おはようございます。ヒューマン・ギルドの岩井俊憲です。
水戸のホテルから発信します。
今日は、看護学校の2日目の集中講義の日です。昨晩は、疲れたので、早く寝てしまいました。
さて、『アドラー 人生を生き抜く心理学』(岸見 一郎著、日本放送出版協会、1,000円+税)を強くお勧めします。
今までのアドラー心理学の概説書のいくつかは、「アドラー」の名を冠しながら著者の考えを盛り込み、「本当にアドラーはそんなことを書いているの?」という本であったりしていました。
この本は、アドラーの訳出に取り組んできた岸見さんが、アドラー自身の論述に忠実に全9章のうちの7章まで展開し、最後の2章に岸見さんならではの見解を込め、それでいてアドラー心理学の色彩を透徹した実に優れた本です。
『アドラーの生涯』(金子書房、エドワード ホフマン著)の訳者の岸見さんらしく、アドラーの生涯のエピソードを随所に散りばめ、アドラーの引用も実に懇切丁寧で、おそらくこの本を読んだ人は、アドラーのことをもっと知りたくなり、アドラー自身の本を読みたくなるに違いありません。
私の参考になった「勇気づけ」と「共同体感覚」に関する3つのポイントは以下のとおりです。
1.アドラーの「勇気」発言(“Adler Speaks”から)
「私は自分に価値があると思う時にだけ、勇気を持てる」(P.176)
「そして、私に価値があると思えるのは、私の行動が共同体にとって有益である時だけである」(P.186)
2.勇気づけの定義
「勇気づけは、子どもたちが自分の人生の課題を解決する能力があるという自信を持てるように援助することである」(P.196)
3.甘やかしから共同体感覚を育てるようにすること
「自己中心主義から脱却し、他者から与えられるだけではなく他者に与える人になること、自分への関心(self interest)を他者への関心(social interest)にすること(そして、これが共同体感覚があることの意味である)に向けて努力しなければならない」(P.204)
アドラー心理学の概説書の中で最高ランクに位置する本だと言っていいでしょう。
(注)ヒューマン・ギルドでも取り扱っています。他の本と共にご注文ください。
たとえば、
4月13日のブログ参照
1,600円+税
4月20日のブログ参照
743円+税
<お目休めコーナー> クレマチス