
徹底検証 新4K8K衛星放送の番組ラインアップ
NHK4K8K BSフジ4K BS-TBS4K BS朝日4K BSテレ東4K
NHK4K8K BSフジ4K BS-TBS4K BS朝日4K BSテレ東4K

BS日テレ、4K放送開始を2019年9月に 3カ月前倒し
2018年11月26日、日本テレビホールディングスは、これまでBS日テレの4K放送の開始時期を2019年12月1日としていたが、3カ月前倒して2019年9月とすることを明らかにした。新4K8K衛星放送は2018年12月に各社が一斉にサービスを開始していたが、同社は「さまざまな状況・諸条件を考えた経営判断」として、BS日テレでは、1年間遅らせて、2019年12月に4K放送を始めるとしていた。
3か月前倒しで4K放送を開始する理由について、ラグビーワールドカップ2019(9月20日開幕)で国際映像が4Kで制作されることが決定し、4K放送設備の完成が前倒し可能であることが確認できたことなどを受けて総合的に判断したとしている。放送時間や番組編成などの詳細については検討中とした。
BS日テレ4Kの放送開始で、NHK4K8K、BS-TBS4K、BSテレ朝4K、BSテレ東4Kが勢揃いすることになり、新4K8K衛星放送のサービス体制がようやく整った。
来年の2020東京五輪大会を控え、新4K8K衛星放送を巡る各社の競争が本格化しそうだ。
ラグビーW杯 NHK、J-Sportsが新4K8K衛星放送で中継放送
ラグビーW杯のNHKの放送は、総合テレビでは日本対アイルランド戦など3試合、BS1(HD)では開幕戦の日本対ロシア戦や日本対サモア戦(録画)、日本対スコットランド(録画)、決勝リーグ戦の28試合を放送する。
新4K8K衛星放送への取り組みが注目されたが、4K放送については、開幕戦の日本対ロシア戦や対アイルランド戦、対サモア戦(録画)、対スコットランド戦(録画)と一次リーグの日本戦の全4試合や決勝リーグの準決勝1試合と決勝の2試合の合計5試合、8Kについては、NHKが独自に8K中継を行い、日本対アイルランド戦や準決勝1試合、決勝の3試合のみにとどまった。
大会の放送ナビゲーターとして元日本代表の五郎丸歩選手が起用され、試合中継や関連番組への出演する。
日本テレビは地上波だけで19試合を放送する。日本テレビはラグビー中継に力を入れていて、世界最高峰のプロリーグ「スーパーラグビー」の放送権を獲得し、系列のBS日テレで放送している。
「スーパーラグビー」には、日本で唯一のプロ・ラグビーチーム、サンウルブズが参加、今年で4シーズンを迎える。ラグビーW杯に向けてラグビー人気を沸き立てようとする戦略である。
中継放送に櫻井翔や上田晋也、舘ひろし、小島瑠璃子を起用するなど、幅広い視聴者を獲得する作戦だ。
BS日テレ4KでのラグビーW杯の新4K8K衛星放送は、まだ白紙としているが、4K放送実施に向けて検討していると思われる。
一方、CATVの最大手、J:COMは、J-SportsのHD・4チャンネルと合わせて、4K・4チャンネルで全48試合を放送する。(生中継のみ) またNHKのB1(HD)で31試合とともに4K放送の5試合も放送し、4Kサービスの普及・拡大に期待を寄せる。

新4K8K衛星放送番組表 一般社団法人放送サービス高度化推進協会(A-PAB)

Inter Bee2018のオープニングセッションで勢揃いした新4K8K衛星放送を開始する9事業者の代表 それぞれ新4K8K衛星放送の意気込みを語ったが……

新4K8K衛星放送開始セレモニー APAB
新4K8K衛星放送 苦難のスタート 視聴者は4K8Kに冷やか 腰が引けている民放4K



新4K8K衛星放送の放送事業者 総務省
苦難の船出 新4K8K衛星放送 “ゼロ”からのスタート
民放の新4K8K衛星放送のコンテンツは、ほとんどが、すでに放送しているBS(HD)放送のコンテンツを4Kで制作し、BS(HD)とBS(4K)のサイマル放送で対応する。BS(4K)のオリジナル・コンテンツは見当たらず、視聴者は従来のBS(HD)で同じコンテンツを楽しむことができる。
しかも民放のキラーコンテンツである地上波のドラマ、バラエティ、エンターテイメント、情報番組、スポーツ中継などは新4K8K衛星放送では、一切、放送予定がない。予想通り、民放の収入を支える地上波の人気番組は温存した。
しかも、新4K8K衛星放送の4Kコンテンツは「TBS系では全体の7~8%、テレビ東京系でも来年1月段階で13%程度にとどまる見込み」(朝日新聞 10月6日)で、大半がHD(2K)番組のアップコンバート・コンテンツとなる見通しだ。しかも民放系4局はいずれもショッピング番組で埋め尽くされている。
BSフジ4Kでは、12月17日(月)から23日(日)までの1週間で、4K制作番組は、定時番組と特集番組を合わせて16時間35分、全体の約10%にすぎない。残りはすべてHD番組のアップコンコンテンツ、これでは4Kチャンネルとは到底言えないだろう。
この状況で、「こんどのテレビは別世界」を掲げる「新4K8K衛星放送」と言えるのだろうか? 問題は深刻である。
ライブのニュース報道番組は、チャンネルの活性化にある程度は寄与するだろう。BS TBS 4KやBS フジ 4K、BS テレ東4Kは、いずれも月曜日から金曜日の平日の夜にライブでニュース報道番組を開始するが、二局ともBS(HD)放送とサイマルサービスなので、4Kチャンネルの吸引力がどれほどあるのか疑問が多い。
新4K8K衛星放送は、地上波放送があり、BS(HD)放送があり、そしてモアチャンネルとして誕生する。標準アナログテレビ(SD)からデジタルハイビジョンテレビ(HD)に移行した時は、SDを終了させて、ハイビジョン(HD)に切り替えた。視聴者は強制的にハイビジョンテレビを設置しなければならなかった。4Kテレビを設置して、新4K8K衛星放送を見るか見ないかは視聴者の選択に任せられる。ハイビジョン(HD)の移行の際とは環境がまったく違う。
しかし、新4K8K衛星放送のコンテンツのラインアップには、新たに視聴者を獲得する魅力的なコンテンツが見つからない。
テレビが視聴者を引き付けるのは、情報性、ライブ性、娯楽・エンターテイメント性にあふれたコンテンツの魅力ある。高繊細・高画質だけでは視聴者はもはや飛びつかない。
しかも、ここ数年、若者のテレビ離れは深刻だ。スマホが映像メディアの主役になっている。テレビ番組、ネット動画、映画などもスマホで視聴する若者が急増している。こうした視聴者が求めているのは、4K8Kの高画質ではなく、スマホで気軽に楽しめる「面白い」コンテンツなのである。大画面でしか味わえない4K8Kは、いわば「重厚長大」サービス、「気軽でコンパクト」なサービスを求める若者のテレビ離れを果たして阻止することができるのだろうか。
日本民間放送連盟・研究所では、日本の広告費は、2019年には、インターネットの広告費が地上波テレビの広告費を上回ることが確実としている。2019年の地上波テレビの広告費は1%減、これに対してインターネットの広告費は9%増と予想している。2019年はまさに象徴的な年になりそうだ。
2018年9月、4Kテレビの累計出荷台数は約500万台に到達した。しかし、ほぼすべてが4Kチューナーが付いていない「4K対応テレビ」だ。このままでは新4K8K衛星放送は誰も見ることができない。新4K8K衛星放送の普及の最大の難関はこの500万台に、まず4Kチューナーを設置してもらうことだ。“ゼロ”からのスタートである。そして頼みの綱は2020東京五輪大会に向けての買い替え需要をあてにするほかない。果たして新4K8K衛星放送はどの位の視聴者を獲得できるのだろうか?
Inter BEEのオープニングセッションでのキーノートスピーチで放送サービス高度化推進協会(A-PAB)の福田俊夫理事長は、「苦難のスタート」とした。またNHKの児野明彦専務理事は「東京五輪大会までの時間がタイトで、普及の面ではハンディがあった」とした。
新4K8K衛星放送は多難な船出になった。

相次いで発売されたチューナー付き4Kテレビ 大勢の人だかりが…… Inter BEE 2018

勢揃いした4Kチューナー 果たして何台売れるか CEATECH 2018

暗雲 4K8K放送 2020年までに“普及”は可能か
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国際メディアサービスシステム研究所 International Media Service System Research Institute(IMSSR)
2018年12月10日 初稿
2019年2月4日 改訂
Copyright (C) 2019 IMSSR
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廣谷 徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
代表
International Media Service System Research Institute
(IMSSR)
President
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