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一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

620  万緑や舌が弄る抜歯跡    多可

2012年06月21日 | 

(ばんりょくや したがまさぐる ばっしあと)

 年齢の「齢」の字は、1字で「とし」とも読む。つまり、昔の人は、「歯の状態で人の年が分かる」ことを知っていた。歯医者のいない時代、皆さんどうしていたんだろう。結局、抜くしかなかったのかもしれない。

 虫歯も軽ければセメントを詰めるだけで済むが、深くなると神経を抜かねばならぬ。それから何年かすると、抜歯に至る。

 とにかく、若い皆さん、と言ってもこのブログを見ている中に若い人がどのくらいいるのか、全く分からないが、たぶんほとんどいないんじゃないかと思うが、それならば、見ているあなたのお子さんに、又はお孫さんに伝えて欲しい。「歯は大事だ」と。この句のように、弄るようになったら、それこそおしまいだよ、と。

 草田男に有名な「万緑の中や吾子の歯生え初むる」という誕生版があるが、この句はその晩年版、なれの果てとして作ったのかもしれない。