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日々の覚書

MFCオーナーのブログ

音楽ジャーナリズムに物申す!?

2005年03月17日 22時56分51秒 | 本と雑誌
今日はとても機嫌が悪かったのである(笑) 何故なら一日中雨と強風だったからだ。ほんと、雨が降る事だけでもイヤなのに、強風まで重なると機嫌がいい訳ない。今日だって、あまりの強風に煽られ、傘の骨が曲がってしまった。傘って何故、かさばるくせにちっとも役に立たないのか。日本の社会自体も傘を持ち歩く前提では作られていないし。傘を置く場所が常時用意されている建物は皆無と言っていい。これだけ歓迎されていないのに、傘を持ち歩かねばならない天候が腹立たしい。故に雨は嫌いである(一体コイツは何が言いたいのか?)

さて、今月もレコードコレクター誌(以下レココレ)を買ったのである。思えば、毎月欠かさずレココレを読むようになってから、15年程になるだろうか(!) 面白い時もあればつまらない時もある。ま、長年定期購読してる雑誌なんて、そんなもんだろうね(どんなもんだ?) 

定期購読を始めてから15年の間に、編集長も替わりレココレも変化している。ただ、ずっと変わらないこと、それは「レココレ的に重要なアーティスト、それはビートルズ、ストーンズ、クリムゾン、ツェッペリン、ディラン、ザ・バンドである」という事だ。実際、これらのアーティストは、何かというと特集が組まれる。新作が出たとか、リマスターで旧作が再発されたとか、メンバーが来日するとか、最近巷で話題になってるとか、はっきり言うと、かなり適当な理由で特集されている。で、その都度、似たような賛辞の言葉とアルバムガイドが繰り返される。重箱の隅をつつくような、新リマスターと旧リマスターの比較検証や、レア音源追跡もお馴染みだ。近頃では、ネタが尽きてきたのか、◯◯(アーティスト名)を知るためのアルバムガイド20選とか、今に受け継がれる◯◯(アーティスト名)の遺伝子を知る20枚、なんて記事も定番化してきた。そんな事してるなら、他にもっと特集すべきアーティストは大勢いるだろうに。こういう記事ばかり載せてると、マニアを増やす事はあっても、洋楽ファンの裾野を広げる、もしくは古い洋楽ファンを呼び戻す、なんて事は期待出来ない。それでもいいならいいけど。

例を挙げると、我が敬愛するクイーンなのだが、これまでにレココレで特集が組まれたのは一回だけ。フレディ死後の1992年の春頃だ。正直言うと、レココレでは絶対クイーンの特集はないと思っていたから、これは大変嬉しかった。だが、それ以降は一回もなし。特集を組もうと思えば組めたはずだ。『メイド・イン・ヘブン』が発表された1995年秋、フレディのボックスが出た2000年冬、旧作のリマスターが出た2001年秋、ロンドンでミュージカルが上演された2002年夏、そしてオリコンで『ジュエルズ』が一位になった去年の今頃、と最低でも5回は特集のチャンスがあった。もしこれがクイーンでなく、ザ・バンドやツェッペリンであったら、間違いなく特集が組まれていたはずである。何故なかったか。それはひとえに、編集部の好みではないからだ。

クイーンは昔から評論家ウケするバンドではなかったけど、レココレが取り上げないのは、おそらく編集者の年齢にも依ると思われる。どこにも書いてないが、推測するにレココレ編集部の平均年齢は40代後半から50代であろう。この世代にはクイーンはウケが悪い。もうちょっと下の世代なら、結構クイーンを取り上げるのではなかろうか(事実、他の雑誌ではクイーンは非常においしいネタとなっている)。いえ、別にクイーンの特集をやれ、と言ってる訳ではないんですけど...

ま、レココレってのは、そういう雑誌だという事である(笑) ちなみに、今月号(4月号)の特集は大瀧詠一の『ナイアガラ・ムーン』がメインで、あとポール・ウェラーとYMO。大瀧詠一って別に好きではない(あの名盤と言われるロンバケさえろくに聴いていない)。今回は本人のインタビューを交えて『ナイアガラ・ムーン』というアルバムを再検証しているのだが、この人自分の音楽について語り過ぎるのが良くない。この曲の元ネタは何とか、このタイトルは何をもじったとか、この部分のコーラスはあの曲の何をマネしたとか、マニアがあれこれ詮索するならともかく、本人が言っちゃいけない。本人はシャレのつもりで遊んでいたのだろうけど、自らネタばらしをされると興ざめする。山下達郎も、自分の音楽について語りたがる人だけど、彼の場合は冷めてるというか自虐的な感じがあって、自身の作品を客観的に見てるんで却って笑えるくらいだが、大瀧詠一はほとんど自慢話。大瀧フリークくらいだろう、こういう記事を面白がるのは。

あと、レココレに限らないけど、ライターがこの曲の元ネタはこれだ、なんて公の場で言うのも良くない。自分が色々と知っているのをひけらかしてるだけとしか思えない。とある雑誌で、あるアーティストの新作を取り上げ、全曲に渡って曲解説ならぬ元ネタ解説をしていたのには呆れた。というか、腹が立った。そのアーティストが好きなら、その作品にもっと敬意を払うべきだろう。しかも、元ネタをばらして批判するならともかく、絶賛してるのだから、余計訳分からない。僕がアーティストなら、面と向かって「この曲は◯◯を頂いてますね」なんて聞くライターなど、張り倒すであろう。少なくとも二度と取材は許可しない。音楽家が生み出した作品と何だと思ってるのだ。音楽ジャーナリストとは聞いて呆れるわい。

もっとも、最近は某オレンジレンジのように、パクリを公言して自らの音楽を貶めているミュージシャンもいるから、ジャーナリズムだけではなく、アーティスト側も似たようなもんか(苦笑)

あ、レココレ今月号ですが、ポール・ウェラーとYMOの記事は大変面白かったです。聴きたくなりました。こういう記事は大歓迎(笑)

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AERA IN ROCK(Part 2)

2005年03月02日 21時57分57秒 | 本と雑誌
間髪入れずに続きです(笑)

QUEEN in their early days

やっぱり目玉はこれ、でしょうか?(爆)
クイーンの2ndや『シアー・ハート・アタック』のジャケット撮影で知られる写真家、ミック・ロックによるクイーン回想録である。撮影現場でのクイーンについて細かく語られているのが興味深い。ミック・ロック曰く“(彼らは)自分たちのルックスがいかに強力になるか、知りすぎるほど知っている連中だった”、なるほど、やっぱりそうだったんだ、って感じ(笑) クイーンというと、フレディの独特の美意識とナルシズムばかりが強調されるきらいがあるが、実はメンバー揃ってナルだったのだ(爆) でなきゃ、初期のあんなヒップでグラマラスな写真を堂々と撮れるはずがない。納得。ビジュアル面においては、フレディがリーダーシップを取っていた、という話も改めて納得。この手のネタは、ファンジン等では当たり前に紹介されているのだろうけど、写真家の目を通したクイーン、というだけでなく、とてつもなく創造的な空気がみなぎっていた、という70年代前半のロンドンの様子やミュージシャンのライフスタイルについても語られているので、非常に興味深い読み物になっている。タイムマシーンがあったら、是非30年前のロンドンに行ってみたい、なんて気になってしまうね。ちょっと怖そうだけど(笑)

ロック女子覆面座談会 美形ロックは永遠に不滅

いわゆる“ミーハー”な20代から30代のお姉さんたち4人が座談会形式で、愛する美形ロッカーたちの魅力を語る。登場するロッカーは、デュラン・デュランとボン・ジョビがメインで、僕などよりは一世代下ってとこかな。しかし、ミーハーと侮るなかれ、彼女らはただお目当てのミュージシャンの写真を抱いてキャーキャー叫ぶだけの人たちではない。進行役(男)がデュラン・デュランは単なる売れ線では、とつまらぬ茶々を入れると「スミスやキュアーとどう違うのか?」と切り返してみせるあたり、あっぱれである(笑) ロックとは思想性を内包した音楽なのではないか、としつこく言い続けるこのオヤジを置いてきぼりにして盛り上がるなんて痛快この上ない。「ジャンルにこだわるのは男の人特有の性癖ですよね」と耳の痛いセリフも強烈。彼女たち、ルックスだけでなくてちゃんと音楽も聴いてるし、データもきちんと押さえていて、案外とマニアなんである。野郎どもとはベクトルが違うだけだ。こういうお姉さんたちと、酒でも飲みながらロックについて語れたら、といけない妄想に耽ってしまいました(爆)

ラフ・トレード 奇跡の軌跡

偶然にも、同時期に発売されたレコードコレクターズ3月号でも、ベガーズ・バンケット/4ADに関する記事が掲載されており、合わせて読むと非常に興味深い。共に、70年代後半、ロンドンのレコード店が発展して誕生したインディー・レーベル。折からのニューウェイブ旋風に乗って成長を続け、ゲイリー・ニューマン、カルト、スミスといった人気バンドを世に送り出し、肥大化・産業化するロック界に一石を投じた意義は大きい。しかも、両レーベル共90年代に入って失速したとはいえ、今でもレーベルが続いているとは、単なる趣味が高じてのレーベル運営ではなかった、という事の証明でもある。成功の秘密は何なのか? 脱サラ希望者としては、大いに憧れてしまうのである(笑)

う~む、まだ終わらない。またまた続くのであった(爆)

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AERA IN ROCK(Part 1)

2005年03月02日 00時07分56秒 | 本と雑誌
3月になってしまった。実は、一年で一番憂鬱な月が3月なのである。理由は...所詮サラリーマンですから(笑)

今回は、しつこくて既に飽きられてしまった(爆)「我が心の歌ベスト10」はお休みして、違うネタでいこうと思うのである。

もたもたしてるうちにすっかり時間が経ってしまったが、先月朝日新聞社より雑誌『アエラ』の臨時増刊『AERA IN ROCK』が発売された。別に断らんでもいいのだろうが(笑)僕は昔から朝日新聞が嫌いだし(嫌いな理由を書くと、長くなってしまうので止めておく)、アエラも電車の中吊り広告で寒いダジャレを飛ばしている割には、内容の乏しい雑誌であるし、普通なら臨時増刊なぞ気にも留めないのだが、今回はちと違った。表紙に「再びの、ロック」なる文字が躍り、ツェッペリン、クイーン、クリムゾン、ディラン等々の名前が散見されれば、やはり見てみたくなるもの。で、つい買ってしまったという訳だ。で、これが仲々に読み応えがあったのである。朝日も意外とやるもんだ(でも新聞は取らないよ)

で、中でも、僕が興味深く読んだ記事をいくつか紹介させて頂く。

LED ZEPPELIN Celebraion Days Are Here Again

いきなりツェッペリンの特集なのである。「異次元の爆音が新たな時代を開いた伝説の初来日」「ネブワース公演最後の輝きと悲哀」「70年代ロックおやじの決着つけたペイジ&プラント」「教えて!ジミー音作りの秘密」と、タイトルだけでもそそられる記事が並んでいる。
ツェッペリンの初来日がいかに強烈だったか、当時伝説のコンサートを見た人、メンバーに遭遇した人、来日公演の間ツェッペリンに随行した人、と当時を知る人たちの証言で綴られる「異次元の爆音が・・・」は、とにかくリアルタイム世代(今はオジサン・オバハン)の体験談だけにリアリティと説得力があり、つい興奮して読んでしまった。ツェッペリンは演奏だけでなく、乱行も“伝説”だったけど(笑)、この記事の中にも、メンバーがアンコールに姿を見せないので覗きに行ったら、楽屋で喧嘩してたらしい、とか、ロバート・プラントがホテルの廊下でファンと握手する合間に、ルームサービスのワゴンからハンバーガーを盗んでワゴンを階段の下に蹴り倒した、とかの武勇伝がいっぱい(笑) 最後の「見たとか聴いたというレベルではなく、異次元空間で猛烈な音を浴びたような感覚」とコンサートを述懐する証言も生々しい。若者がロックに“何か”を求めていたピュアな時代だったのだろう。
そしてポストパンクの時代にも存在感を見せつけたという、1979年のネブワース・パーク音楽祭でのツェッペリンの姿を綴った「ネブワース公演最後の輝きと悲哀」、ストーンズもCSNも日本に来た1996年、これでツェッペリンが見れたら思い残す事はない、と言ってたらペイジ&プラントの来日公演が実現してしまった、という「70年代ロックおやじの決着つけたペイジ&プラント」、どれもおやじ世代による記事が熱い。ツェッペリンに、そしてロックに対する熱い想いを感じて、こっちまで熱くなる。
ジミー・ペイジのギターサウンドを解剖した「教えて!ジミー音作りの秘密」は、マニアックで分かりづらかった(笑)でも熱いよ。

ハードロックとプログレの分岐点

これこれ、こういう記事が大好きなんです(爆) 今どき、こんなネタに反応するのは絶対に40才以上だろう(自爆) しかし、ハードロックとプログレ、その隆盛と衰退の歴史を辿り検証する事は、“白人音楽”としてのロックを考える際、必要不可欠なのだ。そう、ブルースやR&Bをルーツに戴くロックが、黒人音楽から発展し、ついには白人音楽としてのロックとして築き上げられたのが、ハードロックでありプログレなのだ。この時点で、音楽面では黒人の後塵を拝していた白人(西洋人)が、胸を張って自分たちの音楽(ロック)を掲げ、黒人と肩を並べる事が出来たのである。ついでに言うと、その白人音楽としてのロックの発展型が産業ロックという事になる。
この記事では、ハードロックとプログレの出自を辿りながら、ディープ・パープルとキング・クリムゾンという2大巨頭の登場によって、それぞれのスタイル(様式と言ってもいい)が確立されたと述べている。そして70年代の隆盛ぶり、その後の低迷ぶりにも言及して、そして「1991年、ニルバーナにとどめを刺された」と締めくくる。実に論理的にハードロック及びプログレを分析しながらも、古き良き時代のロックに対する愛着を感じさせる文章が素晴らしい。
白人音楽としてのロックが、かつてのパワーを失った今、西洋人たちのアイデンティティはどこへ行くのか。だから無用な戦争に走っているんじゃなかろうね(笑)

まだ途中なんだけど、長くなってしまったので、続きは次回ってことで(笑)

コメント (2)
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