石造美術紀行

石造美術の探訪記

奈良県 宇陀郡榛原町額井 法寿寺宝篋印塔

2007-01-13 01:01:34 | 奈良県

奈良県宇陀郡 榛原町額井 法寿寺宝篋印塔

 

 

 

Dscf0872 額井岳の南麓、国道369号、玉立橋交差点から東北に折れ、1kmほどいった県道のすぐ北に面して、法寿寺という小堂がある。無住で会所のようになっている。額井岳から伸びる尾根のひとつの先端斜面を形成して境内とし、この裏山にあたる尾根の一角に小さい墓地がある。無住のためか墓地は荒れ放題で、雑草が繁茂する中に、歴代住職のものと思われる江戸時代の無縫塔数基が並んでいる。その中央に中型の宝篋印塔が建つ。相輪は、伏鉢、請花と九輪の2段目までを残し、3段目以上が欠損している。尾根斜面を形成して切石で基壇を組み、その上に四弁の複弁反花座を置く。基礎は無地で上二段。欠損した相輪を除けば遺存状態は良好だが、銘文は摩滅が進行して判読困難。文字は小さく彫りが浅いが、かすかに正面に数行の銘があるように見える。応永12年(1405年)乙酉2月4日の銘があるという。(※)塔身は小さめの月輪を陰刻し、金剛界4仏の種子を薬研彫するが、線は細く、彫りも浅く種字は小さい。笠は下2段、上6段で、隅飾はやや弧を描いて外反し、二弧輪郭付。輪郭線は太めで均一の太さだが茨先が長く尖っている。輪郭内は無地。石英粗面岩製で高さ95cm。(※)

参考

※清水俊明『奈良県史』第7巻 石造美術494ページ


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