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4K8K放送 東京オリンピック 試験放送 新4K8K衛星放送 ロードマップ 右旋 左旋  

2018年06月14日 11時11分21秒 | 4K8K
暗雲 4K8K放送 2020年までに“普及”は可能か?



2018FIFAワールドカップ 4K/HDRサービスに乗り出したHBS
国際放送センターはクロクス・エキスポに設置





新4K8K衛星放送開始 総務省

新4K8K衛星放送 2018年12月1日開始 BS日テレは1年遅れ
 2017年1月24日、総務省は4K8K放送を認める認定書を10社に交付し、新4K8K衛星放送、11チャンネルが2018年12月1日から順次開始されると発表した。
新4K8K衛星放送のうちBS「右旋円偏波」を使用する4K放送は、NHKと民放キー局系5局の計6チャンネル。NHKと民放系4局は2018年12月1日に、日本テレビホールディングス系のBS日テレは、一年遅らせて2019年12月1日に放送を始める。
 BS日テレは、「(新4K8K衛星放送の)事業性や受信機の普及状況」などを総合的に判断していきながら、来年12月の前倒しを含めて、対応、準備を進めるとしている。
 新4K衛星放送のビジネスモデルを構築するのは容易ではない。HD地上波放送は相変わらず“主力”で、そのコマーシャル収入で成り立つ民放にとって、新4K衛星放送は、収益性の乏しい所詮モアチャンネルにすぎず、いわば当面は“お荷物”となる。HD地上波放送で熾烈な視聴率競争を繰り広げ、コマーシャル収入を確保しなければならない民放は、主力コンテンツのトレンディドラマやエンタテインメント番組、スポーツ中継などのキラー・コンテンツは、相変わらず、収入源のHD地上波放送“優先”で展開するだろう。高繊細画質が売り物にしても、衛星放送で一体どれだけの視聴率を獲得し、どれだけのスポンサー収入が確保できるのか見通しは明るくない。新たに経費を投入して新4K衛星放送のために魅力的なオリジナル・コンテンツを制作するのは極めて難しい。HD地上波放送を4Kで制作し、新4K衛星放送でもサイマル放送するモデルは現実的だが、それでは新4K衛星放送の普及につながらず、新たな収入源にもつながらないというジレンマがある。新4K衛星放送のビジネスモデルが未だに描けないのである。
 BS日テレの「1年延期」はこうした新4K衛星放送の事業性を取り巻く状況が如実にあらわれている。 TBS、フジテレビ、テレビ朝日、テレビ東京系の新4K衛星放送も同じ状況に変わりはない。

 BS「左旋波」では、NHKの8K放送と民間の放送事業者、WOWOW、SCサテライト放送、 QVCサテライト、東北新社の4K放送が認可された。NHKとSCサテライト放送、 東北新社は2018年12月1日、QVCサテライトは12月31日、WOWWOWは、2年遅れで、2020年12月1日に開始する。
 WOWOWは、新4K8K衛星放送の申請にあたって、BS「右旋波」については、「第一志望」としたが、認可後に現行のHDサービスの帯域再編に応じる「特定申請」としなかった。「第2希望」は「左旋波」とした。
 総務省では、6社が応募したBS「右旋波」は、割り当てる周波数が不足するため、あらかじめ明らかにしていた「比較審査」を実施し、「右旋波」の認定で“優先権”が得られる「特定申請」としなかったWOWOWを「右旋波」から除外し、「左旋波」で認定した。WOWOWが4Kサービス開始が2年遅らしたのは、「左旋波」4Kサービスの事業性に懸念を示したと思われる。

 一方、BS「右旋波」全体については、現状ではNHKと民放5局に割り当てる4K放送、6チャンネル分の帯域が不足するため、NHKや民放などがBSデジタル放送(HD)で使用している帯域を一部を返上するさせて帯域再編成を行い、BS7チャンネルと17チャンネルに2トランスポンダに、6チャンネル分の帯域を確保し、「第一希望」としたNHKと民放キー局系の5局に割り当てた。

 東経110 度CS「左旋波」については、スカパー・エンターテイメントと放送サービス高度化推進協会(A-PAB)(試験放送)を認定した。スカパー・エンターテイメントは、4Kで8チャンネル分の帯域を確保し、4Kサービスに対する積極姿勢が目立った。しかし、4Kサービスの事業性については大きな懸念が生れている。これまで保有してきたJリーグの放送権をインターネットスポーツ中継サービスの「ダ・ゾーン」に奪われ、契約者とキラー・コンテンツを失い、経営的に大きなダメージを蒙った。こうした中で、新規契約者を獲得できる魅力的な4Kコンテンツを確保していくことができるのだろうか。スカパー・エンターテイメントは瀬戸際に立たされている。










総務省 報道資料

BS、CS、「左旋波」、「右旋波」、混乱必至 そしてコンテンツ不足 視聴者不在の4K8Kサービス
 「BS左旋円偏波」や「東経110度CS左旋偏波」は、対応するパラボラアンテナを新たに設置しないと視聴できない。さらに分配器、分波器、ブースター、ケーブル等の宅内受信設備の交換もは必要となる。マンションや事業所などで、共聴設備を利用して視聴している場合は、共聴設備の更新をしなければならない。果たしてどれだけの視聴者が「左旋波」を利用するのだろうか。
 まったく未知数の「左旋波」に頼らざるを得ない4K8K放送は暗雲が立ち込めている。
 「左旋波」の登場で、テレビ(空中波)は、“複雑怪奇”となった。
 地上波-BS、HD-CS、4K-BS(右旋)、4K-CS(右旋)、4K-BS(左旋)、4K-CS(左旋)、8K-BS(左旋)、新たに登場したHDR、ほとんど一般の視聴者は理解できないだろう。。
 総務省では、「右旋波」を利用する4K・8K放送は、「左旋波」が十分普及するまでの“暫定措置”としている。4K・8K放送の視聴環境は数年おきに目まぐるしく変わるだろう。
 4K・8K放送のスキームは、“視聴者無視”と言わざるを得ない
 さらに、光回線を利用するIPTVのひかりTVやインターネットを使用するNETFLEX、AMAZON TV、Fulu、アクトビラなどのテレビサービスも加えると一般の視聴者は収拾がつかななくなる。多チャンネル、マルチメディア時代という言葉は、華やかに聞こえるが受け手の負担は極めて重くなるだろう。
 4K8Kの超高繊細映像で臨場感があふれた映像が楽しめるというが、視聴者は本当にそのサービスを求めるいるのだろうか?
 視聴者のテレビ離れが問題化している中で、4K8Kサービスを開始する放送事業者は、その自信があるのだろうか?
 日本はこれから超高齢化社会に突入なかで、求められているのは視聴者に“優しいテレビサービス”だろう。

 また放送される4K8Kコンテンツの品質も大いに問題である。視聴者が望んでいる魅力的なコンテンツをNHKや民放、放送事業者は本当に揃えることができるのだろうか。依然としてテレビサービスの主力はHD地上波放送で、所詮、4K8Kサービスはモアチャンネルの衛星放送で影は薄い。地上波や衛星波のHD化が成功したのは、SD(標準画質)サービスにHDを完全に置き換えたからである。現実的な対応は、地上波のコンテンツを4Kで制作し、地上波ではHD、新4K8K衛星放送では4Kで時差放送をするスキームだ。しかし、これでは新4K8K衛星放送の普及はいつまでたっても進まない。さらに4Kコンテンツ不足を補うためにHDをアップコンバートして“4K”として放送するケースも多発する懸念がある。こうした放送を“4Kチャンネル”とするのはあまりにもお粗末だ。
 テレビが視聴者を引き付けるのは、コンテンツの魅力である。大きな共感を得るドラマ、速報性と情報性を備えたニュース・情報番組、楽しく見れるバラエティ番組、多様なニーズに答える教養番組、その多様性にあふれた強力はコンテンツ・パワーだ。 “高画質”なら視聴者を引き付けられるというのは幻想にすぎない。テレビは“面白く”なければならい。新4K8K衛星放送はこうした視聴者の期待に答えられるだろうか。

 そして4K・8K放送を開始することで地上波とBSで合わせて6チャンネルを握ることになったNHKの肥大化も重大だ。高市早苗総務相は「NHKのBS放送全体のチャンネル数は見直す」と述べている。
 NHKはチャンネル再編を行い巨大化批判に答える責務を背負う。。

 総務省が策定した4K・8K推進に向けた“新ロードマップ”では、2020年に「4K・8K放送が普及し、多くの視聴者が市販のテレビで4K・8K放送を楽しんでいる」と記述されているが、果たして2020年に4K・8K放送のユニバーサル・サービスの実現が可能なのだろうか、筆者は大いに疑問視している。問題山積の新4K8K衛星放送、「多くの視聴者」に普及させるのに残された時間は2年しかない。


新4K8K衛星放送を視聴するのは至難の業 ほとんどの視聴者は理解不能   資料 総務省 4K・8Kに関する周知・広報戦略


課題山積ににもかかわらず売れ行き好調4Kテレビ  資料 総務省


5万円台の4K(50インチ)格安テレビも登場  資料 ドン・キホーテ




4K8Kチャンネル NHK2チャンネル、民間放送事業者最大21チャンネル確保へ 
 2015年7月23日、総務省は「4K・8Kロードマップに関するフォローアップ会合」の「第二次中間報告」でロードマップ(2015)を取りまとめ、衛星基幹放送による超高精細度テレビジョン放送(4K・8K放送)の実用放送を、2018年の放送開始を目標とするとした。
 2016年3月、総務省はこのロードマップに基づき、「4K・8K放送の伝送路」や「4K・8K放送のチャンネル数」について決定した。
 「4K・8K放送の伝送路」については、高精細度テレビジョン(HD)放送又は標準テレビジョン(SD)放送はBS・CS「右旋円偏波」として、超高精細度テレビジョン(4K・8K)放送は、BS・CSの「左旋円偏波」を基本的な伝送路として位置づけた。「右旋円偏波」で行う4K放送は、現行の視聴環境を踏まえて、立ち上がり期に4K・8K放送の普及促進を図るための暫定措置とした。
 4K・8K放送の基本的な伝送路となるBS「左旋円偏波」は11チャンネルのうち8、12、14chの3チャンネル、110度CS「左旋円偏波」は13チャンネルのうち9、11、19、21、23chの5チャンネルを明示した。
 焦点の「4K・8K放送のチャンネル数の目標」は、NHKは、BS「右旋円偏波」で4K放送1チャンネル(BS17チャンネルのトランスポンダーを3チャンネルに分割してその1チャンネル)、BS「左旋円偏波」で8K放送1チャンネル(4K放送であれば2~3チャンネル分の帯域に相当)とした。ただし「左旋円偏波」による放送の受信環境が一定程度整備され、左旋円偏波によるBSによる4K・8K放送が普及した段階で、NHKのBSのチャンネルの数を見直すとしている。
 民間放送事業者(民放、衛星放送)は、BS「右旋円偏波」で4K放送2チャンネル(BS17チャンネル帯域を3チャンネルに分割してその内の2チャンネル)、帯域再編が実施されトランスポンダーがもう一つ利用できる場合は、4K放送3チャンネルが増やして、合わせて5チャンネルとした。
 またBS「左旋円偏波」で4K放送6チャンネル、110度CS「左旋円偏波」で4K放送10チャンネル(5つのトランスポンダーを2チャンネルに分割)、これにNHKの8K放送1チャンネル分を加えると、合わせて4K放送で18チャンネル程度とした。帯域再編が実施されてトランスポンダーが2つ利用できる場合は、4K放送3チャンネル分が増えて、21チャンネル程度となる。
 この方針に基づいて、総務省では「4K・8K放送」に新規放送事業者を募集を開始した。



電波監理審議会会長会見用資料

4K・8K実用放送 10放送事業者が申請
 2015年10月17日、総務省は2018年秋に始まる4K・8K超高精細画質のBS衛星放送への参入申し込みを締め切った。
 NHKは「BS右旋円偏波」で4K1チャンネル、「BS左旋円偏波」で8K1チャンネルの割り当ての認定申請をすでに別途行っている。
 今回申請した民間放送事業者は、「BS右旋円偏波」ではBS朝日、BSジャパン、BS-TBS、BS日本、BSフジ、WOWOWの6事業者が申し込んだ。この内、WOWOWは「第一希望」とし、「第二希望」で「BS右旋円偏波」を申請した。
 「BS左旋円偏波」ではSCサテライト放送(ショッピングチャンネル)(第一希望)、QVCサテライト(ショッピング)、東北新社(映画)、そしてWOWOW(第2希望)が名乗りを上げた。
 「東経110度CS左旋偏波」では、SCサテライト放送(ショッピングチャンネル)(第2希望)やスカパー・エンターテイメントがあわせて9チャンネルの4K放送を申請した。
 4K放送ではスポーツ中継やドラマやエンターテインメント番組、ドキュメンタリーなどの4K画質で制作されたコンテンツだけでなく、HDコンテンツを4K画質にアップコンバートして放送される可能性が大きい。新たな4Kコンテンツの調達が追い付かないからだ。HDをアップコンバートしたコンテンツが並ぶチャンネルを“4Kチャンネル”と呼ぶのはふさわしくない。
 総務省は、4Kチャンネルについては、「右旋波」と「左旋波」で、合わせて12チャンネルを割り当てる方針とで、この内NHKは1チャンネル、民放は各系列ごとに1チャンネルを割り当てられるが、残りの6チャンネルは、参入を申請した既存のBS放送事業者らから選ぶと伝えられている。
 NHKは総合テレビ、教育テレビの地上波2チャンネル、BS2チャンネル、4Kチャンネル、8Kチャンネル、合わせて計6チャンネルを持つことになる。NHKの巨大化批判はさらに強まり、その対応は必須の状況となるだろう。
 総務省は、2017年始めまでには各社の申請内容を審査し、どの放送事業者にいくつのチャンネルを割り当てるかを決めるとしている。
 さらに2020年ごろまでに「BS左旋円偏波」と「東経110度CS左旋偏波」では追加割り当てを行う予定である。



放送政策の動向と展望 2016年11月 総務省


放送政策の動向と展望 2016年11月 総務省


“4kテレビ”で4K放送が見れない! 視聴者不在の4K
 最大の問題はいま売られている4Kテレビでは4K放送は受信できないことである。
 2016年12月に開始する4K試験放送や2018年に開始する4K実用放送を視聴するためには、4Kテレビと4Kチューナーや4Kチューナー内蔵の4Kテレビが必要となる。
 また「BS右旋円偏波」の6チャンネルは、現在のパラボラアンテナや共聴設備で視聴できるが、 「BS左旋円偏波」や「東経110度CS左旋偏波」は、「左旋波」に対応するパラボラアンテナを新たに設置しないと視聴できない。
 さらに分配器、分波器、ブースター、ケーブル等の宅内受信設備の交換も「左旋円偏波」を受信するためには必要となる。事務所やマンションなどで、共聴設備を利用して視聴している場合は設備の更新をしなければならない。4K放送を楽しむには単に4Kテレビを買えばよいと誤解している視聴者がほとんどだろう。
 一方、CATV、IPTV(ひかりTV)、インターネットTV(NETFLIX、アクトビラ、Amazonプライムなど)は、現在販売されている4Kテレビで、4Kサービス専用のセットボックスを設置するれば視聴可能だ。またスカパー!4Kも、すでに提供されている4K対応専用チューナーを設置すれば視聴可能だ。
 電子情報技術産業協会(JEITA)では、総務省や家電業界と協力して、こうした状況について周知活動を始めている。現在販売されているのは「4Kテレビ」ではなく、「4K対応テレビ」なのである。
 しかし、家電業界は、「大画面を買うなら4K」と4Kテレビの販売PRに全力を上げ、4Kテレビが飛ぶように売れている。果たして消費者にきちんと納得をしてもらって販売しているのだろうか? 疑念が大いに生じる。
 4K8K放送を見るためには、視聴者にまた新たな負担が生じる。既存のHDの地上波や衛星チャンネルの番組は“溢れる”ばかりに放送されている。それを上回る魅力的なコンテンツが4K8Kで提供されなければ、視聴者は4K8Kに見向きもしないだろう。
 視聴者のテレビ離れが問題化している中で、4K8Kサービスを開始する放送事業者は、その自信があるのだろうか?
 総務省は、2020年東京都オリンピック・パラリンピックまでに、4K8K放送の普及を目指し、世界に先駆けて「50%の視聴者が4K8K」いう目論見を立てている。果たしてこの目論見は達成できるのだろうか? まだ展望は見えてこない。



新4K8K衛星放送は現在市販されている4Kテレビではみられない    電子情報技術産業協会(JEITA)





平昌冬季五輪開会式 出典 PyeongChang2018

平昌冬季五輪 NHKは8K中継90時間実施 初めてUHD(4K)の配信に乗り出したOBS
< 平昌冬季五輪で、ホストブロードキャスターのOBSは初めて、4K中継車を配置して、アイスホッケー、カーリングフリースタイル(モーグル)、スノーボード(ハーフパイプ)の4つの競技と閉会式の4K SDRのライブ中継を実施した。
 これに対し、NHKは8K-HDR中継車2台、22.2サラウンド音声中継車2台を、平昌の五輪会場に送り込み、開会式、フィギアスケート、ショートトラック、スキージャンプ、スノーボード(ビックエア)を、それぞれ10台の8K中継カメラを配置して、合計90時間の8K--HDR、22.2サラウンド音声のライブ中継を実施した。
 NHKが中継した8K-HDR映像・音声は、OBSがIBCで4K-HDRにダウンコンバートして、OBSが制作した4K-SDR映像・音声信号と共に、ホスト映像としてライツホルダーに配信された。
 NBCは、8K-HDRをダウンコンバートした4K-HDR競技映像を使用して、米国内の衛星放送やケーブルテレビで、全米初の4K-HDR放送サービスを開始した。
 8K HDRは、現在の技術水準で実現できる世界最高のクォーリティを誇り、その臨場感あふれる繊細な映像は4Kをはるかに凌ぐ圧倒的な迫力がある。
 NHKはIBCの中に350インチの8K HDR大スクリーンを設置した“8KTheater”を設け、世界のメディアに8K-HDR映像の素晴らしさをアピールしている。
 NHKは4K・8K中継を日本に伝送し、昨年開始した4K・8K試験放送(衛星放送)で、NHKが制作した8K競技映像を、OBSが制作した4K競技映像(4K SDR)と共に放送した。
 また、全国のNHKの放送局や全国5か所の会場でパブリック・ビューイングを開催して、8K-HDR映像の迫力を視聴者に実感してもらった。
 ただし、家庭用の8K専用の衛星チューナーがまだ市販されていないため、まだ一般の家庭では視聴できない。
 NHK以外のライツホルダーで、IBCでホスト映像として配信された8K HDRを視聴者サービスに利用した放送機関はなかったが、いくつかの放送機関は調査・研究目的で8Kコンテンツの配信を受けて、2020年東京五輪では8Kシネマやパブリック・ビューイング・サービスの検討を始めていると伝えられている。

平昌冬季五輪のNHKの8K中継システム
 NHKはフィギアスケートとショートトラックでは、メインの中継カメラとして池上通信機製のSHK-810 8Kカメラを使用した。
 HSSM(High Speed Slow Motion)再生用の中継カメラとしてはSONY 製の2台の4K・8倍速スローモーション映像撮影用カメラ、HDC-4800が使用され、8Kにアップコンバートされ、SHK-810 8Kカメラの8K映像とスイッチングして使用された。8KのHSSM中継カメラも初登場し、NHK技術研究所が開発した8K 120-fps camera のNHK STRL中継カメラ、1台が設置された。
 スキージャンプでは、池上通信機製のSHK-810 8K camerasとHSSM(High Speed Slow Motion)再生用としてSONY 製の4Kカメラ、HDC-4800 カメラが使用された。
 今回平昌冬季五輪では、8K-HDRコンテンツを制作しても、それを放送利用するのはNHKだけで、他の放送機関で、8Kコンテンツを放送サービスするところなかった。OBSは、8K HDRを4K HDRや4K SDRにダウンコンバートして、世界各国の放送機関に配信した。そのために互換性を持たせた信号フォーマットでオペレーションを行うことが必要で、NHKとBBCが共同開発したHLG(ハイブリッドログガンマ)HDR規格が採用された。
 NHK日本国内の4K8K試験放送で、8K-HDR(NHK制作)と4K SDR(OBS制作)の競技中継を放送し、NBCユニバーサル(NBCの親会社)は全米のケーブルテレビや衛星放送に4K-HDRを配信した。米国内で初めての4K-HDRサービスが開始された。
 2020年東京オリンピック・パラリンピックまで、あと2年、HDに代わって4Kが主役の座に就くのか、4K-HDRと4K-SDRはどちらが主流になるのか、8Kは世界にどれだけ浸透するのか、まだまだ不透明だ。



リオデジャネイロ五輪開会式

NHK 8K試験放送開始 リオデジャネイロ五輪コンテンツでアピール
 2016年8月1日、NHKは8Kスーパーハイビジョン試験放送をリオデジャネイロ五輪に合わせて開始した。
 注目のリオデジャネイロ五輪関連では、8月6日から28日まで開会式や閉会式、陸上競技、競泳、柔道、サッカー、バスケットボールの5競技を生中継や録画で8K放送を行った。また8K映像を編集してハイライトも制作し放送した。
 しかし、8K試験放送は、家庭用の8Kテレビや8K用セットボックスはまだ発売されていないため、一般の家庭などでは視聴できない。
 NHKでは、全国の放送局に8K試験放送の受信設備を設置して、訪れた視聴者にリオデジャネイロ五輪の超高精細映像で臨場感を実感してもらう試みを行った。
 またNHKふれあいホール(東京・渋谷)、NHK技術研究所(東京・砧)、NHK放送博物館(東京・愛宕山)、丸ビル「MARUCUBE」(東京・大手町)、パナソニックセンター東京(東京・有明)、グランフロント大阪(大阪・北区)の6カ所で、パブリック・ビューイングを開催した。
 しかし、一般の家庭では誰も視聴できない放送サービスとはとても言えない8K試験放送のスタートとなった


★ NHK 8Kスーパーハイビジョン試験放送開始 リオデジャネイロ五輪 8K番組表

超高精細テレビ試験放送 4KはA-PAB 8KはNHK BS17chで1日7時間サービス開始
 2016年2月17日、総務省は、BS17チャンネルで行う超高精細テレビ放送(4K・8K放送)の試験放送の実施者を、4Kについては一般社団法人次世代放送推進フォーラム(NextTV-F)、8Kについては日本放送協会(NHK)とする諮問を電波監理審議に行い、原案通り答申を受けた。4K・8K試験放送はNextTV-F(4K)とNHK(8K)が実施することが正式に決まった。

(注) NexTV-FはDpa(デジタル放送推進協会)と合併し「A-PAB」(放送サービス高度化推進協会)が4月1日発足し、4K8K試験放送実施は「A-PAB」が実施する。

 4K・8K試験放送は、BS17チャンネル(「衛星セーフティネット」・地デジ難視対策衛星放送)終了後の空き周波数帯域)を利用して実施される。放送時間は毎日午前10時から午後5時までの間の7時間を予定し、4Kと8Kは「時分割方式」で“相互の乗り入れ方式”でサービスされる計画だ。
 A-PABが行う4K試験放送は、毎日1時間、2chサービスで2016年12月1日から開始される。但し週1日だけは4K放送50分間と8K放送10分間も行う予定だ。期待されていたリオデジャネイロ五輪の4Kサービスは見送られた。4Kコンテンツは、NHK、日本テレビ、テレビ朝日、TBSテレビ、テレビ東京、フジテレビ、WOWOWO、東北新社が提供。試験放送はコマーシャルを入れることができないので、運用経費は、A-PAB加盟メンバーの拠出金で賄われることになる。無料のノンスクランブル放送である。
 一方、NHKは一日6時間の8K試験放送を行う。但し原則毎週最終週の16時台には4K試験放送を2チャンネルで行う。8K試験放送は2016年8月1日に開始された。リオデジャネイロ五輪をターゲットに入れた戦略である。
 4K8K放送の送出やアップリンクは、4K・8K共に、NHK放送センター設備を使用することになった。



放送政策の動向と展望 2016年11月 総務省


総務省 衛星・地域放送課


HDR方式を採用 4K8K試験放送の技術仕様を公表
 次世代放送推進フォーラムとNHKは、それぞれ4K8K試験放送の技術仕様の概要を公表した。
 次世代放送推進フォーラムの技術仕様は、伝送方式はMMT・TLVの多重化方式を採用し、新たな高度広帯域の衛星伝送方式で行い、伝送容量はBS衛星放送の場合、4K放送で約35Mbps、8K放送で約100Mbpsで、トランスポンダー1つで、8K×1chまたは4K×3chの伝送が可能としている。
 使用スロット数としては、4Kについては60スロットまたは40スロット、8Kについては120スロットとし、1トランスポンダ全体は120スロットとなっている。変調方式としては16APSK、またはQPSK方式を採用する。
 映像のフォーマットについては、フレーム周波数は4K・8K放送とも59.94Hzとし、表色系はYCbCr 4:2:0、画素ビット数は10bitとしている。
 焦点のHDRに対する方針は、4K・8K放送ともHDR(High Dynamic Range)方式を採用することとした。
 その他、圧縮符号化(映像)はH.265/HEVC、マルチメディアサービスは汎用性の高いHTML5、受信制御には、B-CASに代わってセキュリティを強化した新CASを採用することした。
 超高精細映像で、世界の主流に一躍躍り出た4K-HDRは、現行の4K-SDRに比較するとその画質の優位性は明らかである。しかし、いま販売されている4K-SDRテレビとの互換性はない。数年後は、4K-HDRが主流になるのは明らかであろう。いま4Kテレビを買わされる視聴者の立場をどう考えているのだろうか? 
 NHKは、全国の放送局に設置する8Kの受信装置の標準システムの概要を明らかにし、8KデコーダーLSIを搭載した受信装置を開発し、これに85インチのHDR対応の8Kモニターを接続して8K試験放送を受信するとした。受信装置は、22.2チャンネルの音声出力があり、対応する音声アンプとスピーカーシステムを設置すれば22.2チャンネル音声サービスが可能になる。
 NHKは全国の放送局でこの受信設備を利用して、8K試験放送を一般の視聴者に公開する。
 受信装置には、4Kテレビ用の出力端子も装備され、8K試験放送を4Kにダウンコンバートして4Kテレビでも視聴可能にする。





総務省 第二次中間報告後の取組状況 付属資料

誰も見れない4K8K試験放送
 4K8K試験放送の事業者を次世代放送推進フォーラム(NextTV-F)とNHKに認可した2月17日の電波監理審議会で、極めて重要な議論が繰り広げられた。
 吉田委員長代理は「先ほどご説明の中で、既に試験放送を経て、実用放送に至っている124/128度のCSとは技術方式が異なっていて、かつ伝送方式も異なっていますというご説明をいただいたのですけれども、そうしますと、受像機といいますか、受信機も方式が随分変わらざるを得ないと思います。となりますと、ユーザーにとりましては、買い換えないといけないのでしょうか」と疑問を投げかけた。
 昨年度、次世代放送推進フォーラム(NextTV-F)実施した“Channel 4K”やスカパー!がすでにサービスしている“スカパー!4K”と、新しく始まるBS4K試験放送とは伝送方式が異なっているので、現在市販されている“Channel 4K”や“スカパー!4K”が視聴可能な4Kテレビでは、BS4K試験放送が見れないことを指摘した。4Kテレビを購入した視聴者がこのことを知っていたかどうかに懸念を示し、4Kサービスの情報が視聴者に適切に提供されていたどうか疑問を投げかけた。
 これに対し、総務省の担当課長は、BS4K試験放送は、新たなMMT等の多重化方式を入れた高度広帯域の伝送方式を採用したので、現在市販されている124/128度CS(スカパー!4K)が視聴可能な4Kテレビとは、別の機能が組み込まれた受信機(チューナー)が必要になることを明らかにした。さらにBS4K放送が受信可能なテレビの開発状況については、ようやく技術仕様も策定され受信機の開発に取り組んでいる最中で、市販されるのは2018年の実用放送の開始される頃になる見込みとしている。
 一方、再送信行ったCATVでは4K対応テレビと4K対応セットボックスを設置すれば視聴可能だ。
 誰も見ることができない4K8K試験放送はまったく視聴者不在のお粗末な“試験”に終わった。

CSで4K専門チャンネルを立ち上げたスカパー!
 2015年3月、スカパー!は、独自に“プレミアムサービス4K専門チャンネル”を立ち上げ、東経124/128度CSで4K放送を開始している。
 スカパー!の4K放送は、プロ野球、Jリーグ(2017年サービス終了)などのスポーツ中継や音楽、エンターテインメント、ドキュメンター番組などを提供する「スカパー!4K総合」、映画を提供する「スカパー!4K映画」(PPV:ペイパービュー・サービス )、4Kの魅力を体験できる「スカパー!体験」の3つがある。 
 「スカパー!4K総合」と「スカパー!体験」は、専用パラボラアンテナ、4K専用チューナーと4Kテレビを設置する必要があるが、“プレミアムサービス”(HD画質で約160チャンネルをサービス)の契約者には無償で提供される。
 「スカパー!4K映画」は、ハリウッド映画の4Kスキャニングリマスター版を中心にサービスする。PPV(ペイパービュー・サービス)で、見たい番組を1日単位で購入し、視聴料を後払いするシステムである。
 さらに2017年1月、スカパー・エンタテインメントは、東経110 度CS「左旋波」で8チャンネルの新4K8K衛星放送を確保している。スカパー!は大量の4Kチャンネルのコンテンツを果たして調達できるのだろうか、大きな懸念が拭えない。


4K8K放送“新ロードマップ”公表
 2015年7月23日、総務省は「4K/8Kロードマップに関するフォローアップ会合」を開催し、第二次中間報告をまとめ、4K・8K推進に向けた“新ロードマップ”を公表した。 2014年9月に公表された“ロードマップ”の改訂版である。
 “新ロードマップ”によると、2016年にBS17チャンネルを使った4K・8K試験放送をNHKとNHK以外の基幹放送事業者の2者で開始し、2017年には110度CS(左旋波)で4K試験放送を開始、2018年にはBS17チャンネルと110度CS(左旋)で4K実用放送、さらにBS左旋においても、4K・8K放送の実用放送を開始するとしている。2020年東京オリンピック・パラリンピックでは、「4K8K放送が普及して、多くの視聴者が市販のテレビで4K8K放送を楽しんでいる」とした。また2025年頃の4K8K放送の主要伝送路にはBS「左旋波」と110度CS「左旋波」を伝送路とすることも定めた。BS「右旋波」の4K8K放送は暫定的なサービスで、視聴者は4K8K放送に再び翻弄されることが明らかになった。



総務省 4K/8Kロードマップに関するフォローアップ会合第二次中間報告

キーポイントⅠ 暗雲たちこめた4K8K放送 ビジネスモデルが描けない民放4K、誰も見ないNHK-8K
 2014年9月に取りまとめられた「4K・8K放送ロードマップに関するフォローアップ会合」では、BS17chを使用して、4K試験放送(最大3チャンネル)及び8K試験放送(1チャンネル)を、「時分割方式」で、それぞれ最大1日12時間放送することを目標に掲げていた。
 今回決まった4K8K試験放送では、4K試験放送で2チャンネル一日1時間程度、8K試験放送で一日6時間程度、合わせて1日7時間程度にとどまった。
 とりわけ4K試験放送サービスの“貧弱さ”が目立つ。2014年6月、NextTV-Fが124/128度CS衛星を利用して開始した“Channel 4K” (2016年3月31日終了予定)よりもサービスは大幅に後退してしまった。しかも開始は2016年12月1日にずれ込んだ。“一日12時間、3チャンネルで4K試験放送”という総務省の目論見は早くも崩れた。
 民放各局は、未だに4Kサービスに乗り出すことに消極的になっているといわれている。HDの地上波とHD衛星デジタル放送、4Kの衛星波を併存させるビジネスモデルが描けないからだろう。民放各局はHD地上波のコマーシャルを収入源として経営が成り立っている。モア・サービスである新4K8K衛星放送が新たな収入源として期待ができれば積極的になるだろうがその可能性が読めない。一方でモアチャンネルである4Kチャンネルに視聴者を引き付けるには制作経費をかけてキラー・コンテンツを放送しなければならない。しかし、4Kチャンネルに視聴者を引き寄せれば引き寄せるほど、収入源の地上波が空洞化していくというジレンマを抱えている。民放各局は、24時間、365日、魅力的な4Kコンテンツを確保できるのだろうか?
 さらに民放キー局と系列地方局の関係も深刻だろう。民放キー局が、新4K8K衛星放送で、人気ドラマやエンタテインメント番組、スポーツ中継などキラーコンテンツを放送すると、キー局のキラーコンテンツの再送信に頼っている系列地方局のダメージは極めて大きく、番組配信料やコマーシャル収入が激減し経営が立ちいかなくなる懸念がある。当面、系列地方局との関係に配慮して、民放キー局は4Kチャンネルに力を入れることはできないのではないか? HD地上波のコンテンツ制作を4Kで行い、新4K8K衛星放送で時差サイマル放送する程度は可能だがそれで4Kチャンネルの普及が促進されるとは思えない。2020年、「4K・8K放送が普及し、多くの視聴者が4K・8K放送を楽しんでいる」というロードマップは“空中分解”寸前という危機感が広がっている。
 一方、8Kについては、未だに家庭用の8Kテレビや8Kチューナーが発売されていない。8K液晶モニター(85型)をシャープが発売したが、価格は約1600万円、とても家庭用とはいえない。8K試験放送を始めても一般家庭の視聴者は誰も見れないのである。公共放送NHKの放送サービスの基本は「広く、あまねく」、受信料制度で運営される放送サービスとして8K放送を開始するならこの原則を守らなければならない。8Kパブリックビューや医療分野での利活用は、放送サービスではない。8Kの「広く、あまねく」サービスの基盤整備は2018年までに構築できるのだろうか? 新4K8K衛星放送は、放送技術の“研究開発”レベルを超え、放送サービスなのである。NHKの経営責任が問われる。
 ロードマップでは、2018年中に新4K8K衛星放送を開始するとしている。早くも暗雲が立ち込めている。


キーポイントⅡ “左旋”の登場
 2014年年9月)の中間報告で、大きな課題として残された2018年以降の4K8K実用放送について、新たに左旋円偏波を使用して実施することが盛り込まれ、環境の整備を今後急ピッチで行う方針を新たに定めた。
 衛星から送信される電波は、右回りの右旋円偏波(右旋)と左周りの左旋円偏波(左旋)がある。右旋と左旋は、お互いに干渉しないので、双方を同時に使用して衛星放送を実施することができる。BS右旋は、日本に割当られ、BS左旋は韓国に割当られていた。CSは、右旋と左旋、共に、日本に割り当てられ、右旋はCSデジタル放送、左旋は通信用として使用されている。
 その後、各国間で国際調整が行われ、日本もBS左旋が利用可能になった。総務省では2020年ごろまでに、利用可能な11基のトランスポンダーの内、BS8、12、14の3チャンネル(トランスポンダー)を4K8K放送に割り当てるとしている。これで8K放送の1チャンネル、4K放送の6チャンネル(トランスポンダの帯域を3分割)の伝送路がBS「左旋円偏波」で確保されることになった。
 現在、静止軌道上でBSデジタル放送を行っている衛星「BSAT-3a」「BSAT-3b」「BSAT-3c」は、右旋(現行の衛星放送で使用)のみで、左旋に対応していない。2017年後半に打ち上げる予定の「BSAT-4a」は、Kuバンドのトランスポンダーを右旋用に12台と左旋用に12台を搭載しており、左旋を利用して、最大で8Kで12チャンネル、4kで36チャンネルの放送が新たに可能になる。
 しかし、「左旋波」を受信するためには、左旋用のパラボラアンテナや建物内配線、分配器やブースターなどの機器、チューナーなどの新たな設備が必要となるなど、視聴者の負担も生じ、「左旋波」の普及には難題を抱えている。


電波監理審議会会長会見用資料


放送政策の動向と展望 2016年11月 総務省

 第一段階は、2017年に開始予定の110度CS「左旋波」を使った4K試験放送である。
 スカパー!JSATは、現行の110度CS、N-SAT-110が耐用年数を迎えることから、後継機としてJCSAT-15の打ち上げを2016年中に行う予定だ。
 JCSAT-15は、右旋用に加えて左旋用の13台のトランスポンダーを搭載し、総務省ではこの内、5トランスポンダーを使用して、4K放送、10チャンネル(トランスポンダーを2分割)を割り当て、4K試験放送を実施するとしている。2018年には4K実用放送に移行する予定だ。スカパー・エンターテインメントが8チャンネル、CSサテライト放送(ショッピングチャンネル)が1チャンネル申請している。
 ちなみにJCSAT-15の右旋はスカパーJSATが使用する。
 スカパーJSATは、2015年から124/128度CSで、「スカパー!4K総合」、「スカパー!4K映画」、「スカパー!体験」のサービスを開始している。 
 第二段階は2018年開始されるBS「左旋波」を使った4K・8K実用放送の開始である。
 BS17(右旋)では、2016年から4K・8K試験放送が開始されているが、これに加えてBS「左旋波」でも実用放送を始めようとするものだ。
 2020年東京オリンピック・パラリンピック開催の年に、4Kについては、BS「左旋波」のトランスポンダー2台を利用し、さらに6チャンネルの追加割り当てを検討するとしている。 一方8Kの拡充については、受信機の普及、技術進展、参入希望事業者などを踏まえて検討するとして、曖昧にした。
 さらに2025年ごろには、BSと東経110度CS左旋を4K・8K放送における中核的な伝送路として位置付け、多用な4K・8K放送サービスを実現させ、そのために右旋と同程度の左旋受信環境の整備に着手するとしている。


キーポイントⅢ  BS「右旋波」の再編の実施
 総務省では、BS「右旋波」にNHKと民放系列5局の新4K衛星放送を実施するために、4K放送6チャンネル分の帯域を確保する必要があった。現在4K8K試験放送で使用しているBS17チャンネルは、放送が終了するので、新4K衛星放送3チャンネルの帯域として確保されている。残りの4K3チャンネル分の帯域を生み出さなければならない。
 BSデジタル放送を放送している放送衛星(BSAT3A)は、8つのトランスポンダを搭載しているが、それぞれのトランスポンダ(中継器)1台当たりの帯域(1チャンネル)は48スロットのという単位で分割されて使用している。1スロットで伝送可能な容量は約1Mbps、1秒間に1メガビットのデータを送信可能な帯域である。
 民放系列は48スロットの帯域を2分割して、24スロットに分けて使用している。(NHKのBSデジタル放送2チャンネルは別扱い)
 総務省では各局が使用している帯域を放送サービスに影響のない範囲で返上してもらい、「幅寄せ」を行って「帯域再編」を実施し、空いた帯域(7ch)と4K8K試験放送の帯域を使用することで、NHKと民放5局で新4K8K衛星放送を可能にした。
 BS日テレ、BS-TBS、BS朝日、BSフジ、BSジャパンは24スロットから16スロットに削減され、NHK-BS1も23スロットから20スロットへ、NHK-BSプレミアムは21.5スロットから18スロットとなった。この結果、120スロットの空き帯域が生れ、40スロットに三分割されて、新4K8K衛星放送3チャンネルの放送を行うことになった。



総務省

キーポイントⅣ  期限を2025年までに延長
 また前回の中間報告では、ロードマップの期限は2020年までとなっていたが、新ロードマップでは2025年まで延長して計画を定めた。
 新4K8K衛星放送の伝送路としてBS「左旋波」と東経110度CS「左旋波」を位置づけ、多様な超高精細4K8Kサービスを実現する。そのための基盤整備として、右旋の受信環境と同程度の受信環境を左旋でも整備したいとしている。しかし「左旋波」の普及拡大には難問が山積している。





総務省 4K/8Kロードマップに関するフォローアップ会合第二次中間報告

キーポイントⅤ  ケーブルテレビやIPTV 4K8Kは先行
 IPTVやケーブルテレビ、インターネット・サービスでは相次いで4K実用放送を開始している。
 BSやCSの衛星放送で、4Kサービスを開始するには、新たな帯域を確保しなければならない。既存の衛星チャンネルは満杯で新たな4Kチャンネルが入り込む余地はほとんどない。そこで、苦肉の策として“左旋”利用が登場するということになるが、受信環境が複雑になるのが大きな課題だ。地上波は満杯、まったく論外で、総務省も地上波で4K放送を始める予定はない。
 それに比べて、大量のチャンネルのサービスが可能なケーブルテレビやIP-TVは、新たなサービスの4Kにも対応しやすいという優位性がある。
 「NTTぷらら」などが運営している「ひかりTV」は、2014年10月から、NTT東日本・NTT西日本の光回線「フレッツ 光ネクスト」を利用した4K-IPによる日本で初の「4KコンテンツVOD」を開始した。現在、約13000本の4Kコンテンツがラインアップされている。
 また2015年11月より4K-IP放送サービス、2チャンネルを立ち上げた。総合編成チャンネルの「ひかりTV 4K」(放送時間 10:00~26:00)、12月からは「エンタメ&トレンドニュース 報道チャンネル」(放送時間 10:00~26:00)を開始した。さらに2016年12月からは吉本興行と連携し、アイドルチャンネル「Kawaiian for ひかりTV 4K」を開始するなど4Kサービスに対する積極姿勢が目立つ。
 「ひかりTV」は、いち早く次世代超高精細映像、HDR(HLG)対応のVODサービスや4K-IP放送サービスに乗り出した。
 「ひかりTV」対応の4Kテレビは、5メーカー、60機種に広がり、スマホ向けの4Kサービスも開始した。
 「ひかりTV 」の視聴者は、光回線「フレッツ 光ネクスト」の加入と4K専用のセットボックスの設置と必要となる。シャープAQUOSや東芝REGZAの一部の機種では、光テレビ専用4Kチューナーが内蔵されている4Kテレビも発売されている。
 スマートフォンに4KVODコンテンツをダウンロードして、外出先や旅行先で視聴できるサービスも行っている。
 一方、 スカパー!は、IP-TVの“プレミアサービス光”で、 東経124/128度CSでサービスしていいる4K専門チャンネル、「スカパー!4K総合」や「スカパー!4K映画」、「スカパー!体験」の3つのチャンネルを、サイマル・サービスを行っている。

 総接続世帯数約2,600万を抱えるケーブルテレビ(CATV)も4K8Kサービスに積極的で、新たなビジネスチャンスと位置付けいてる。
 CATVの最大手、J:COMでは、2014年6月に4K試験放送を開始し、2015年5月に4K VODの実用サービスを開始した。
 2015年12月1日、全国のCATV事業者が協力して、4K専門チャンネル、「ケーブル4K」の放送を開始した。全国各地域のCATV事業者が地域の特色を生かした番組を制作して放送し、地域の生活を支えるメディアとしてプレゼンスを示したいとしている。
 現在62社がサービスを提供しており、将来的には、計120社以上のケーブルテレビ局がサービスを開始する予定だ。
「チャンネル4K」は、全国のケーブルテレビ各局などが制作したドキュメンタリーや紀行番組を毎日、朝6時から夜12時まで配信している。
 またチャンネル銀河、ファミリー劇場、ヒストリーチャンネルなどの専門チャンネルと連携して、スポーツ、エンターテインメント、趣味番組などの4Kコンテンツもあわせて放送する。 
 放送サービス高度化推進協会(A-PAB)が放送する「4K試験放送」の再送信を行っている。
 2018年12月開始のBSやCSの4Kチャンネルの再送信が始まると、ケーブルテレビは4Kサービス普及の中核になりそうだ。


急成長している動画配信サービス インターネットTV(OTTサービス)
 ここ数年、インターネット回線を利用する動画配信サービスが急成長している。
 こうしたサービスは、OTT(Over-The-Top)と呼ばれているが、光回線の普及やLTEなどの移動体通信の高速化などの通信環境の基盤整備で、地上波や衛星波などの「空中波」との有意差はなくなり、超高精細の映像も容易に配信可能になった。
 インターネットTV(OTTサービス)事業者は、4Kサービスに意欲的だ。

▼ NETFLIX 4K
 2015年9月2日、日本に“上陸”する予定の世界最大のインターネットTV・オペレーター、“NETFLIX”は4Kもサービス開始している。“NETFLIX”は、映画やドラマが月額定額料金で“見放題”サービスがキャッチフレーズ、インターネット環境があれば、テレビ、スマホ、タブレット、PCなど多様な端末でサービスが利用可能だ。パナソニック、東芝、シャープ、LGでは、コントローラーに“NETFLIX”ボタンを搭載したテレビを日本国内で発売している。“NETFLIX”の4Kコンテンツは、プレミアム・サービスの契約をすれば視聴可能になる。

▼ Amazonプライム・ビデオ 4K
 2015年9月25日、世界のメディア企業の“巨人”、Amazonは、動画配信サービス“Amazonプライム・ビデオ” を日本で開始した。Amazonプライム会員になり、年会費を払えば、他のプライム会員の特典の付加サービスとして、“Amazonプライム・ビデオ”が提供するすべての映像コンテンツをいつでも見放題で楽しむことができる。“Amazonプライム・ビデオ”は、AndroidおよびiOSのスマートフォンやタブレット、ゲーム機器、SmartTVなど様々な端末で視聴可能なサービスである。サービス開始と同時に、超高精細4K Ultra HD映像のコンテンツも提供し-ている。

▼ 4Kアクトビラオ
 2014年12月11日、パナソニック、ソニー、シャープ、東芝、日立の5社のエレクトロニクス企業によって設立されたアクトビラは、“4Kアクトビラ”を立ち上げ、有料VODサービスを開始した。また2015年7月6日、4Kストリーミング・サービスも開始した。4K-VODサービスでは、映画やドラマ、ドキュメンタリー、グルメ番組、旅番組、スポーツなどを提供、4Kストリーミング・サービスでは、「NHKオンディマンド」のコンテンツ、自然番組やドラマ、旅チャンネルの旅番組を提供していが、コンテンツ不足は否めない。

▼ dTV 4Kサービス
 2015年11月25日、エイベックス通信放送は動画配信サービス「dTV」で、4Kコンテンツの配信を開始した。
 4Kサービスに対応しているのは、ソニーモバイル製スマートフォンのXperia Z5シリーズの最上位機種、世界ではじめて4Kシスプレイを搭載したスマートフォンで、5.5インチ4K(2160 × 3840)ディスプレイを搭載している。
 テレビへの4K配信についても、Android TV搭載の機種、ソニー「ブラビア」シリーズ、パナソニック「ビエラ」シリーズで対応機種が、今冬に発売される。
 4Kコンテンツの第一弾としては、人気音楽パーフォーマンス・グループ、「AAA」(トリプルA)のミュージックビデオシリーズ、2016年2月、初の4Kオリジナルドラマを制作してサービスを開始した。
 「dTV」は、NTTドコモとエイベックス・グループが設立したエイベックス通信放送が運営しているモバイル端末向けを中心にした動画配信サービス、契約者数は約468万件(2015年3月末)、配信コンテンツ約12万本、日本では最大の動画配信サービスである。
 モバイル端末向けに4K動画配信を実現した技術開発力は評価できるが、スマホなどの小さな画面で4Kサービスを行っても、その超高精細の威力はどの程度効果があるのかは、はなはだ疑問である。LTEを使用して4K動画を楽しむと、その通信料の負担増の問題が極めて大きく、あまり現実的サービスとは思われない。

こうしたインターネットTV(OTTサービス)は、いずれも4Kサービスに乗り出しているが、まだ開始して間もなく、コンテンツ不足が最大の課題である。しかし急成長している次世代動画配信サービスの勢いは、4K8Kサービスでも今後目を離せない。

総務省 衛星基幹放送による超高精細度テレビジョン放送に関する今後のスケジュール 2015年12月25日

8Kのサービス・モデルを描けないNHK その責任は?
 世界で最先端を行く超高精細8Kの技術は、NHKが独走している。NHKの技術陣が総力を挙げて開発しているだけあって、2016年の8K試験放送、2018年の8K実用放送の実現は問題ないだろう。民放各局と違って視聴料に守られた豊富な財源や技術陣に支えられているNHKは別格だ。
 しかし、技術開発は、往々にして、技術優先主義に陥って、何のために利用する技術開発なのか、どうやって使うのか、ユーザーの利便性は何かを検証することを怠るケースが往々にして発生する。新しい技術開発は常にサービス・モデル、そしてビジネス・モデルを念頭に置いて取り組むことが必須だ。
 8Kのサービス・モデルをNHKはどう考えているのだろうか? 家庭に普及させるというモデルが現実なのだろうか、冷静に分析する必要がある。  筆者は8K映像をたびたび視聴している。大画面で見る8K映像は、確かに息を飲むような高精細映像で迫力がある。映画館、劇場、公共施設等でのパブリック・ビューイングでは素晴らしい超高精細映像技術に間違いない。
 しかし、40~50インチ程度のモニターで8Kと4Kモニターを視聴して比べてみると、画面に目を近づけてみれば確かに、一目瞭然、8Kの映像の素晴らしい解像度ははっきり分かるが、4~5メートル程度離れて視聴すると有意差がはっきりわからない。次世代の高画質技術、4K-HDR(high dynamic range imaging)が登場してきた。4K-HDRと8Kを比べると有意差はさらにほとんどなくなる。
 24インチクラスの画面になると、フルハイビジョンのHD(2K)と比べてみても違いがわからなくなる。
 無論、100インチクラス以上の大画面では8Kは威力を発揮するが、一般の家庭ではあまり無縁だろう。
 SDがHDに移行したときは、32インチクラスのテレビで見ても明らかに画質に有意差があった。
 4Kテレビは価格が下がってきたこともあって、売れ行きは好調とである。
 しかし、さらに高額の8K対応のテレビやチューナーを買う視聴者は果たしてどれ位いるのだろうか? 家庭用の8K対応テレビは、70型で100万円程度でようやく発売が開始されたが、チューナーはまだ市販されていない。2018年12月の本放送開始までには発売するとしているが、このような状況の中では2020年、8Kの一般家庭の普及は絶望的だろう。視聴者は8Kに見向きもしない。
 一方、非放送系の分野からは、超高精細8K技術は注目を浴びている。
 医療分野では8K超高精細は脚光を浴びている。またセキュリティ・システムの分野でも超高精細8Kの導入が始まろうとしている。8Kの監視カメラの映像は、微細な部分まで写り込むのでセキュリティ管理には威力を発揮する。
 しかし、医療分野もセキュリティ分野の利活用も、放送法で規定されたNHKの業務範囲ではない。受信料を財源とするNHKは、放送サービスに還元しなければならない義務を負う。8Kの開発の目的を放送分野以外を主軸にすることは許されないだろう。パブリックヒビューイングも放送サービスではない。NHKは8K放送サービスを実現しなければその正当性が失われるこことを認識しなければならない。2020年、8K放送を「多くの視聴者が市販のテレビで4K・8K放送を楽しんでいる」環境を作り出す責務をNHKは追っている。それが実現できなければ、放送機関としてのNHKの8K投資は受信料の“無駄遣い”と批判されるに値する。
 8K放送サービスに投じられた膨大な財源は地上波やBSデジタル放送のコンテンツの充実に振り向ければ、はるかに視聴者の利益になる。もしくは受信料値下げに結びつけるべきだ。


総務省 放送サービスの高度化に関する現状
 
視聴者不在の超高精細4K・8K放送
 地上波デジタル放送(HD)、BSデジタル放送(HD)、BS-4K8K放送(右旋)、BS-4K8K放送(左旋)、110度CS(SD/HD)、110度CS(左旋 4K)、124度/128度CS(HD/4K)、4K-HDR、4K-SDR,あまりにも複雑過ぎて、筆者ですら一度では理解できない。
 まして一般の視聴者が理解するのはほとんど不可能だろう。それぞれの4K8K放送を受信するためには、専用のアンテナや共聴設備、ブースターや分配器、チューナー、対応受像機を更新する必要がある。互換機タイプの機器もすでに一部は開発され、多少は整理はされるだろうが、これだけ複雑怪奇になったテレビ・サービスに一般の視聴者はついて行くことができるのだろうか? しかも、数年おきに放送方式が目まぐるしく変わっていく。視聴者不在のスキームと言わざるを得ない。
 新4K8K衛星放送を開始するために、無理やりこれまで高画質で放送していたHD-BSデジタル放送の帯域を減らして画質を落としサービスを落とした。
 また未知数の左旋波まで繰り出すことで、受信設備更新させるなど視聴者に新たな負担を課すことになる。
 明らかに新4K8K衛星放送を開始するために相当な“無理”を強いているいることが明らかだ。こうしたスキームに視聴者は納得するのだろうか。
 超高精細4K・8K放送の伝送路は、これだけ無理をしなければできない衛星などの空中波はあきらめて、光回線やインターネット経由のサービスとして、「放送」サービスから切り離したらどうか。BS波はHDデジタル放送を充実させていけば十分で、視聴者の利益にかなうだろう。NHKと民放各社等は4K・8Kのコンテンツ制作を行い、放送とコンテンツ制作分離を行う方が合理的だ。4K・8Kサービスを衛星波で行う「新4K8K衛星放送」こだわる総務省の姿勢が問われる。

 総務省が策定したロードマップでは、2020年に「4K・8K放送が普及し、多くの視聴者が市販のテレビで4K・8K放送を楽しんでいる」と記述されているが、視聴者は果たして4K・8Kサービスについてくるのだろうか? 残された時間は2年しかない。
 1964年東京オリンピックでは、カラーテレビが、レガシー(未来への遺産)となった。
 それがきっかで、日本は映像技術で世界の最先端に躍り出て、その後のHDの開発でも日本は世界をリードした。8Kは2020年東京オリンピック・パラリンピックのレガシー(未来への遺産)になるのだろうか? 負のレガシー(負の遺産)に転落する懸念はないのだろうか?





初稿2016年11月20日 2018年4月10日改訂
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廣谷  徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
代表
International Media Service System Research Institute
(IMSSR)
President
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