このアルバム、実は僕が初めて買ったパープルのアルバムでもある。2期も3期も最初は分からず、「ハッシュ」を歌ってるのはイアン・ギランと思い込んでいた時もあったけど(笑)、FM等で1期から4期まで一通り聴いて、いずれも甲乙つけ難い、なんて思うようになり、忘れもしない中学3年の夏、千円札3枚を握り締めて買いに行ったのが『カム・テイスト・ザ・バンド』だった。何故このアルバムにしたのかというと、周囲は誰も持ってなかったからだ(笑)

それにしても、このアルバムよく聴いたなぁ。当時、冒頭の「カミン・ホーム」のあまりのカッコよさには言葉もなかった。今もだけど(笑) 他には、「レディ・ラック」「ゲッティン・タイター」「ドリフター」あたりが好きだったな。全体的にはファンキーでもありブルージーでもあり、なんとなくアメリカ的な感触がある音である。とにかく多様。リズムやバッキングが多彩なだけではなく、ボーカルが2人いること(トミー・ボーリンも、一曲だけ一部で歌っている)、単調にならないようにアレンジに工夫を凝らしていること、等々の要素がこのアルバムを多様なものにしている。

B面の「ディス・タイム・アラウンド」は、ジョン・ロードとグレン・ヒューズの二人だけで演奏される、静かだがスペーシーな広がりを持つ曲である。これも、今までのパープルにはなかったタイプの曲だ。余談だが、栗本薫の『僕らの時代』の主人公はバンドでキーボードを担当している、という設定だが、スタジオで練習するシーンがあり、そこで「ディス・タイム・アラウンド」を演奏している記述がある。パープルのこの曲なのか、同名異曲なのか、そこいらは分からない。ただ、栗本女史の好みからすると、パープルの「ディス・タイム・アラウンド」である可能性は高い(と思う。笑)

『カム・テイスト・ザ・バンド』を発表した翌年の夏頃、パープルは解散を表明し、さらにその年の暮れ、トミー・ボーリンはこの世を去ってしまった。僕が『カム・テイスト・ザ・バンド』を買った時、既にトミー・ボーリンは亡くなっていた訳で、アルバムを聴きながら惜しいなぁ、なんて思ったりしていたものだ(生意気な。笑)。けど、4期パープルがこの後もアルバムを作っていたなら、一体どんな作品になったのだろう、なんて想像すると、やはり惜しい。

かつて、4期パープルよりプラックモアズ・レインボーの方がパープルの名にふさわしいのではないか、などという不毛な会話がファンの間でかわされていたようだが、そんな不毛な会話の元となったと思しき『カム・テイトスト・ザ・バンド』『虹を翔ける覇者』のどちらも、僕にとっては忘れえぬ名盤である。あ、もちろん、『嵐の使者』も(笑)

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奇跡の9ヶ月

2011年06月28日 22時37分49秒 | 本と雑誌

P1010001

やや遅くなったが、今月のレコードコレクターズの特集はキャンディーズである。日本の歌謡曲系がレココレで取り上げられる事自体珍しいのに、キャンディーズとはむちゃくちゃ意外な気がするけど、よくよく考えてみるとそうではない。洋楽(ロック)好きでありながら、実はキャンディーズが好き、という人は実は多いのだ。僕の周囲にも結構いた。特定の世代にとっては、キャンディーズは別格なのだ。もしかすると、山口百恵やピンク・レディー以上に。何故なのかは、よく分からないけど(笑)

ついでに言うと、今月のもうひとつの特集は、こりゃまた意外なことにTOTOである。先月号でレインボーの特集が組まれた時も、レココレも変わったもんだと隔世の感に捉われたものだが(笑)、今月はTOTOである。レココレでフォリナーやジャーニーの特集が実現する日も近いかも(爆) と、それはともかく、レココレは変わりつつあるような気がする。いや、洋楽ジャーナリズムが少しづつ変化してるのかもしれない。やはりレココレの今年の2月号で、ムーンライダーズ(というか鈴木慶一)の特集が組まれたのだが、そこに掲載されたインタビューの中で、鈴木慶一がムーンライダーズ結成の頃を振り返って、1975年頃10ccの「アイム・ノット・イン・ラブ」やクイーンの「キラー・クイーン」を聴いて「やっぱイギリスは面白い」と大いに刺激された、という発言をしている。これこそ、21世紀の今だからこそ、公にされる発言であろう。前世紀であれば、封印されたはずだ。なんたって、最先端のミュージシャンがクイーンを肯定してるのである。かつての日本の洋楽ジャーナリズム的思考では、クイーンなんてバカにされるべき存在であり、鈴木慶一クラスがクイーンを良いなんて言う訳ないし、また言っちゃいけないのである。このインタビューは最近のもので、鈴木慶一自身も今だから口にしたのかもしれない。10年前なら言わなかったろう。それくらい、日本の洋楽ジャーナリズムは変化しているのだ(なんのこっちゃ)

という訳で、その変わりつつあるレココレ、今後どんな展開を見せるのか、非常に楽しみである。こんな境地にたどり着くのに20年かかったけど(爆)

閑話休題。で、そのレココレのキャンディーズ特集だが、「奇跡の9ヶ月に何が起こったのか」という記事が興味深い。奇跡の9ヶ月とは何か。1977年7月の解散宣言から1978年4月のファイナル・カーニバルまでの間、つまり最後の9ヶ月、キャンディーズは今までになく盛り上がった。精一杯盛り上げて送り出してあげよう、というファンクラブの熱意と活動によるものであるのは間違いないが、それほど熱心なファンでなくても、この時期だけはキャンディーズ一色だった、という人も多かった。そんな、熱心なファンもフツーのファンもにわかファンも巻き込んでの一大キャンディーズ・フィーバーが吹き荒れたのが「奇跡の9ヶ月」だったのである。うむ、実に懐かしい(笑)

僕自身はどうだったのか、というとビミョーだなぁ。『8時だョ!全員集合』などを見てて、デビュー前から知っていたせいか、キャンディーズには親しみを感じていたし、ヒット曲が出てメジャーになったのも嬉しかったし、作品を重ねるごとに曲のクォリティも歌唱力も向上していくのが分かったし、それなりにキャンディーズには注目していたのである。ただ、ファンというほどではなかったような^^; けど、後から出てきたピンク・レディーよりは、圧倒的にキャンディーズ派であった。よく比較されてたけど、歌ってる曲も全然違うし、僕としてはキャンディーズの方が実力は上と思っていた。あの頃は、アイドルというと低く見られていたけど、それでも、男だろうが女だろうが、グループであれば曲の途中でハモったりするのは当たり前で、そんな中でもキャンディーズは上手かったのである。今では、AKB48もモーニング娘。もSMAPもハモる事なんてまずないけど、いつからアイドルグループはユニゾンで歌うのが普通になったのか。悲しい^^;

好きな曲も多かったけど、一番好きなのは、ちょうど解散宣言した頃に流行っていた「暑中お見舞い申し上げます」である。レココレの特集ではこの曲について、「クイーンのバイシクル・レース並みに、情報量が豊富なシングル曲」なんて書いてあるけど(笑)、明るく浮き立つようなテンポと曲調、サビ部分の見事なハーモニー、曲のあちこちに入る合いの手、などなど実に夏らしく、ほんとウキウキしてくる素晴らしい曲である。この曲が好きだっただけに、余計に解散宣言はショックだった。音楽的には絶好調に見えたので、勿体ないと感じたのだ。この後、解散に向けてのカウントダウンが始まると、その思いは一層強くなった。その頃リリースされたシングルは、どれも素晴らしい曲ばかりだったからだ。初のオリコン一位になったラストシングル「微笑みがえし」がフツーの曲に思えてしまうくらい(笑)

でも、僕もその「奇跡の9ヶ月」の最中、それなりに盛り上がっていたのだろう。時折見る程度だった『みごろ!たべごろ!笑いごろ!!』も、解散宣言以降は毎週見るようになったし(笑) 高校受験の時期だというのに(笑)

余談だが、そのキャンディーズの解散コンサートが、フォリナーの初来日公演(東京公演)と同日に行なわれたのは一部では有名な話だが(笑)、どちらへ行こうか、迷う人はまずいなかったのでは、と思われる。レココレの記事の中で、伊藤秀世氏が「フォリナーの東京公演が武道館で予定されていたが、私は一秒も迷わなかった」と書いているが、伊藤氏がキャンディーズとかぶらなかったとしても、フォリナーを見に行くとはどうしても思えないので、これはマニアウケ狙いであろう(爆) ちなみに、僕も迷わずフォリナー見に行きました(爆爆)

解散後、ラン・スー・ミキの3人が揃ってステージに立つ事はなかった。昨今の再結成ブームにあっても、キャンディーズの再結成は実現しなかった。彼女たち3人は、ずっと“元キャンディーズ”のままだった。スーちゃんは、解散後10年近く経過するまで、プライベートなカラオケなどでも、絶対にキャンディーズの曲を歌うことはなかったという。

「奇跡の9ヶ月」、キャンディーズの3人にとってもファンにとっても、輝ける幸福な日々だったに違いない。

所で、キャンディーズって何年かの周期でプチブームがあったような気がするが、こんなCDが出ていたのをご存知の方はいらっしゃるだろうか?

Candiesbeats

タイトルは『Candies Beats』という。写真が小さくて申し訳ない^^; 1989年か1990年頃に出たと記憶してるが、いわゆるリミックス・アルバムだ。当時、カセットに録音して車でよく聴いてた。キャンディーズの曲を、ボーカルはオリジナルのまま、バックトラックを差し替えて、ハウスやダブやメタルに変身させたもので、まぁ別に珍しいモノではないのかもしれない。実際、リミックスが成功してる曲ばかりではないし。けど、冒頭を飾るハウス版「危ない土曜日」は素晴らしい。原曲より良いかも^^; 中古レコード屋で500円以下で売ってたら、買ってもいいかもしれません(笑)

キャンディーズ再結成は永遠になくなってしまった今、夫婦でカラオケに行くと、時折「微笑みがえし」「ハートのエースが出てこない」あたりを一緒に歌ったりする。それは、とても楽しいひと時である。

スーちゃんのご冥福を、心よりお祈り致します。

コメント (8)
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少女マンガの世界

2008年12月12日 23時01分23秒 | 本と雑誌

いきなりで何だが(笑)、こんなランキングを見つけた。

1.『のだめカンタービレ』二ノ宮知子
2.『あさきゆめみし』大和和紀
3.『ガラスの仮面』美内すずえ
4.『愛すべき娘たち』よしながふみ
5.『君に届け』椎名軽穂
6.『ハチミツとクローバー』羽海野チカ
7.『BANANA FISH』吉田秋生
8.『舞姫 テレプシコーラ』山岸涼子
9.『NANA』矢沢あい
10.『ぼくの地球を守って』日渡早紀

ネタ元はこちらです。

分かる人はすぐ分かると思うが、少女マンガである。「CREA読者が選んだ私たちの最愛マンガ」ランキングのトップ10だ。CREAは女性誌と思うので、読者もほとんどは女性だろう。女性が読むマンガ=少女マンガ、という発想は差別的なんだろうか。少女マンガという呼び方に、抵抗を感じる人も多いかもしれないが、便宜上今回は、上記のようなマンガを少女マンガとさせて頂く。僕は、少女マンガというのは、ひとつのジャンルだと思ってるし。決して差別的な意味合いで使っているのではありませんので、ご理解下さい。

と言いつつ、実は僕は少女マンガに限らず、マンガ全般に関して、大した知識を持っていない。どういうジャンルであれ、有名な漫画家の有名な作品しか知らない。なので、このランキングを見ても、作者も作品も知らないのばかりだ。『のだめカンタービレ』はテレビ化されたのを見た。『NANA』は映画化されたから、タイトルは知ってる。どちらも、原作は読んでない。この上位10作で読んだ事あるのは、『ガラスの仮面』だけである。途中までだけど^^;

ただ、10作の中で唯一読んだ事ある『ガラスの仮面』だが、これには熱中した。いやほんと、『火の鳥』と並び称される、日本漫画界が誇る不朽の名作と言っていいだろう。何度読んでもも飽きさせない。ストーリーは説明しなくても皆さんご存知だろうが、簡単に言えば、北島マヤという演劇好きの少女が、その才能と情熱を武器に、女優として成長していく姿を描いた作品だ。けど、単なる立身出世物語ではないし、根性物でもない。芝居といっても映画やテレビではなく、舞台がメインであって、マンガの中に舞台劇が挿入されているのが斬新というか、単なる劇中劇ではなく、ストーリー展開の上でも重要な意味を持っているケースが多くて、それにより独特の世界が構築されている。『ガラスの仮面』の面白さは、この見事な構成にもある。

いわゆる、演劇界或いは芸能界の裏を暴く、という内容でもない。けど、主人公の北島マヤが演劇に深く関わっていく過程において、いじめやら中傷やらも受けたりする。ただ、凄いのは、北島マヤはその才能でもって、自分に敵対する人たちを黙らせていく、という所だ。北島マヤは、芝居が上手くなりたい、という以外には何の野心もなく、ただひたすら芝居が好きな芝居バカである。そういう彼女の才能を周囲は認め、次第にひれ伏していく。そこが痛快でたまらない。

また、このマンガには、“天才は天才を知る”てなテーマが貫かれている。北島マヤのライバルとして登場する姫川亜弓は、まだ芝居すらした事のないマヤが、行きがかり上初体験のパントマイムをしてみせるのを見て、彼女は天才だと見抜く。そして、誰もマヤに注目していない時から、彼女こそ自分の好敵手として意識し続ける。マヤを発見した月影千草にしてもそう。公園で子供を相手に、昨夜見たテレビドラマを一人で再現してみせるマヤを見て、自分の後継者はこの娘だ、と確信するのである。ちょっとしたことで、マヤの天賦の才に気づくこの2人、本当に凄いキャラクターである。

そんな、あくまでも演劇というエンタテインメントの世界に於いては、人を感動させるのは才能が全てなのだ、というメッセージが、『ガラスの仮面』を名作たらしめているのだ、と思う。当たり前のようだが、ここまでストレートに本質に迫った作品は少ないのではないか。『ガラスの仮面』は、人間ドラマとは違うのだ。北島マヤという天才が、いかにして天才であるのか、という部分を徹底的に描いている。そこに僕は熱くなるのである。

と、『ガラスの仮面』について、ここまで書くつもりはなかった(笑) 『ガラスの仮面』となると、つい語りたくなってしまうのだ(爆)

話は変わるが、少女マンガとは一種独特のジャンルであると思っている。ギャグマンガとも少年誌によくある劇画とも違う。確かに、昔は僕も女の子向けだから少女マンガなのであって、作者の大半が女性なのもそのせい、と思っていた。それは間違いでもないが、でも違うような気もする、と気づいたのは、いつ頃だったのだろう。

確か、中学2年くらいの頃と思う。父親の実家で法要か何かがあって、僕もついて行ったのだが、何もする事がなくて、ヒマつぶしに2~3年上の従姉の部屋の本棚を埋め尽くしていた少女マンガを読んでみる事にした。そしたら、どれも面白くて、数時間部屋に篭って読みふけり、呆れられたことがある。『ガラスの仮面』を初めて読んだのも、その時だった。他にも読んだけど、タイトルや作者は覚えていない。ただ、色々なテーマの作品がある事に圧倒された。ごくフツーの恋愛物もあったが(こういうのも面白くなくて、すぐ止めたけど^^;)、オカルトもの、歴史もの、SFもの、中には近親相姦などをテーマにしたシリアスなのもあり、あまりの多彩さに、少女マンガに対する認識を改めたものだ。少女マンガって、深いぞ、と。

思えば、この深さこそが、少女マンガなのだ、と言えなくもない。冒頭のランキングだが、読んだ事はないが、どれもタイプの違う作品らしい、というのは分かる。11位以下(100位まで掲載)を見ても、実に多彩である。『綿の国星』『ベルサイユのばら』は読んだことあるが、『日出処の天子』『パタリロ』『エースをねらえ』『キャンディ・キャンディ』といった所は、名前くらいは知ってる。『サザエさん』や『毎日かあさん』あたりがランクインしてたりもする(笑) 少女マンガって、実はバラエティ豊かなのだ。

ま、よくよく見ると、このランキングは「女性が選んだマンガ」というだけで、少女マンガのランキングという訳ではない。ならば、手塚治虫や藤子不二雄や石ノ森章太郎がランクインしてもいいはずだが、一冊も入ってない。やはり、女子が読むマンガと男子が読むマンガというのは、違うものなのだろう。

実際、これだけ並ぶと、あれこれ読んでみたい、という気になる(笑) 自分にとって『ガラスの仮面』を超える少女マンガは、果たしてあるのか? 山岸涼子という人は、なんとなく気になるが。

もう一度言う。少女マンガは深い。

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赤と青の時代

2008年07月23日 23時31分36秒 | 本と雑誌

既に読んだ人も多いだろう。今月と先月のレコード・コレクター誌の特集は、「ビートルス/赤の時代の50曲」と「青の時代の50曲」である。だいたい分かると思うけど、要するに、ライターたちに、ビートルズ赤の時代(1962-1966)及び青の時代(1967-1970)のベストソングを20曲づつ選ばせ、それを集計して編集部で調整して1~50位まで順位をつけたものを掲載してる訳だ。編集部で調整って、その時点で陰謀を感じるなぁ。何を1位にするか、最初から決めてあったんじゃないの、ってな感じ(笑)

ま、そんなことは、レココレなので、別に珍しい事ではなく(笑)、とにかく、それぞれの時代のベストソング50曲なんである。詳しく知りたい人は、レココレを買うか立ち読みしてもらうとして(笑)、僕もちょっとやってみた。ライター陣と同じように、それぞれ20曲づつ選んでみたのだ。あれこれ考えると、20曲なんてとても選べないので(笑)、思いつきで挙げてみた。順位も関係なし。おそらく、後で、あれが抜けてた、というのがたくさん出てくると思うけど(笑)

では、まず、赤の時代の20曲

Help!
She's A Woman
You're Going To Lose That Girl(恋のアドバイス)
I Feel Fine
And I Love Her
The Night Before
You've Got To Hide Your Love Away(悲しみはぶっとばせ)
Paperback Writer
You Won't See Me

If I Needed Someone(恋をするなら)
What Goes On(消えた恋)
She Said She Said
I Need You
Here There And Everywhere
All My Loving
She Loves You
Taxman

Girl
Eight Days A Week
In My Life

ま、こんなとこかな。ちなみに、レココレ選出の上位5曲は、

She Loves You
Help!
Tomorrow Never Knows
Dive My Car
A Hard Day's Night

さて続いては、青の時代の20曲である。

Lady Madonna
With A Little Help From My Friends
Something
Let It Be
Martha My Dear
Back In The USSR
Birthday
Octopus's Garden

You Never Give Me Your Money
The Fool On The Hill
Old Brown Shoe
Only A Northern Song
Two Of Us
Dig A Pony
Mother Nature's Son
Everybody's Got Something To Hide Except Me And My Monkey
Maxwell's Silver Hammer
One After 909

Here Comes The Sun
Get Back

順当過ぎて面白くない(爆) ちなみに、レココレの上位5曲は、

Strawberry Fields Forever
A Day In The Life
I Am The Walrus
Something
Happiness Is A Warm Gun

う~む、“裏”を感じる(爆)

という訳で、なかなか面白いので、皆さんも遊んでみては如何でしょう?(笑)

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歴史のミステリー

2008年03月04日 23時22分56秒 | 本と雑誌

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今話題(?)の「歴史のミステリー」である。写真は創刊号。もちろん、買ったのではなく貰ったのだ(笑) テレビCMで見て、気にはなってたのだが。

世間には歴史好きな人って、結構多い。それも、女性に多いような気がする。で、実は僕も案外歴史好きなのだ(ほんとか) 小学生から中学生にかけて、NHKの大河ドラマは欠かさず見てたくらい(その程度かよ) 一番印象に残ってるのは、司馬遼太郎原作の『国盗り物語』だな、やっぱり。お濃の方を演じた松坂慶子が若かった(なんのこっちゃ)

ま、歴史好きとは言っても、興味があったのは飛鳥時代から江戸時代の手前くらいまでで、近代史とか全く分からない。世界史もダメ^^; 小学校の5年頃から、社会の授業に歴史が登場して、その頃はテストでもいい点取ってて、“歴史だけはミョーに詳しい生徒”であった(笑) 詳しいと言っても、もちろん小学生レベルでだけど(笑) 「初代天皇の名前を言える人いるかな?」と先生が質問した時、誰も分からなかったので、手を挙げて「神武天皇です」と答えて、クラス全員から畏敬の目で見られて得意になっていた事は、よく覚えてる(爆) やなガキだ(爆爆)

その後、中学校で歴史の授業が近代から始まると、もうついていけなくなった(笑) 自由民権運動も薩長連合も、ちんぷんかんぷんだった(爆) 高校では、2年のときの社会科必修科目が世界史だったのだが、これまたちんぷんかんぶん。範囲広すぎるよ(爆) カタカナばかりだし(爆爆) 受験では日本史を選択したが、今イチ分かってなかったような気がする。

ま、歴史好きといっても、その程度。大した事はない。「歴史が好きです」なんて、人前で発言したら罰が当たる。

歴史小説も読まないし、大河ドラマも見なくなってしまったけど、昔の建造物・遺跡の類を見るのは好きだ。こんな昔に、よくこんな物作ったよなぁ、なんて感心する訳だ(笑) 昔の人って、ほんと凄い。

そんな似非歴史好きの僕ではあるが、たまに歴史関係の本を読んだりすると、なかなか面白い。ここでやっと出てくるのだが(笑)「歴史のミステリー」創刊号も、とても面白かった。詳しい内容はこちらをご覧頂くとして、個人的な白眉はなんといっても、“本能寺の変の首謀者は誰だったのか?”に尽きる。1582年6月2日、織田信長が明智光秀に襲撃されて自害した事件が本能寺の変であって、日本人なら誰でも知ってる歴史上の大事件である。これは、日頃信長にいじめられて続けてきた光秀が、その恨みを爆発させて謀反を起こした、というのが長らくの定説であり、教科書だけでなく、小説も映画もテレビドラマも、全てそういう内容であった。が、この「歴史のミステリー」では、光秀私怨説に疑問を投げかけ、新たなる解釈を示している。それは、当時最も勢いのあった信長がこれ以上増長する事を恐れて、朝廷が密かに信長暗殺を光秀に依頼した、というもの。目から鱗、だった。光秀は決して私怨からではなく、朝廷に対する忠誠心から信長を討ったのだ。う~む、意外だけど、実に納得のいく説である。久々にアカデミックな気分だった(爆)

詳しい人は、昔から知ってるんだろうけどね^^;

所で、遥か昔に起きた出来事を、何故現代の我々が知る事が出来るのか、というと、資料が残っているからだ(当たり前)。様々なことを書き残していた人たちがいたのである。大したもんだなぁ。もちろん、何百年も前であるから、文字を書ける人とか道具を使える人、なんてのはごく限られた存在であったろう。政府の公式記録員みたいな人たちによって残されたのだろう、と思うけど、それにしても、そういう資料が今も残っていて、それにより、昔の日本を知る事が出来る、というのは有り難いというか、凄い事だ。

しかも、そういう昔の資料を必死で読んで、研究してる人たちがいる訳で、そのおかげで、決して正しくないのかもしれないけど、我々は日本の歴史というものを知る事が出来るのである。やはり記録というのは残しておくものだ、と改めて思った(なんちのこっちゃ)。

昔の人たちは、資料を紙に筆で書き記していたのだろうけど、今ならさしずめパソコンとかCD-R、またはフロッピーディスクという事になるのだろうか。何千年か後に、工事現場からハードディスクが発見され、その中に残っていたファイルによって、21世紀の日本の実態が明らかになり、教科書が大幅に書き換えられる、なんて事になったりするのだろうか(笑) しかし、数千年後の世界で、今のファイルを読める、いや開けるのか? エクセルやワードなんて古文書扱いだったりして(笑) マイクロソフト社は遥か昔に消滅してしまい、現存するWindowsマシンは世界に3台だけで、しかも動かない状態だったりなんかして、扱える人も生きておらず、その上世界遺産に認定されてたりなんかして、なんとかこのワードとかいうファイルを開かねば、ってんで優秀な科学者たちが集って、何年もかかってようやく解読に成功する、そしてそこには驚愕の事実が...なんて騒ぎになるのだろうな。“数千年前のエクセルの解読に成功した男たち”なんて、「プロジェクトX」のネタになったりして(爆)

とまぁ、そんな事を考えたりして、やっぱ歴史って面白いものなのだ(意味不明)

あ、で、「歴史のミステリー」ですが、創刊号以外読んでません(爆)

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