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MFCオーナーのブログ

シンガー・ソングライター

2020年07月26日 20時27分59秒 | 音楽ネタ

今更だが、シンガー・ソングライターとは、いわゆる“自作自演歌手”を指す言葉である。つまり、自分で曲を作って歌う人、の事であり、代表的なミュージシャンとして名前が挙がってくるのは、洋楽ならジェームス・テイラー、キャロル・キング、カーリー・サイモンなど、日本なら吉田拓郎、井上陽水、さだまさし、といった所で、ま、多少の異論はあると思うが、シンガー・ソングライターとはそんなものである(は?)

しかし、事はそう単純ではない。“シンガー・ソングライター”という言葉は、とても複雑な背景を抱えている。例えば、それが“自作自演歌手”を指すのであれば、ポール・マッカートニーも十分該当するが、彼が“シンガー・ソングライター”と呼ばれる事はまずない。日本の場合でも、竜鉄也や吉幾三を“シンガー・ソングライター”とは呼ばない。これは何故かというと、“シンガー・ソングライター”が「職業」ではなく「音楽のジャンル」を指しているからだ。

そうなのである。洋の東西を問わず、“シンガー・ソングライター”と言ったら、ギターかピアノの弾き語りで、内省的或いは非常にパーソナルな内容の曲を作って歌う人、という事になり、同時に、そういう人たちが作り出す音楽、すなわち、アコースティックでパーソナルな雰囲気の音楽の事になるのである。“シンガー・ソングライター”とはジャンルなのだ。何故か、昔からそう。前述の、ポール・マッカートニーをシンガー・ソングライターと呼ばないのは、あまりにもビッグな存在すぎてジャンル分けが無意味、というのもあるが、要は音楽性や演奏スタイルが違うからだ。というか、ロック系は自作自演が当たり前なので、実はシンガー・ソングライターだらけなんである。でも、そう呼ばれる事はない。スタイルが違うからだ。竜鉄也や吉幾三をシンガー・ソングライターと呼ばないのも、理由は同じ。ジャンルが全く違うのだ。仮に弾き語りをするとしても、音楽的にはフォーク系(orウェスト・コースト系orカントリー系)でなければならない。ポール・マッカートニーも吉幾三も、これには該当しない。だから、シンガー・ソングライターではない。

最近は、多少違ってきた。特に日本では、いわゆるフォーク系ではない自作自演歌手でも、“シンガー・ソングライター”と呼ばれるようになってきた。というか、近頃の歌手は、自己紹介の際、「シンガー・ソングライターの○○です」と名乗る人が多いような。昔は違ったような気がする。さだまさしが自らを「シンガー・ソングライターです」と言ってるのを聞いた記憶がない。意識の違いだろうか(意味不明)

また、↑の条件、つまり弾き語りとか内省的な歌詞とかの条件を満たしていても、シンガー・ソングライターと呼ばれないケースもあって、自作でも、作詞しかしない人はシンガー・ソングライターとは呼ばないらしい。作詞作曲の両方或いは作曲だけの人は、シンガー・ソングライターと認められる。それでいうと、宇多田ヒカルはシンガー・ソングライターだが、浜崎あゆみはシンガー・ソングライターではない、という事になるね。もっとも、二人とも弾き語り歌手ではないという点で、シンガー・ソングライターではない、とも言える。めんどくさい(爆)

山下達郎は『Teasures』というベスト盤の解説で、ムーン・レーペル移籍前(『For You』「甘く危険な香り」あたりまで)の自分はプロデューサー的発想で音楽を作っていたが、移籍後(『Melodies』以降)はシンガー・ソングライター的なアプローチを志向するようになった、と述べている。シンガー・ソングライターと、そうでない人とを区別する場合、この発言は非常に分かりやすい。ムーン移籍前と後では、山下達郎の音楽は、確かにガラリと変わっている。ファンならよくご存知と思うけど。

何故、こんなにややこしい事になってしまったのか。↑のレコード・コレクターズの特集でも(十年前だけど^^;)、“シンガー・ソングライター名鑑”で紹介されている人は、ほとんどが70年代前半にデビュー或いは活躍したアメリカの人で、一応、ブルース・スプリングスティーンやトッド・ラングレンも含まれているので、必ずしもフォーク系やウェスト・コースト系ばかりでもない。でも、ビリー・ジョエルはいない。イギリス人もいない。

当時の事は知らないが、シンプルなサウンドで内省的な歌を歌う人が出てきて、彼らは明らかに、それまでとは違う音楽の潮流をもたらしたのだろう。それで“シンガー・ソングライター”というジャンルで認識されるようになったに違いない。ま、そこいらの事情はなんとなく理解出来るが、そういう新しいジャンルを指す言葉が生まれると、次第に最初の精神はどこへやら、言葉やイメージばかりが先行してスタイルの模倣に走るようになり、徐々にそのジャンルが形骸化していく、というのは“シンガー・ソングライター”に限った話ではない。80年代以降に登場したシンガー・ソングライターたちは、明らかに“シンガー・ソングライター”とは違う括りで認識されている。

という訳で、シンガー・ソングライターとは職業ではなく、音楽のジャンルのひとつなのである、という視点で、手持ちの音源からお馴染み(^^;)のコンピを作ってみた。こんな感じ。

 1. Chuck E's In Love/Rickie Lee Jones
 2. Simon Smith And The Amazing Dancing Bear/Randy Newman
 3. Just You And I/Melissa Manchester
 4. Backs Turned Looking Down The Path/Warren Zevon
 5. Hope You Feel Good/Andrew Gold
 6. Me And Julio Down By The Schoolyard/Paul Simon
 7. Jesus Was A Cross Maker/Judee Sill
 8. Fountain Of Sorrow/Jackson Browne
 9. Sweet Seasons/Carole King
10. That's  When The Music Takes Me/Neil Sedaka
11. Will You Dance?/Janis Ian
12. Alone Again (Naturally)/Gilbert O'Sullivan
13. Free Man In Paris/Joni Mitchell
14. She's Always A Woman/Billy Joel
15. On The Border/Al Stewart
16. Can I Put You On/Elton John
17. Life Goes On/Paul Williams
18. Tangled Up In Blue/Bob Dylan
19. Trouble Again/Karla Bonoff
20. Stoney End/Laura Nyro

↑のレココレでは、取り上げられてない人も結構いる。エルトンもそうだし、ギルバート・オサリバンやアル・スチュワートなど、イギリス人はレココレでは除外されている。ま、でも、音楽的には近いんじゃないかな。僕的に、前述の“シンガー・ソングライター”の基準を満たしている人(と曲)をセレクトしたつもり。全体的に、ゆったりとしたテンポと柔らかなサウンドの曲が多くなって、なかなか良い感じと思う(自画自賛。笑)

という訳で、自作自演でも“シンガー・ソングライター”ではない人は大勢いるので、気をつけましょう。デビッド・ボウイもジミヘンも“シンガー・ソングライター”ではありません。自作自演のイメージが薄いロッド・スチュワートやエリック・クラプトンも同様です。ニール・ヤングは、時に“シンガー・ソングライター”に分類されるので要注意(笑)

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世紀末

2020年07月12日 23時09分58秒 | 音楽ネタ

7月になってしまった。2020年も半分過ぎた訳だ。今年が始まった時は、まさかこんな事になるなんて、想像もしなかった。新型コロナウィルス(武漢ウィルスと呼ぶ人もいる)がここまで猛威を振るうとは...単なる流行病というだけではなく、新型コロナは経済や生活様式にまで影響を及ぼしている。たかがウィルスのはずが、オリンピックまで延期に追い込んでしまったのだ。これからの半年でどうなるのか、全く見当もつかないが、2020年は間違いなく、コロナの年として、長く記憶される事になるのだろう。数年後は笑い話になってたらいいんだけどね。

コロナに関係あるのかないのか、7月に入ってからも事件続きだ。これまでに経験した事のない大雨が九州を襲い、熊本や大分で大きな被害が出ている。被害に遭われた皆さんには、心よりお見舞い申し上げます、としか言葉がない。自分には何も出来ないし。痛い目に遭ったので、治水計画を進めようとしたが、毎年大雨被害の繰り返しで結局何も進まない、という状態に陥っている自治体も多くあるのだろう。異常気象か何か知らんが、何とかならないのか、と思う。国会も、こういうのを真剣に審議すべきだ。スキャンダルの追求なんて二の次でよろしい。

また、7月より香港国家安全維持法が施行された。皆さんよくご存知の通り、この法律が施行されると、香港でのデモ・集会等の取り締まりが強化され、一国二制度も崩壊するであろう、と言われている。これに対して、6月末にジュネーブで開催された国連人権理事会で、この国家安全法の審議が行われ、日本を含む27ヶ国が反対したそうだが、なんと、その倍近い53ヶ国は賛成の立場だったそうな。

何故こうなるのか、皆さんお分かりですよね。元来、社会主義国で独裁政権の国はもちろん賛成なのだが、アフリカ諸国のように、中国から多大な資金援助を受けている為に、賛成に回っている国も多いらしい。さすが中国、博愛精神で金なんか出す訳がない。

中国と言えば、先頃、黒人犯罪者が白人警官に殺された事件を発端に、全米各地でデモ・暴動が起きる騒ぎとなり、場所によっては首長が暴動を放置して、市内が無法地帯になってたりしてるらしいが、この暴動を扇動してる団体がいて、その団体のバックに中国共産党がついてる、というのは公然の秘密みたいになってて、要するに、中国としてはアメリカを分断させる為に、色々な手を打ってきてる訳で、前述のアフリカ諸国への資金援助もそうだが、したたかという狡猾というか、正攻法のトランプ大統領や安倍総理が、単なるお人好しにしか見えなくなってしまうくらいである。トランプがデモの制圧に、軍事力行使も厭わない、と発言して、いつも通り炎上しているが、これは単なるデモではなく、共産党の息のかかった団体が暴動を煽っているので、それを鎮圧する為に軍事力云々と言っただけで、至極当たり前の発言であるが、案の定、マスコミや野党からはバッシングされている。好餌になってる感あり。

ま、ここまで見てる限りでは、中国によるアメリカ分断作戦はいい線行っている。トランプがどこまで踏ん張るか、見物である。というか、ここでアメリカが屈してはならない。日本もアメリカを最大限援助すべき、と思う。習近平の国賓扱いでの来日なんぞ、許すべきではない。

しかし、ほんとに、ひとつ間違えると世界大戦になりそうな雰囲気だよな...

という訳で、気を取り直して(笑)、最近買ったCDから。

1999/Prince

ブリンスが亡くなってから、早いもので4年が過ぎた。僕は特にファンではなかったので、詳しくチェックしてる訳ではないが、去年あたりから、旧作のリマスターやデラックス・エディションが発売されてるような気がする。そんな中登場したのが、1982年のヒット作『1999』のデラックス版である。CD5枚+DVD1枚というボリュームのようだが、僕が買ったのは、オリジナルをリマスターした1枚物なのであしからず(笑)

特にファンではなかったとはいえ、このアルバムは印象深い。なんといっても、タイトル曲が好きだったのだが、その他「リトル・レッド・コルベット」や「デリリアス」が初めて全米TOP10に入るヒットとなり、ついにプリンスがブレイクした記念すべき作品だ。プリンスの事はよく知らないが、アルバム毎に違うアプローチをしてくるのであれば、このアルバムは、ひたすらダンスに特化していると言っていいのだろうか、2~3の例外を除けば、楽曲云々というより同じリズムパターンを延々と展開する長尺曲が多くて、悪くないけど、部屋で聴いてるとちょっと退屈かも。ちなみに、個人的なイチ推しは「Lady Cab Driver」。

ところで、このアルバム、発売された時はLP2枚組だったが、後にCD化された時、一曲カットされた。ま、時間の都合でよくある話なんだけど、今回のリマスターは全曲収録されてるのはいいのだが、それでも収録時間が約70分である。何故、昔のCDでは一曲カットされてたのか。当時だって、十分収録可能だったと思うけど。今となっては、よく分からん(笑)

Running On Empty/Jackson Browne

ジャクソン・ブラウン初のライブ盤。確か1977年に出たと思う。ライブ盤には違いないが、本作が斬新だったのは、コンサート会場だけではなく、ツアー中のホテルの一室とか移動中のバスの中とか、いろいろな場所で録音されたライブ音源が収録されていたこと。ライブ盤の概念を変えたライブ盤、なんてメディアでも絶賛されてた記憶がある。

当時、ジャクソン・ブラウンの事はあまり知らなくて、本作についてもスルーしてた感があり(苦笑)、FMでかかってた「ステイ」くらいしか聴いてなかったのだが、今、こうして聴いてみると、確かに素晴らしい内容と思う。収録曲は全て未発表の新曲、と当時も聞いてた気がするが、タイトル曲はジャクソン・ブラウンの代表曲となっているし、それ以外の曲も良い(「Rosie」とか「You Love The Thunder」とか)。ただ、新しい概念のライブ盤というのはいいけど、ホテルの部屋で録音されたテイクにも、ドラムが入ってたりして、要するに自然発生的なライブではなく、計画された録音だったりする訳で、だから何なのだ、と言われると返せない訳で(爆)、ま、ライブ云々はともかく、ジャクソン・ブラウンの新作として当時のファンは受け止めたと思うので、満足のいく内容だったのではなかろうか。ここいらは、リアルタイムのファンに聞いてみたい気もする(笑)

Mirage/Fleetwood Mac

フリートウッド・マックの1982年のアルバムの2016年リマスター。当時、このアルバムはよく聴いた。友人にカセットに録音して貰ったのを聴いてたのだが、ま、懐かしいというか何というか、他のアルバムと比較すると、今イチの内容だったりするのかもしれないが、個人的には結構好きなアルバムである。ほんと、よく聴いたなぁ(爆)

あの『タスク(牙)』から約2年半過ぎてのリリースで、インターバルがやや短いような、早く新作作れ、というレコード会社のプレッシャーもキツかったのかどうか、それまでの作品と比べると、肩の凝らない小品集という感じもする。『タスク(牙)』から『ミラージュ』の間に、リンジーもスティービーも初ソロを出して、それなりの評価を得ていた事もあり、それぞれに自信持って『ミラージュ』に臨んだのだはなかろうか。良い意味での開き直りが感じられるアルバムだ。

Sailor/Steve Miller Band

ちょっと前にネタにしたスティーブ・ミラー・バンドの、1968年に出た2ndアルバム。あのボズ・スキャッグスも、当時メンバーだった。で、アルバムだが、正直言うと、訳分からない内容だ。サイケデリックと前衛とは違うものと思うのだが...1曲目とか、曲と呼んでいいのか?(笑) とにかく、何と言っていいのか分からない。申し訳ない(爆) 前述したが、ボズ・スキャッグスもメンバーで、自作曲も提供してて、それはなかなか良い出来である。が、声が全然違う。そこもかなり違和感。という訳で、よく分かりません(爆)

Breezin'/George Benson

大御所ジョージ・ベンソンのキャリアの分岐点となったアルバムであろう。CTIからに移籍しての第一弾で、このアルバムがベストセラーになったからこそ、今のジョージ・ベンソンがある訳だ。CTIにいたくらいだし、元々ジャズ・ギタリストだった訳で、この僕ですらCTIと言えばジャズの名門レーベルというのは知ってて、そこにいたのだがら、かなり本格的なジャズをやってたのは想像つく訳で、そんな中で何故ワーナーに移ったのか、おそらくもっと売れる音楽をやりたかったんじゃないかな、なんてことを考えてしまうのだ(笑) ジョージ・ベンソンは1943年生まれだというから、本作の時は33歳、ちょっとビミョーな年頃であるしね(笑) ま、思惑通りかどうか知らないが、トミー・リビューマのプロデュースのもと、“ソフト&メロウ”なんて呼ばれたオシャレでムーディな音楽を志向して、見事その試みは成功し、本作は売れて、クラミーまで受賞し、その後のジョージ・ベンソンの人生を決定づけたのである。

その後のジョージ・ベンソンについては、皆さんよくご存知の通り、ソフト&メロウ路線から「ギブ・ミー・ザ・ナイト」あたりでブラコン路線にシフトして、すっかりそっち系の人になってしまった。アルバム・ジャケットにも、にやけた顔をフィーチャーするようになり、すっかりスケベなオジサンに変身(笑) 当然、ギャルにもモテモテだったろうから、本人としては本作での方向転換は間違ってなかった、という事なんだろうね。個人的には80年代以降のジョージ・ベンソンは、聴く気にならないが(苦笑)

だが、この『ブリージン』は素晴らしい。ジャズのテイストも感じ取れる、オシャレなインスト集だ。ボーカル曲はヒットした「マスカレード」だけ、というのは今回初めて知った。意外だった。でも、単なる売れ線狙いではない。CTIでの経験も生かされた、芯の通ったアルバムだと思う。40年以上前の作品だが、全く古臭くないのも凄い。間違いなく、新たな音楽の潮流を指し示した名盤である。

Best Of Volume 1/Van Halen

随分前だが、当ブログでもネタにした事がある、バン・ヘイレンのベスト盤である。最近中古で買った(笑) なんというか、このアルバムについては、今も昔も思う事は大して変わらないので、過去記事を参照下さい(爆)

あれから時は過ぎ、バン・ヘイレンは、エディの息子をベースに迎えて活動してたそうだが、エディ自身の病気(咽頭癌)の治療もあり、ここ数年は活動を休止しているそうな。ま、往年のロッカーも、寄る年波や病気には勝てない、という事だね。寂しいな。元気な姿で復活するのを待ってます^^

今年の夏も暑いのだろうか...

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