Islander Works

書いて、読んで、人生は続く。大島健夫のブログ

SLAMons&Friends、ありがとうございました。

2015-04-03 17:57:14 | 出たもの
3月27日から29日まで、欧州文化首都・ベルギーのモンスで開催された国際ポエトリースラム、橘上、三角みづ紀、大島健夫の3名からなる日本チームは準決勝で敗退し、決勝ラウンド進出はなりませんでした。

応援してくださった皆様、ありがとうございました。決勝に進めなかったのは残念ですが、予選ラウンドでは1日目、2日目ともグループ1位、全24チーム中最高得点で通過し、我々を招聘してくださった主催者側への最低限の責任は果たすことができたかと感じています。

今回、出場全チーム中、アジアからの出場は我々のみ、あとは全てEU圏内でした。24チーム全72人のスラマー、その全てが、故郷に帰ればファンの方も多くいて、「なんとかのカリスマ」とか「なんとかのスター」とか言われているような人たちであったことでしょう。ポエトリーリーディングをこれまで続けてくるにあたっては、一人一人に様々な背景があったはずです。時には食べたいものも食べられないようなこともあったでしょうし、恋人に「私とポエトリーとどちらが大事なのか」と迫られたようなこともあったかもしれません。72の笑顔の裏には、これまで刻まれてきた72の物語があったはずです。

しかし、ステージに上がれば、誰もがたったひとりです。たったひとり、今ここでオーディエンスの前で何事かを証明する以外に、その一つ一つの物語の次の瞬間を生きる術はないのです。

スラムはたった三日間ですが、スラマーにとってはこれまでの人生にプラスすることの三日間です。互いにほとんど言語も理解できない、ひとりひとりのパフォーマンスを見ながら、私はそれらのことを怒涛のように感じていました。スラムは勝敗を決める競技です。けれども自分の出番と対戦相手の出番が終れば、その瞬間に誰もがあっという間に心からの友人になっていました。互いに全精力を尽くしたなら、友人になる以外にどんなことができるでしょう。

準決勝ラウンドが終った瞬間、我々のところに走ってきて「おまえはウォリアーだ、おまえたちは俺たちの中にいる、俺たちはお前たちと一緒に決勝を戦う、だからおまえたちが戦うのと同じなのだ」と言い、決勝で火の玉のような素晴らしいパフォーマンスを展開しながら、3秒超過による減点という紙一重過ぎる原因により準優勝に終わったバルセロナチーム。

表彰式の後、全員の見ている前で「ほんとうに決勝にふさわしいのは日本チームだった、だからこれを贈る」といって、決勝ラウンド進出者記念品の猿の像を贈ってくれたアントワープチーム。

全てがあまりにもいい瞬間でした。

日本チームの橘上、三角みづ紀もまた最高のチームメイトでした。

自らのパフォーマンスに対して思うところはいくつかありますが、それはここには書きません。ただ、この大会を通じて圧倒的にパフォーマンスの数々を目の前にしてきましたが、私たちはそれをまねる必要はないということは強く感じました。私たちは普段、自分たちが積み重ねてきたことを超完璧にやれれば必ず戦うことができるのだ、という確信も得ました。

これは詩のイベントであり、またスポーツであり、大げさに言えば、そこにはひとりひとりがベストを尽くすことで平和に近づくという精神が宿っていました。

大会終了後、多くの詩人たちと話す中で、そのほとんどが異口同音に口にしていました。「私は書き続ける。君も書き続けよう」

あとはここから帰ってきた自分自身が、この先に何を生かしてゆくのか。「SLAMons & Freinds」出場者の誇りを胸に、また新しい瞬間と向き合っていきたいと思います。

ありがとうございました。


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