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プリミティヴクール

シーカヤック海洋冒険家で、アイランドストリーム代表である、平田 毅(ひらた つよし)のブログ。海、自然、旅の話満載。

コモドドラゴン

2007-03-19 14:07:31 | 東南アジアカヤックトリップ

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(3月12日付「帰ってきました」という記事から始まる旅記録の続きです)

その後、スンバワ島サペからフェリーで7時間かけてフローレス島ラブハンバジョーという港町まで渡り、そしてそこから別のボートをチャーターしてリンチャ島まで渡って島内をトレッキングし、コモドオオトカゲを観察しました。

 ちょうどスンバワ島とフローレス島の間の海域はいわゆる多島海で、大小数百個はあろうかというほどの島々が点在しています。島と島の間には速く複雑な潮流が交錯していて、その影響で島々には外界からの影響を受けずに特有の進化をとげてきた生態系が今でも残っています。中でもかなり大きな面積を持つコモド島、リンチャ島には、そのルーツが白亜紀までさかのぼる、世界のトカゲ類の中でも最も巨大な古代生物「コモドオオトカゲ」が野生の状態で約2000頭生息し、保護されています。そいつは「コモドドラゴン」とも言われ、成長したオスは体長3m、体重は100キロを超えるいかつい巨漢となります。シカ、水牛、野ブタなど島にいる動物を狩って食べていますが、時折人も襲うことがあります。

 昔、シーカヤック絡みで自然観を深めるための本を片っ端から読んでいるうちに、ライアルワトソンの「アースワークス」という本に出くわし、そこに出てきた人食いコモドドラゴンの話が非常に印象的で、ずっと心に残っていました。いつか必ず会いにいかなければならないと思っていましたが、ひとまず念願がかないました。ちなみにライアルワトソンのいくつかの著書は、シーカヤッカー必見です(特に「風の博物誌」)。

 こんなやつらが未だに生息しているってことはそれだけまだまだ世界は広いってことで、その「まだまだ世界が広い」ってことを実際に肌で感じ入り自分の中の世界を広げるためにもやはり色んな場所を旅しなきゃなって思います。余談ですがぼくは自分のちっぽけな周囲のことや世間の常識的価値観しか知らないいわゆる「世界が狭い」人が生理的に苦手で、また他人がどうというより自分が「世界が狭い」状態になってくるとだんだん具合が悪くなってきます。そんなわけでこのコモドドラゴンのような存在は大切です。

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↑ノッシノッシと歩く時の腕の動かし方に、非常に恐竜を彷彿とさせるものがある。この鋭い爪や口の中の牙には雑菌がもうとんでもなくワイルドに繁殖しまくっており、噛まれたり引っかかれたりするとそのウイルスによって敗血症にかかって絶命してしまうという。

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↑よく見ると、目とか結構かわいい。

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↑こいつもかわいい顔している。爬虫類愛好家にはたまらないだろう。

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↑リンチャ島の風景。はるか向こうの雲の下に見えるのはコモド島。ペンペン草しか生えないような荒涼とした大地に、ヤシの木が点在する。物凄く暑く、摂氏40度くらいあったのではないだろうか。すべての生物から水分を奪い去ろうとするかのような太陽光線の灼熱。バーーっと晴れたかと思えばサーっと雲が覆い、あるいは向こうから雷雲がやってきてスコールがバババババーと降って去っていく。その繰り返し。あっけらかんとしていて、四季のある自然場所のような細やかな情感はない。焼け爛れたような大地、そんなところにコモドオオトカゲはいる。

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↑このいかつい顔が恐竜的だ。獰猛な、人食い顔をしている。1973年に食われたスイス人ツーリストのルドルフ氏は発見された時にはメガネと時計だけだったというが、まさに食後メガネと時計だけペっと吐き出したあと、こんな顔してけだるそうに昼寝する姿が目に浮かぶようだ。。

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↑一見全くやる気なしのようにも見えるが、実はこうやって周りの土とか木に同化し、自らの気配を消しながら虎視眈々と獲物を待ち、獲物が近づくともう目にも止まらぬ速さで腹部に飛び掛り、ハラワタを食い破ってしまう。嗅覚が発達しているが、目や耳はあまりよくないらしく、また脳も多分あまりよくないらしく、数メートルの距離から野球ボール大の石を全力投球でぶつけても、「ん? 蚊か?」くらいの反応しか見せない。逆にいったん襲い掛かると決めたならばしつこくしつこくストーカーのように相手を追い詰めるということらしい。しかしこの表情、実にいい。

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↑コモドオオトカゲの餌食になった水牛の骨。

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↑これも餌食になった水牛の骨。いい感じの冒険的な雰囲気をかもし出している。

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↑ガイドに案内されてこんな感じでトレッキングする。ヨーロッパ系のツーリストが多い。時期的なものかどうかはしらないが、バリより東に行って以降、一人の日本人にも出会わなかった。日本人のバックパッカーって一時、どこにでもいたけれど最近は減っているのだろうか?

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