随分と時間が経ってしまったが、日本が誇る偉大なるドラマー、村上"ポンタ"秀一氏が亡くなった。享年70歳。死因は視床出血とのこと。本当に惜しい人を亡くしました。まだ十分若いのに...謹んでご冥福をお祈り致します。
村上秀一と言えば、説明不要の名ドラマーである。普通、ドラマーというのは知る人ぞ知る存在というのが多いのだが、村上秀一はテレビで見かけた事もあるので、割と一般にも名前を知られていたのではなかろうか。70年代には既にトップクラスのスタジオ・ミュージシャンとして有名になっていたが、僕が初めて村上秀一を意識して聴いたのは、渡辺香津美の『KYLYN』だった。いやはや、そのプレイは凄いなんてものではなかったな。ドラム始めて2年程度の高校生を打ちのめすには十分だった。こんなプレイがしたい、なんてとんでもなくて、それどころか、全く自信を失くしてしまったのを覚えている。
ま、その後、何とか立ち直って、改めて僕はドラマーを目指したのだが(笑)、村上秀一の仕事ぶりは、その後も凄かった。僕が持ってる中では、南佳孝のアルバムでもプレイしているが、立ち位置をわきまえ、無意味に目立たず、でもある程度の自己主張はして全体もリードする、という正にドラマーの鑑である。角松敏生なんて、村上秀一と共演するのが夢だったらしく、初めて自分のバンドに迎えてライブを行った時は、終始ポンタさんポンタさんと連呼し、本当に感激してるのが伝わってきたくらいで、多くのミュージシャンからの信頼と賛辞を集めていたのは間違いない。
たたでさえドラマーなんて目立たないのに、昨今では、益々ドラマーの存在意義が薄れているような気がしてならない。そんな逆風の中でも、もっと活躍して存在感を示して欲しかった。マジ残念です。
と、村上秀一を偲びつつ、最近買ったCDから(は?)
マーティ・バリンと言えば、元ジェファーソン・エアプレインというより、やっぱ「ハート悲しく」だな。その名曲「ハート悲しく」を含む、1981年のアルバム。邦題『恋人たち』。長らく廃盤で入手困難だったが、AORの名盤復活企画で、昨年暮れ再発された。ちなみにこの再発企画、マーティ・バリン以外にも興味深いアルバムがたくさんセレクトされているので、洋楽好きは要チェックである。
1981年に突如ヒットした「ハート悲しく」は、メロウなサウンドにまるで歌謡曲のような哀愁溢れるメロディを乗せた名曲であるが、アルバム全体は、そこまで哀愁漂っている訳ではなく、正にAORって感じ。ライナーによると、マーティ・バリンはジェファーソン時代からジェシ・バリッシュというソングライターを贔屓にしており、このアルバムでも、「ハート悲しく」をはじめ3曲がパリッシュの作。確かに、良いメロディを書く人で、「ハート悲しく」の次のシングルになった「アトランタの少女」もパリッシュによる、少々地味だが良い曲だ。他の曲も、自作曲は1曲だけだが、良い曲が多く、またAOR風とはいえ、軟弱な印象はなくロック的であるので、とても聴きやすいし、飽きがこない。当時、僕もFMでかかったのを録音して、よく聴いてたものだ。バリン在籍時のジェファーソン・スターシップの音楽性に近いと言えるのではないかな。よく知らんけど(笑)
ジェファーソン・エアプレイン~スターシップは、マーティ・バリンとポール・カントナーの双頭バンドだったように思うのだが、70年代終わり頃、二人は袂を分かってジェファーソン・スターシップは分裂した。それぞれに成功を収めた後、1989年にジェファーソン・エアプレインを再結成したりするが、その後色々とあって、バリンもカントナーも今や故人である。時の流れは非情だな。なんか、ジェファーソン・スターシップを改めて聴いてみようかな、と思う今日この頃。
元ジャーニーと元ベイビーズのメンバーによる、いわゆる“スーパー・グループ”(笑) 1989年発表。当初は、ジョン・ウェイト、ジョナサン・ケイン、リッキー・フィリップスの3人が、ベイビーズ再結成を計画したものの、結局ニール・ショーンとディーン・カストロノヴァが合流して、バッド・イングリッシュとなったものらしい。ちなみに、バッド・イングリッシュというのは、ビリヤード用語だそうな。
という訳で、バッド・イングリッシュの1stである。これがなかなか素晴らしい内容なのだ。当時(もうかれこれ32年くらい前だが^^;)、ジャーニー好きの友人が、「これは絶対いいぞ」と興奮しながらCDを持ってきたのを思い出す(笑) 正に“産業ロック最後の名盤”と呼ぶべきで、ハードな曲とバラード曲のバランスがいいし、曲の出来自体も良い。シンセが全編で活躍してるのもいいね。なんかこう、見事に“売れ筋”なのだ。ジョン・ウェィトがかなりの実力派だというのもよく分かったし。もろ売れ筋バラードの「When I See Your Smile」が全米No.1になってしまったせいで、イメージが固定されてしまったのは残念だが(ナイト・レンジャーあたりと同じ)、実際、通して聴いてみると、バラード系の印象が強いかも。確かに、そっち系の方が出来が良いような気がしないでもない^^; ま、結成当初の流れで、ウェイト-ケイン主体で曲作り等進められてたのだろうから、バラード系が多いのは仕方ないのかも。
1stが成功し、次作では、もっとロック・バンド然としたサウンドを提示するが、これはニール・ショーンの発言力が強くなったせいなのだろうか。残念ながらあまり売れず、結局アルバム2枚で、バッド・イングリッシュは解散する。時代はニルバーナらの台頭で、グランジ一色だった。バッド・イングリッシュのような分かりやすいロック・バンドには、分が悪い時期だったと思う。
という訳で、このバッド・イングリッシュも、今となっては古き良き時代のロック・バンドになってしまった。ハードな曲、ポップな曲、バラード系、AOR系と色々なタイプの曲を、バランス良く聴かせるタイプのバンドは、90年代に入ると、だんだん少なくなっていく。やはり時代は変わるのだった(は?)
前から言ってるけど、近頃、洋の東西を問わず、新らしい音楽というか、今売れている音楽、主流になっている音楽、というのが分からなくて、要するに、最近の音楽には疎くなってる訳だ。そのせいもあって、新しいのは聴かなくなって、益々分からなくなっていく、という悪循環なのだが、実はこれは単なる言い訳に過ぎず、つまり、新しいのを知らないのではなく、新しいのに馴染めない、スバリ言うと、新しい音楽、流行ってる音楽が、ちっとも良いと思えない、というのが真実である(笑) 結局、そういうものなのだ。かつて、ロックは最新の物が最も価値がある、と言ったのは渋谷陽一で、最新のロックについていけなくなったら、もう終わりなのである(笑) 新しい音楽は、新しい感性を持つ人イコール若者でないと理解できないのは当たり前、所詮、オジサンには自分が若かった頃の音楽にしかついていけないのだ。悲しい事実だが、我々オジサンは、これを受け入れなければならない。その方が楽になるし(笑) 実際、日本のものでも、僕も最近のは良いと思えない。自分の古い感性が受け付けないのだ。ま、こんなオジサンが良いと思えるのは、米津玄師とSuchmosくらいである。
そんな、還暦が近いオヤジでも理解できる(爆)Suchmosだが、最近、活動休止を発表した。方向性の違いか、ビッグになった事への戸惑いか、詳しい事はよく分からんけど残念な事だ。ま、解散とかではないらしいので安心だが。ただ、それを踏まえて、現時点での最新作『THE ANYMAL』を聴いてみると、以前とのあまりの音楽性の違いに驚いてしまう。『THE ANYMAL』が出たのは2年前で、僕は今まで聴いてなかったのだ^^; ネット等で見ると、Suchmosの音楽性の変化は、もちろんファンも気づいており、心配する向きもあったらしい。で、ここへきての活動休止だがら、悪い予感が当たってしまった、という人も多いのだろうな。
僕自身の感想としても、かなり変わったなぁ、という感じ。なんか、内省的になった気がする。元々、歌詞の傾向は内に向かうイメージはあったけど、今回は歌詞だけでなくサウンドまで内に向かってる、というか。決して悪い出来ではないのだが、R&Bやファンクをベースにした、ある種スティーリー・ダンみたいな雰囲気は、ほとんどない。まだ理解出来てないので、もっと聴き込む必要があるかも。
端からは分からないけど、バンドが成長していく過程で、色々な軋轢や葛藤もあるのだろうね。それをクリアして、吹っ切れた姿で復活して欲しいものです。
まだ若いからね^^