おはようございます。アドラー心理学に基づsく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。
昨日(6月3日)は、13:30~18:50に22人の受講者を迎えて アドラー心理学ベーシック・コース の3日目を担当していました。
この件で詳しくは、明日にまとめてお伝えします。
ところで、私はアドラー心理学の概要をたった1枚のスライドで表現することを試みておりますが、ワンフレーズに言うと、次のようになるのではないか、と最近思っています。
個人がライフタスクに直面したとき、ライフスタイルを使って、ある目的に向かって主体的に自分と環境を動かす。
しかし、ここまで言い切ってしまうのも乱暴な感じがするので、せめて「アドラー心理学が心理学であるために」必要な学びの態度について触れておきます。
このことは、5月28日付けメルマガに下記のように書いていますので、その内容に少々手を加えてお伝えします。
5月28日付けメルマガ巻頭言:アドラー心理学が心理学であるために
和田秀樹氏や齋藤孝氏などの知名度のある著者が「アドラー」の名を冠した本を出し、幸福の科学の大川 隆法氏が『公開霊言 アドラーが本当に言いたかったこと。』 (幸福の科学出版)なる本を出し、「『嫌われる勇気』は、 私の真意ではない」(アドラーの霊言)と書いていることを知ると、アドラー心理学がブームどころか「ここまでアドラー」現象が起きていることに驚きと共にげんなり感を隠せません。
『公開霊言 アドラーが本当に言いたかったこと。』 の一部を転載してみましょう。
斎藤:現在、日本で再発見され、ドラマ化されたり、小説的な対話編の本になったりしているなかで、ご自身の思想についてどのように思われているのでしょうか。そのあたりの感想をまずお聞かせいただければと思います。
アドラー:いやあ、あまり面白くないよ。
斎藤:えっ?
アドラー:あんまり面白くない。
斎藤:ご自身の哲学がですか? 心理学がですか?
アドラー:(一部略)こういう感じでベストセラー? 180万部か知らんけど、「よくもまあ、こんなものをいったい売ったな」っていう感じかな。ああ。
これらのことに言及して、5月10日付けのブログに アドラーが予言した未来 として書いているので、ご参照ください。
一方では、アドラー心理学が「ギリシア哲学と同一線上にある」とか「アドラーは自己啓発の祖」(『嫌われる勇気』)というキャッチ―なコピーが広まっているのは少々許せるとしても、著者ご本人が「超訳」と断っているはずなのに、超訳の言葉が「アドラーの言葉」として有名人が語り、その後追いでさまざまなところで使われているのを知ると、その人たちの節度のなさにあきれるばかりです。
私は「ここまでアドラー」現象に対して、次の2点を警告しておきたいと思います。
(1)アドラー心理学は、主に人間の思考・感情・行動の営みを扱う「心理学」であることを忘れないこと
そのためには、アドラー心理学を知ったことで心理学全般を知ったと勘違いしないで、他の心理学も謙虚に学んでおくことが必要です。
(2)読んだことをそのまま鵜呑みにしないで、文献で裏付けを取ること
それには、他の信頼できる人の見解も参考にしたり、アドラー自身、あるいは後継者の説を原典で調べたりすることに取り組んでいただきたいです。
私が前々から書いているとおり、アドラー自身の本を読まずに「アドレリアン」を名乗るのは、おこがましいことなのです。
◆ヒューマン・ギルドは、アドラー心理学を中心に据えつつも、他の心理学をも寛容に採り入れています。
7月には、若き心理学者を講師に迎えて2つの講座を企画しています。
是非お越しください。
(1)自分のタイプを知り、よりよく悩もう―フロイトとユングの心理学
「フロイト・アドラー・ユングは心理学の3大巨頭」だと自信を持って言えるようになる講座
講 師:東畑開人先生(十文字学園女子大学専任講師、博士、教育学、臨床心理士)
日 程:7月22日(土)13:30~17:30
受講料:会員10,800円、一般12,960円(税込み・資料付き)
(2)子育てのための発達心理学入門セミナー
過去に2回行い好評を博しています。SMILEの学びの奥行きを深めるためにも必要な発達心理学の常識
講 師:大森哲至先生(心理学者、博士、大学講師)
日 程:7月23日(日)10:00~17:00
受講料:会員16,200円、一般19,440円(税込み・資料付き)
<お目休めコーナー>6月の花(4)
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