稲盛和夫氏の＜働き方＞

私の尊敬する稲盛和夫氏の著作物は、いずれを読んでも感動しますし、私に生きる道しるべを教えてくれます。あるときは私を叱咤し、あるときは私を慰め、あるときは私に勇気を与えてくれます。何度か読んだ＜働き方＞を、もう一度読み直しました。その中より、紹介します。

・＜よく生きる＞ためには、＜よく働く＞がもっとも大切なことです。それは、心を高め、人格を磨いてくれる＜修行＞であるといっても過言ではありません。

・不運、試練こそが、私に仕事に打ち込むことを教え、そのことを通じ、人生を好転させてくれたという意味では、神様が与えてくれた最高の贈り物だったのです。

・＜天職＞とは出会うものではなく、自らつくり出すものです。

・充実した人生を送るには、＜好きな仕事をするか＞＜仕事を好きになるか＞のどちらかしかないのです。しかし、好きな仕事を自分の仕事にできるという人は＜千に一人＞も＜万にも一人＞もいるものではありません。・・・＜与えられた仕事＞を、まるで自分の天職とさえ思えるようにな、そういう心境にしていくことが大切なのです。

・立派な仕事は＜完璧主義＞から生まれる。つまり、＜ベスト＞ではなく＜パーフェクト＞を目指すのです。

就職活動している学生は、働くことの本質も知らずに就職活動をしている可能性が高いと思います。何やら、人生の皮肉を感じます。働き始める前に心構えをしっかり持つためにも、是非味わって読む必要がある本がこの＜働き方＞だと思います。

　

後悔・不安・悩みの解消法

雑誌＜致知＞の2013年2月号に、＜正岡子規が救ってくれた＞という文章がありました。

子宮頸がんを発症し、転移も確認され、失意のどん底だった白駒妃登美さんが書いたものです。死が間近に迫っても、彼女は正岡子規に関する文章を著述するのに全身全霊をつぎ込んで過ごしました。その本が完成した暁には、何と癌が治癒していたという奇跡的な物語です。その抜粋です。

ー過去も未来も手放して、いまここに全力投球する。そうすると、扉が開いて次のステージに上がる。
（中略）
私たちの悩みのほとんどは過去を後悔しているか、未来を不安に思っているかどちらかで、
いま現在、本当に悩みがある人って少ないのではないでしょうか。

もし、“いま”悩みがあるという方がいらっしゃたとしたら、多くは“ここ”に照準が合っていないのだと思います。
人に比べて劣等感を抱いたり、人からどう思われているかが気になったり。

ですから、時間軸を“いま”に合わせて、地点を“ここ”に合わせたら、恐らく世の中の悩みのほとんどは消えてなくなってしまうのではないかと思います。ー

“いま”と“ここ”に照準を合わせて、全身全霊をつぎ込む。過去は現在のなれの果てで、未来は次ぎの現在です。現在に全力投球する。その継続で、後悔も不安も悩みも気にならなくなるという、教えです。すばらしい。

　

映画＜レ・ミゼラブル＞を鑑賞して

ヴィクトル・ユゴー作のレ・ミゼラブルを高校時代に読みました。内容はほとんど覚えていません。通俗的な内容であったとの印象だけ残ってしました。

珍しく空いた時間があり、暇つぶしに映画＜レ・ミゼラブル＞を見ました。それほど期待していなかったのですが、素晴らしい脚本で、感動しました。もしまだ見ていない人がいらっしゃれば、是非お勧めします。

最近知ったのですが、この映画化の原作は1980年に初演されたミュージカルで、25年以上ロングランをしているので有名だそうです。どうりで、良くできたストーリーです。もっとも、映画ではリアルな場面を、劇場でどう表現しているのか、興味をもつところですが。

暇つぶしをするにも、十分調べて、充実した時間を過ごす必要があります。映画の鑑賞後、後悔したり、落胆したり、宣伝に惑わされて自分を責めたりすることがあってはなりませんから。

　

六代目中村勘九郎襲名披露を見て

重鎮である市川團十郎や中村勘三郎が突然亡くなり、歌舞伎界に思いがけない世代交代が起こっています。中村勘三郎の長男である中村勘太郎が六代目中村勘九郎の襲名披露する公演中に、中村勘三郎は逝去しました。六代目中村勘九郎は若いのに、中村屋の主になった訳です。

六代目中村勘九郎襲名披露と銘打った公演を博多座で見る機会がありました。演目は、昼の部が三幕、夜の部が四幕です。私は昼の部を見ました。当日は満員で、贔屓筋とみられる方が＜中村屋＞と声援を何度も発していました。

片岡仁左衛門や中村橋之助など著明な役者も出演して、中村勘九郎を応援している感じでした。父から子へと芸を承継していく歌舞伎界にあって、中村勘三郎の死は、若い中村勘九郎にはハンディキャップになるかもしれません。父の亡き後は、自分なりに役どころを解釈して、演じるのは試練でしょう。

中村勘三郎は歌舞伎界を超えて、現代劇などに出演したり、英語で歌舞伎を演じてアメリカで大盛況であったり、花のあった役者でした。父が偉大だっただけに、後継者の苦労が偲ばれるます。

公演を見て、中村勘九郎の一所懸命さは感じました。これから、父を超える役者、あるいは父とは何か違う存在感を示す役者になってほしいと、心より希望します。

　

イチローのプロ意識

孤高の人イチロー　鈴木一朗選手は、禁欲生活をして、実力を維持しているイメージです。マスコミへの露出度はある方ですが、表現が曖昧で、私はいつも分かり難さを感じます。現役選手ですので、同僚やライバルへの配慮から言葉を選んで、慎重な表現になっているのでしょう。

イチロー選手は今年40歳を迎えます。2月13日付けの日経新聞にインタビューが出ていました。その中で、プロ意識に関してのコメントに、彼の本音を感じました。

ー子供の時の感覚で楽しくて好きでいたいのならプロになるべきではないだろう。もちろん、違う種類の楽しみややりがいはたくさん生まれるが、プロの世界では楽しい時など瞬間にすぎない。

ほとんどはストレスを抱えた時間だ。しかしその『瞬間』のために、ありったけのエネルギーを費やしていく。その中で人間構築をしていかなければならないと考えている。ー

プロですから、結果を問われます。チームの勝利に貢献しなければなりません。『瞬間』に実力を発揮するのは、イチロー選手でもやはりストレスがあるのですね。彼の本音を聞いて、私は共感し少し安心しました。