岩国矯正歯科クリニック(山口県)院長の矯正日記

院長が、健康・矯正に関すること、日々の出来事などを綴っています。

日本語は難しい

2011-05-17 17:53:08 | 日々のこと
井上ひさし氏をご存知ですか?劇作家で、2010年4月9日に亡くなりました。没後1年して出版された<日本語教室>と読みました。私の習性として、亡くなった著名人の本を読みます。著名人なのに、その人の作品を読んだことがないという自分が情けない。こう思う気持ちがあるから読むというのが、偽らざる気持ちです。

講演を書き下ろしたので、話し言葉で書いてあり、分かりやすい本です。しかし、中身は濃厚です。その中から、普段何も疑問に感じずに使用している数字の読み方を紹介します。漢語と大和言葉についての説明の例です。

学生に一から十まで数えてくださいと、井上氏がお願いします。
<イチ、ニイ、サン、シー、ゴー、ロク、シチ、ハチ、キュウ、ジュウ>
井上氏が、逆に、今後はジュウから下ってみてくださいと言います。
<ジュウ、キュウ、ハチ、ナナ、ロク、ゴー、ヨン、サン、ニー、イチ>

上っていく時は、<シー>ですが、下っていく時は、<ヨン>です。上っていく時は、<シチ>ですが、下っていく時は、<ナナ>です。上がっていく時は漢語で言えたのに、下っていく時は大和言葉で言っていると指摘しています。

<普通、上るのをいつも言っているのですが、下ることはあまりしないでしょう。そこで、(日本人としての)本性が現れます。こういうふうに、私たちはもう区別できないぐらい、無意識に的確に漢語と大和言葉を使いこなしているのです。>と述べています。

大和言葉では、<ヒトツ、フタツ、ミッツ、ヨッツ、イツツ、ムッツ、ナナツ、ヤッツ、ココノツ、トオ>となります。日本人は器用に使い分けています。たかが数字なのに、日本語には何通りも数えた方があるのかと思うと、全く不思議です。

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