日々の覚書

MFCオーナーのブログ

情欲の炎

2020年08月13日 14時04分24秒 | 音楽ネタ

関東地方は8月になってから、ようやく梅雨明けとなった。今年は異常気象というのではないだろうが、過去8月に梅雨明けしたのはいつだったのか、調べてみたら、ここ20年だと2回(2003年と2007年)ある。うむ、なるほど。そういえば、この、どちらの年も、僕は大阪に住んでいたが、近畿地方はともかく、東日本は冷夏だと聞いてたような気がするし、事実、夏に神奈川県に帰省したら、涼しいを通り越して寒いくらいだった、という記憶もある。梅雨明けが遅い=冷夏、という訳ではないと思うが、暑い期間が短い、というのはあるかも。実際、今年の梅雨明け後、先週あたりまでは、確かに暑いけど、気のせいか、ここ10年間の猛暑と比べると、マシだったのではなかろうか。少なくとも、朝晩はしのぎやすかったし。ただ、今週になってからの暑さは異常である。猛暑再来だ。それでも、暑さのピークは今週までらしく、それが本当なら2020年の夏は実に短い夏になりそうだ(笑)

とにかく、熱中症には要注意ですよ。今年は、ただでさえ、コロナのせいでマスクして生活してるからね。

ところで、随分前の話だが、ピーター・グリーンが亡くなったそうな。享年73歳。皆さんご存知、あのフリートウッド・マックのオリジナル・メンバーである。ギタリストとしてはもちろん、ソングライターとしても非常に有能な人だった。フリートウッド・マックで3枚程アルバムを発表した後脱退してしまい、その後は特に目立った活動もなかったように思う。精神を病んでいた、という話を聞いた事もある。僕の記憶が正しければ、80年代前半頃、渋谷陽一の番組で、ピーター・グリーンの久々の新作を紹介していたが、その新作がポップなヒット曲のインストカバーだったりしたもんで、凄く意外だった。その後、90年代半ばと思うが、コージー・パウエルのバックアップでカムバックした事もあったけど、あの時は、コージーが亡くなって、カムバック・プロジェクトも頓挫してしまったような。偉大なミュージシャンだったのに、フリートウッド・マック脱退後は不遇だった感じで、非常に残念である。謹んでご冥福をお祈り致します。

という訳で、恒例(?)の、最近買ったCDから。

RATT Original Album Series

NWOBHMやLAメタルといったムーブメントもあり、80年代には70年代のとは明らかに違うハード・ロック或いはヘビー・メタルのバンドが次々と登場し、ヒット・チャートを賑わせたりなんかしていたが、個人的にはラットとデフ・レパード以外は、ほとんど聴いてなかった。元々、いわゆるヘビー・メタルは好きでなかったし、当時のメタル系の人気バンド達は、僕には皆同じように見えたし...(笑) そんな中で、ラットは70年代の流れを汲むオーソドックスなハード・ロック・バンドであり、その独特のノリと雰囲気は、明らかに他とは一線を画していた。ほんと、よく聴いてました^^;

そんなラットの80年代のオリジナル・アルバム5枚セットである。よく聴いてたとはいえ実はカセットのみで、LPもCDも持っていなかったので^^;、この際買う事にしたのである。が、注文してから気づいたのだが、内容は同じだけれど違う物が出ていた。これだ。僕が買ったのは、単にオリジナルLPと同内容のCDが5枚セットになっているだけだが、こっちは各アルバムに1曲づつボーナス・トラックが収められている。値段もちょっと高い。ま、別に、どっちでもいいが(笑)

という訳でラットなんである。実に久々に聴いた。やっぱり良いなぁ。5枚の内訳は、1stの『Out Of The Cellar(1984)』2ndの『Invasion Of Your Privacy(1985)』3rd『Dancing Undercover(1986)』4th『Reach For The Sky(1988)』5th『Detonator(1990)』、と今さら説明するまでもないか(笑) やはり、ラットの代表作と言っていいのは1stか2ndと思うが、個人的には3rdの『Dancing Undercover』が一番好きである。1stと2ndが続けてベスト・セラーとなり、LAメタルのトップバンドとなったラットだが、何故かこの3rdは今イチ売れなかった。勢いもあったし、ラットのアルバム中唯一のメンバーの顔写真をあしらったジャケットからしても、かなりの自信作だったのではなかろうか。実際、中味も素晴らしく、キャッチーな曲は少なくても、曲そのもののグレードは高いし、ソリッドな演奏も含め、アルバム全体で押してくるパワーが凄い。文句なしの傑作なのだが、残念な結果に終わってしまった。

その後、モトリーやらドッケンやらシンデレラやらポイズンやらといったライバル達の成功を尻目に、なんだか新人バンドみたいな雰囲気だけどこちらも傑作『Reach For The Sky』、発売当時は今イチと思ってたけど、この度改めて聴いてみたら案外良かった『Detonator』を経て、ラットは解散してしまう。やはり3rd以降、商業的には今イチだったのが重くのしかかっていたのだろうか。それからは、何回かオリジナル・メンバーで再結成して新作出してまた再結成して、という活動を続けていたらしいが、2002年にギターのロビン・クロスビーがエイズで亡くなった事もあってか、今は分裂しているようだ。

そんなラットだが、有名なヒット曲がないせいか、現在はあまり語られることはない。ストイックなまでにオーソドックスなハード・ロック路線を追求してただけに、他のバンドみたいに、売れ線の曲を書けるソング・ライターと組んでキャッチーなヒット曲を出す、というのを潔しとしなかったのだろう。残念だ。

Johnny The Fox/Thin Lizzy

予告通り、シン・リジィである(笑) この間ネタにした『脱獄』の次のアルバムで、1976年の暮れか1977年初頭に出たような気がする。タイトル曲や「Don't Believe A Word」といった曲は知ってたけど、アルバムとしてちゃんと聴くのは初めて^^; 『脱獄』と同傾向の内容で、ヘビーなリフで聴かせる曲とポップな曲が混在している。全編に漂うB級な雰囲気がたまりません(笑) シン・リジィっていいな、と今さらながら改めて思う。

いい年こいてハード・ロック好き、と前に書いたが、考えてみると、ハード・ロックがメイン・ストリームだったのは遠い昔で、90年代や2000年代には、ハード・ロックは廃れていたというか、ジャンル自体がなくなっていたというか、結局、ある時期以降は、ハード・ロックを聴いてた若者なんて存在しておらず、ハード・ロック聴いてるのは昔若者だった連中で、要するに、現代のハード・ロック好きというのは皆オジサンなのである(笑) なので、いい年こいてハード・ロック好きは当たり前、ハード・ロックはガキが聴くもの、なんてのは30年以上前の概念であり、そもそも平成以降の若者はハード・ロックなんて聴いてないのだ。

という訳ですので、オジサンは安心してハード・ロック聴きましょう(爆)

Close To You/Carpenters

カーペンターズというか、カレンの歌を聴いてると、物悲しい気分になることが多々あった。明るい曲でも、どことなく悲しいトーンで聞こえるのだ。こっちがカレンの最期を知っているせいかもしれないが、思えば、カーペンターズ全盛の頃にも、そういう感じはあったような気がする。なんというか、カレンが歌うと、表向きの歌詞に現れる以外の裏に隠されたドラマ、みたいなものを感じてしまうのだ。有名な「愛のプレリュード」にしても、結婚して新たな人生に踏み出した男女の決意の歌だが、曲を聴いてると、この二人はその後もずっと仲良く暮らしているのだろうか、なんて事を想像してしまう。そういう“裏”みたいなものを喚起させる力が、カレンの歌にはある。そういう点でも、カレン・カーペンターは凄い歌手だったのだ、と思う。正に不世出。こんな歌手を僕は他には知らない。

リチャードもアレンジャーとして高い評価を受けているが、この人、作曲家としても非常に優れている。「イエスタデイ・ワンス・モア」「青春の輝き」「トップ・オブ・ザ・ワールド」といった、有名なヒット曲はもちろんだが、いわゆるアルバム・トラックにも隠れた名曲は多い。カレンは才能あふれるリチャードに心酔しきっていて、歌もドラムも、ただひたすらリチャードに認めて貰いたい為に頑張っていた、というのは有名な話。今さらではあるが、この兄と妹はものすごい組み合わせだったのだ。ほんと、今さらだけど^^;

で、肝心のアルバムに触れてないが(笑)、1970年のカーペンターズの2作目。「遙かなる影」が全米No.1になり、カーペンターズは一躍スターダムにのし上がったのだが、本作を聴いてると、2ndにして既にカーペンターズの世界は確立されている。空恐ろしい新人と言っていい。聞けば、デビュー・シングルが今イチ売れなくて、バート・バカラックの「遙かなる影」をレコーディングしてみたらと勧められたリチャードは、アレンジを全て自分に任せてくれるなら、という条件で受けたらしい。大したものだ。やはり、並の新人ではない。

アルバム全体としては、「遙かなる影」と「愛のプレリュード」の2大ヒットが目立つけど、他の曲も素晴らしい。ややサイケな感じ(フィフス・ディメンションみたいな)がするのは時代のせいか。この頃はバート・バカラックの曲が多い印象だが、リチャードのオリジナルも「ミスター・グーダー」「アナザー・ソング」など佳曲が並ぶ。この2曲、なかなかブログレッシブな発想で凄いっす^^ けど、個人的には、本作の白眉は「ヘルプ」かも。もちろん、ビートルズのあの曲のカバーだが、初めて聴いた時(もう40年以上前だけど。笑)はぶっ飛んだ。この曲でこの解釈というのが、当時の自分にとってはめちゃ衝撃的だったのだ。今でも、これを聴くと思い出す。

いやはや、カーペンターズってさりげなく凄い。今さらだけど^^;

ま、とにかく、2020年の夏はコロナ騒ぎもあって、異常というか何というか、後々まで語り継がれる夏になるのだろうな。考えてみると、何もかも前代未聞。そんな特別な夏を体験出来て、得したと思うか損したと思うか、それは貴方次第です(爆)

コメント (2)
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