イワシの翻訳LOVE

はしくれトランスレータ「イワシ」が、翻訳への愛をつれづれなるままに記します。

すべてが「わたし」な世界

2009年05月17日 22時02分01秒 | ちょっとオモロイ
突然ですが、僕の名字は「児島」といいます(「鰯」ではありません)。「こじま」という名字自体はあまり珍しくありませんが、「こじま」にも色々ありまして、「小島」という漢字の方が一般的です。なので、少数派の「児島」としては様々な局面においてなんとなく肩身の狭い思いをしております。「お名前は?」と聞かれて、「コジマです」。と答えると、だいたい「小島」であると受け止められます。まったく気にはならないので、問題なければいつもスルーするのですが、漢字が違うと都合がよくない場合もあります。そんなときは仕方なく、「実はコジマといっても小さい島のコジマではなく、児童のジのコジマの方なのです。」と、なんだか悪いことでもしてしまったみたいに相手にそれを伝えなければなりません。相手にも、「素直に小島にしとけばいいのに、なんでかっこつけて児島なんかにしたのかね? めんどくさい」などと思われているような気がして、いたたまれなくなることもたまにあります。そんなときは、離れコジマに取り残されたような寂しさがあります。ところで、そんな少数派のコジマにとって、看過できない場所があります。生まれてこの方一度も行ったことがないのですが、岡山県に「児島」という地域があるのです。非常に「こじんまり」したよい町のようです。ジーンズの産地、タコの産地、児島競艇場が有名..フムフム。僕の先祖がそこに住んでいたかどうかはわからないのですが、なんだか妙に親近感を感じます。と同時に、名前だけではなくそのライフスタイルも含めて少数派であると感じている僕、つまり「児島」が、その地域では誰もが認知するところとなっているであろうことを考えると、なんとも面はゆい気持ちもします。

そこではきっと、いろんなものが児島なはずです。児島小学校があり、児島区役所があり、児島商工会議所がある。コジマ電気もあり、スーパー児島も(たぶん)あり、スナック児島もあるはずです。児島に住めば、きっと孤独は感じないはずです。だって、すべてが児島なのですから。お伽噺の世界に入り込んだような気がするかもしれませんね。

「いらっしゃいませ。今日はどちらからいらしたのですか?」
「児島です」
「そうですか。ではお客様、お名前をいただけますでしょうか?」
「児島です」
「いえ、そうではなくて、お名前をいただけますでしょうか?」
「ですから児島です」
「...」

と、そんなミスアンダースタンディングも発生する可能性はありますが、きっと児島の人たちは、児島な僕に対して悪い印象は持たないはずです。ひょっとしたら、ミスター児島、キャプテン児島という称号を与えられ、地元の名士として幅を利かすことができるかもしれません。

しかし、現実問題として、自分の名前と同じ地名に住むということは、いろいろと大変なこともあるかもしれません。たとえば今東京に住んでいる僕が「東京太郎」という名前だったらどうでしょうか。なんだか区役所の必要書類に記入する名前みたいなので、書類を申請しても、悪い冗談として受け止められてしまうかもしれません。旅先で知り合いに絵はがきを書いても、「東京より」と最後に結んだら、せっかく旅先にいるのに東京からはがきを投函したように思われてしまうかもしれません。長渕剛に、突然「東京のバカヤロー」と言われてしまうかも知れません。むやみやたらと自分の名前を呼ばれるので、あまり精神衛生上よくないかもしれないですね。でも実際、そういう境遇を生きておられる方はたくさんいらっしゃるのでしょう。

ともかく、児島には一度、機会があったら行ってみたいです。児島駅の前で写真を撮り、駅前の「児島食堂」でタコの刺身定食を食べる。競艇はやったことないけど、とりあえず競艇場に行ってみます。きっと児島の神様が勝利をプレゼントしてくれるでしょう。それから、おもむろに知人に電話をかけてみます。

「もしもし、児島だけど」
「今どこにいるの?」
「児島だよ」
「うん、だからどこからかけてるの?」
「児島さ」
「...」

というわけで、実際、児島に行ってもたいしてするべきことはないのかもしれません。でもまあそれも、児島らしくていいじゃないですか。

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4 コメント

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too many kojimas (kame)
2009-05-18 19:06:44
遅れましたが、お誕生日、おめでとうございます。今後のご活躍を、こころよりお祈りいたします。さて、きょうの記事ですが、too many kojimas で目が回りそうになりました。シュールでした。で、思ったのですが、好事魔多しにならないように、お気をつけてくださいね。なんちゃって。
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ありがとうございます! (iwashi)
2009-05-18 19:25:53
kameさん

ありがとうございます。今後は、児島多し(笑)には気をつけたいと思います。この1年は、リスクを覚悟でいろいろなことにチャレンジしたいと思います。虎穴に入らずんば児島を得ず(なんて)。
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児島というと・・・。 (N.K.)
2009-05-20 14:01:52
いつも愉しく読ませていただいてますが、コメントは初めてです。岡山の児島とあるのを見て、ついほっておけなくて…。実はワタクシ、岡山県児島郡という1つの郡に1つの町しかない土地の出身なのです。1郡1町なので、つねに隣接した倉敷市、岡山市、玉野市との合併話にさらされてきましたが、とうとう昨年、岡山市に吸収されてしまいました。
それはさておき、岡山県児島郡と言うと、県内の人からさえ「ああ、倉敷の児島なの~」と勘違いされ、そのたびに「いえ、児島郡の方です」と訂正しなくてはならず、そこはかとなく誇らしいような、わけもなく肩身が狭いような。
どちらにしても、瀬戸内の穏やかな気候で人もおおらか。海の幸にも山の幸にも恵まれた、住みやすい土地ですよ~。観光にいらっしゃるなら、ぜひ倉敷の美観地区や大原美術館にもお立ち寄りくださいませ。
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児島つながり (iwashi)
2009-05-20 16:20:08
NKさん

コメントありがとうございます! まさか、岡山県児島郡ご出身の方にブログを読んでいただけるなんて、奇遇ですよね。とてもうれしいです。いや~児島って素晴らしいですね(^^)! しかし、児島郡は岡山市に合併されてしまったのですか。。。同じ児島として非常に無念です。なんとか児島ご出身の方々に頑張っていただき、数年後に岡山市を乗っ取り、児島市にしてほしいですね(なんて)。観光にいく機会があれば、ぜひ倉敷の美観地区や大原美術館にもいってみたいと思います。よさそうなところですね。教えていただいて本当にありがとうございました!
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