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東京オリンピック サイバー攻撃 サイバーセキュリティ サイバーセキュリティ戦略本部

2017年07月06日 07時15分38秒 | 東京オリンピック
サイバー攻撃
“正念場”は2020年東京オリンピック・パラリンピック開催


五輪向けサイバー攻撃対策本格始動
 2015年5月25日、「サイバーセキュリティ戦略本部」の会合が開かれ、安倍総理大臣は、「2020年オリンピック・パラリンピック東京大会を成功させるためにも、わが国のサイバーセキュリティーに万全を期す必要がある」と延べ、省庁や官民の垣根を越えて実効ある取り組みを進めるよう関係閣僚に指示をした。
 会合には、来月、閣議決定する予定のサイバー攻撃への対策などを盛り込んだ「サイバーセキュリティ戦略」の案が示された。 この「戦略」には、エネルギーや医療分野などでサイバー攻撃の対策に関する指針を整備することや、政府系基金を活用してサイバー攻撃対策の関連産業の振興を目指すこと、さらに捜査能力の向上や人材育成への取り組みを強化することなどが盛り込まれている。(出典 NHKニュース 2015年5月25日)
 世界の注目を集めるオリンピックは、サイバー攻撃の恰好の標的になると思われる。“サイバー空間”を巡る“闘い”は、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年がまさに“正念場”だ。

世界経済フォーラム(ダボス会議)が指摘したグローバルリスク


 世界の政治・経済界の指導者が集まるダボス会議の主催者、世界経済フォーラム(WEF)は、今後10年間で発生する可能性が最も高く、世界全体に重大な損害をもたらす原因となるリスクは何かを指摘した「グローバルリスク報告書」を毎年まとめている。
昨年、2014年版では、最も発生する可能性が高いグローバルリスクとして、専門家は、1位に「所得格差」、2位「異常気象」、3位「失業および不完全雇用」、4位「気候変動」、そして次に「サイバー攻撃」を上げた
世界全体のインターネットへの依存度が深まり、インターネットに繋がるデバイスの規模も極めて大きくなったことで、2014年には構造的な破綻のリスクがこれまでで最大の規模に達し、システムばかりでなく社会までも破壊できるほどになると、報告書では警告している
ICTの世界規模の急進展の中で、現代の多極化した世界では、今後5年から10年の間に、世界の安定性に大きな影響を及ぼす要素だとしている。
 “サイバー攻撃”は、“グローバルリスク”を考える上で、“キーワード”になった。


News Release 2014 World Economic Forum
Gloval risks 2014 World Economic Forum


サイバー攻撃激増 256億件
独立行政法人情報通信研究機構(NICT)の調査で、日本の政府機関や企業などに向けられたサイバー攻撃関連と見られる通信は、平成26年に約256億6千万件あったことが公表されている。過去最高だった25年の約128億8千万件から倍増した。サイバー攻撃が激しさを増していることを示した。

出典 共同通信 2015年2月17日

 NICTは、企業や大学に対するサイバー攻撃の通信を直接検知するセンサーと、政府機関に対する攻撃通信を間接的に検知するセンサーの計約24万個を使い解析。調査をしている。
 発信元のIPアドレス(ネット上の住所に相当)は、中国が約4割で最も多く、韓国、ロシア、米国が上位を占めた。
政府機関を狙ったサイバー攻撃
 政府の情報セキュリティ政策会議は2014年7月10日、関係閣僚会議を開き、サイバー攻撃の実態や対策に関する初めての年次報告を決定した。それによると日本の政府機関を狙った2013年度のサイバー攻撃は約508万件で、前年度(約108万件)比で約5倍に急増したとしている。
 政府機関情報セキュリティ横断監視・即応調整チーム(GSOC)は各省庁に検知センサーを設置して、正常なアクセス・通信とは認められなかった件数をまとめている。
 ウイルスをメールに添付し、標的の官庁に送りつける「標的型メール攻撃」に加え、13年度は、狙われた官庁が頻繁に利用する外部のサイトに不正プログラムを仕掛ける「水飲み場型攻撃」の被害が増えていることも指摘している。



出典 我が国の情報セキュリティ戦略 内閣官房情報セキュリティセンター


ネットバンキング不正送金被害、約29億円1千万円・約1876件に

 2015年2月12日、警察庁は平成26年中のインターネットバンキング不正送金被害を発表した。被害額は約29億1000万円、件数で1876件となっており、今までで最も大きい被害となった。被害額ベースで約2倍に増えた。

出典 平成26年中のインターネットバンキングに係る不正送金事犯の発生状況等について 警察庁
平成26年中のインターネットバンキングに係る不正送金事犯の発生状況等について

 倍増した理由はネットバンキング専門のマルウェア(不正プログラム、コンピューターウイルスと考えてもよい)が進化したことや個人だけでなく企業が狙われたことだといわれている。
 ネットバンキング専門のマルウェアは、日本の銀行向けに作成され、それまでのポップアップ型から、ウェブサイトの内容を書き換えてID・パスワードなどを窃取する形に進化している。またワンタイムパスワードを盗み取る自動化プログラムも登場しているという。

 口座別の被害額では、個人の口座が、18億2千万円に対し、法人口座が10億8千万円で、法人口座は、前年の9千8百万円から10倍になっている。
被害が多くが、都市銀行から、地方銀行や信用金庫・信用組合に拡大しているのが特徴だ。




急増するマルウェア(Malware)(悪意のあるソフトウエア)
 コンピュータウイルス、ワーム、スパイウェアなどの「悪意のある」ソフトウェア。「mal-」という接頭語は「悪の」という意味がある。
 遠隔地のコンピュータに侵入したり攻撃したりするソフトウェアや、コンピュータウイルスのようにコンピュータに侵入して他のコンピュータへの感染活動や破壊活動を行ったり、情報を外部に漏洩させたりする有害なソフトウェアのことを言う
最近の“サイバー攻撃”は、マルウエアを使用して攻撃してくが、このマルウエアが世界各国で次々に“新種”が登場し、急増しているのが深刻な問題となっている。
 「2010年に3000万程度であったマルウェアの数は現在、約3億と10倍にふくれあがり、2020年には40億ものマルウェアが氾濫すると想定されている。」(2020年に向けたNTTの取り組み 鵜浦博夫NTT代表取締役社長 読売ICTフォーラム2015)


ロンドン・オリンピックでのサイバー攻撃
 ロンドン・オリンピックでは23億件という膨大な数のセキュリティ・イベントが発生したという衝撃的なデータがある。さらにロンドン・オリンピックの公式ウエッブサイトは、2週間の開催期間に、2億1200万回のサイバー攻撃を受けた。中には1秒間に1万1千件の激しいDDoS攻撃を受けたケースも記録されている。
深刻な攻撃は、開会式前日と開会式当日にあった。
開会式前日は1分間に渡り攻撃を受け、開会式当日は40分間に渡り攻撃を受けた。1つの発信源から何と1000万回に及ぶ執拗な“要求”が送られてきた。
いずれもファイヤーウオール制御システムが“防御”して撃退した。
 最大の危機は、開会式の当日に、攻撃者がオリンピックスタジアムと開会式の電力供給に対する監視制御システムを標的にする情報を持っていることが明らかになったことである。
オリンピック建設委員会では、ウイルス感染も発生し、業務が半日中断したこともあった。厳密なタイムスケジュールで管理している業務が半日ストップするのはとてもダメージが大きかったという。

2012年ロンドン・オリンピックのセキュリティ オリバー・ホーア氏講演録 IPAサイバーセキュリティシンポジウム2014

ソチ・オリンピックでのサイバー攻撃
 ソチ・オリンピックのサイバー攻撃対策の担当者(現ロシアでインターネットのセキュリティ会社を経営)は、ソチオリンピックの期間中、ソチ・オリンピック組織委員会が10万回余りのサイバー攻撃を受けたことを明らかにしている。
サイバー犯罪を犯したことがある人が組織委員会の職員になってシステムを破壊しようとしたケースや財務部門のコンピューターが不正な送金を行うウイルスに感染したケースなど、深刻な被害につながりかねない攻撃もあったという。
サイバー攻撃対策の担当者は、2020年東京オリンピックでも、サイバー攻撃によって競技が行えなくなったり、テレビ中継ができなくなったりするおそれがあると指摘し、今から戦略を立てて専門的な人材を育てる必要があると訴えたとしている。

(出典 NHKニュース 2014年10月28日)

ライフラインや交通・通信など重要インフラに対する“サイバーテロ”
 電力、ガス、水道などのライフラインや鉄道、航空などの交通機関、通信や放送機関、化学・石油などの企業、“重要インフラ”への“サイバー攻撃”の脅威が深刻化している。
政府が把握した2013年度の“重要インフラ”に対する“サイバー攻撃”は133件で、前年度の2012年の76件から倍増している。不正アクセスやDDoS攻撃、ウイルス感染などである。
また標的型攻撃メールなどが送られてきた件数は、2012年には246件、2013年には385件に上った。
(出典 我が国のサイバーセキュリティ戦略 内閣官房情報セキュリティセンター)
 ロンドン・オリンピックの開会式当日に、オリンピックスタジアムと開会式の電力供給に対する監視制御システムが狙われていたことが明らかになっている。
 こうした“サイバーテロ攻撃”で、外部から不正操作され、機能やサービスが停止したり、大混乱を引き起こす“危機”がますます高まっていると指摘されている。
“重要インフラ”が攻撃を受けるとその影響は極めて大きく、ダメージも甚大になる。



出典 我が国の情報セキュリティ戦略 内閣官房情報セキュリティセンター


 世界の注目を集めるオリンピックは、サイバー攻撃の恰好の標的になると思われる。
 『2020年東京オリンピックは、“ICTオリンピック”』、“ICT”をキーワードに日本は一斉に動き出している。超高速ブロードバンドやワイヤレスブロードバンド(5G・WiFi)、さらに4K、8Kの高繊細放送も実施する計画である。
 こうした中で、“サイバー攻撃”をどう撃退していくのか、日本の最大の課題である。失敗は許されない。
 東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年がまさに“正念場”だ。



出典 2020年に向けた情報通信基盤整備の戦略 2020年における情報通信通信基盤の活用像 総務省

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2015年5月25日
Copyright(C) 2015 IMSR

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廣谷  徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
代表
International Media Service System Research Institute
(IMSSR)
President
E-mail thiroya@r03.itscom.net / imssr@a09.itscom.net
URL http://blog.goo.ne.jp/imssr_media_2015
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オリンピック
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