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その人は、右足を引きずるように歩いてピアノに向かいました。

曲目は、ラヴェル作曲の「左手のための協奏曲 ニ長調」
左手だけの演奏にもかかわらず、まるで両手を使って演奏しているようにも聴こえます。

万雷の拍手に応えてのアンコールは、カッチーニの「アヴェ・マリア」
作曲家の吉松 隆がその人のために左手用に編曲したものです。

その人の名は「舘野 泉」。東京藝術大学を1960年に首席で卒業。1964年からヘルシンキに在住。若くしてフィンランド国立音楽院の教授。

演奏会は、世界各国で3,000回以上。リリースされたCDは、100枚に上りました。

ところが、2002年脳溢血(脳出血)にため右半身不随。ピアニストとしては、致命的です。

このままピアニスト生活断念と思いきや、2004年「左手のピアニスト」として復帰。
彼のために多くの作曲家が作品を献呈。


ところで、「左手のための協奏曲 ニ長調」の前に演奏された曲は、「交響曲第5番 ハ短調作品68」

この曲は、耳の聴こえない作曲家ベートーヴェンの作品。『運命』の名で知られています。

なお、ベートーヴェンのことは、「器官劣等性の克服」として数回ブログに書いています。ご参照ください。

2人の音楽家の器官劣等性の克服を強く感じさせてくれた、なかのゼロでの東京室内管弦楽団(指揮:橘 直貴)の演奏会でした。 
 

カミさんとタップリ堪能してきました。
 
ちなみに他の曲目は、次のとおり。

グリンカ 歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲
 
ラヴェル 「ボレロ」
 
アンコールにマスネーの「タイスの瞑想曲」
 
 
<お目休めコーナー> ご近所のサボテンの花
 


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